迷わない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
全てが終わったら、特等席で待ってる
そう言い残し、シカマルさん達とカカシさんは
木の葉の里を後にした
アスマさんを殺した暁と、もう一度接触するために
綱「……まさか、お前らが出来ていたとはな」
『……いえ、そういうワケでは…』
隣で四人を見送っていた綱手様がふっと小さく笑った
『……ですが、私にとってシカマルさんは
―――……特別な方です』
綱「……。そうか
ま!お前らなら大丈夫だろう!
瑞乃、今はゆっくり休んで
アイツらの帰りを待ってやれ」
『…はい』
失礼します、と大門の前を後にした
休め、という綱手様のお心遣いに感謝するが
休めるだろうか
『………絶対、帰ってきてくださいね…』
もう迷わない
私はシカマルさんが好き
あなたは木の葉の忍だけど
それでも好きなんです
だから、無事に帰ってきたら伝えたい
シカマルさんのことが好きです
って
――――――
『……。(かなり眠れた…)』
朝日が昇った頃、大門からアパートに帰ってきた私は一応ベッドに潜った
眠れるのか分からなかったが、やはり体は疲れていたようで
起きた頃には太陽は完全に昇り切っていた
ナル「――!
瑞乃ちゃーん!
よく休めたかー?」
『はい!
お陰様でー!』
ヤマ「それじゃ、またお願いするよ」
『はい!』
修業場にくれば大きな穴がいくつも開いており、所々地面がえぐれている
なんとも悲惨な状態だ
だが、それだけナルト君の新術の威力が凄いということ
ナル「もう少しだってばよ…!」
――――――
『二十四時間以内に?』
サク「えぇ。それまでに新術が完成しなければ、第十班への増援は他の班に向かわせる、って綱手様が…
大丈夫そう?」
『増援……ですか…
……、何とも言えませんね…』
ナルト君の修業中、修業場の片隅にサクラを見つけた
何かと思い駆け寄ると
ナルト君の新術を二十四時間以内に完成させろという伝令だった
サク「そう……
瑞乃、ナルト達にこの事伝えておいて!
私は準備してくるから!」
『えっ…
まだ完成するか分かりませんよ?!』
すでに里に向けて走り出していたサクラを呼び止めると、彼女は振り返って笑顔で口を開いた
サク「ナルトなら大丈夫よ!
アイツなら絶対やるから!!」
『――!』
サク「増援のことは私達に任せて、瑞乃はのんびりシカマルのこと待ってなさい!」
それじゃ、と走り去ったサクラを見送った
……ナルト君なら大丈夫
そうだよね
私は胸の中に広がる穏やかな気持ちをそのままに、ナルト君達に駆け寄った
ヤマ「二十四時間以内ね…」
ナル「よっしゃあ!
さっさと完成させて、増援に向かうってばよ!」
『無理は禁物ですよ!
完成して増援に行っても、スタミナが切れていたら全くの足手まといですからね!』
ナル「分かってるってばよ!」
うし!と額あてをきつく結び直し、気合いを入れて
また影分身を作った
――――――
ヤマ「…これほどとは……」
『……凄い…
こんなの人間業じゃない…』
サク「やってくれたわね!」
サイ「増援、僕達に決定だね」
ナル「――よっしゃあ!
すぐに増援に向かうってばよ!!
瑞乃ちゃん!綱手のばあちゃんにそう伝えてくれ!」
『はい!
―――…無事に、みんなで帰ってきてくださいね』
小さくつぶやくと、ナルト君達はみんな笑顔を浮かべて力強く頷いてくれた
綱「――…そうか、なんとか完成したか」
『はい』
シズ「ひとまず安心ですね」
綱「そうだな
後は、アイツらが無事に帰ってくるのを待つだけだ
瑞乃、ご苦労だった
アイツらが帰ってくるまでゆっくりしていろ
帰ってきたら忙しくなるからな
そしたらすぐに連絡する」
『はい
それでは失礼します』
ぺこりと頭を下げ、綱手様のお部屋を後にした
外階段の踊り場で木の葉の里を眺めてみる
ここに来てからもうだいぶ経った
今じゃ迷子になんかならないし、自分の中のお気に入りの場所なんかも増えた
シカマルさんが教えてくれた特等席は、私にとっても特等席になっている
カンカンカンと鉄で出来ている階段を下り、しばらく歩いて活気に溢れている里の中心部に来る
ナルト君達が増援に向かったのは明け方
綱手様によれば、早ければ夕方には戻るとのこと
でもこれは早ければの話
実際は分からない
何せ相手はあの暁だ
すぐに片がつくとは思えない
『……私が悩んでてもなぁ…』
とりあえず寝よう
――――――
『――――!!!』
ガバッ
『今、何時っ…?』
アパートのベッドに潜ると、またこの前のようにすぐに睡魔に襲われた
そして目が覚めた時、部屋の時計の針は夕方の少し前を指していた
お昼を食べていないことに気付き、家にあるもので適当に済まし
外に出た
家にいたってマイナスなことばかり考えてしまうからだ
「―……瑞乃ー?」
『……。』
「おーい?」
『……。』
「おいこら無視すんな!」
『!!
あ、キバさん…?』
急に目の前に顔を覗かせたのは、今は任務がないキバさん
キバ「お前すげー顔してたぞ、眉間にシワ寄ってたし
超怖い顔だった」
『え?!』
あわてて顔をペタペタと触ると、キバさんはケラケラと楽しそうに笑った
そのままなんとなく一緒に歩く
というより、キバさんが付いてくる
キバ「そーいや、シカマル達の増援にナルト達が行ったんだってな」
『……!
そ、うです』
キバさんはいきなり爆弾を落としていくから、時々驚かされる
今もそう、まさに考えていたことの核心に近いところを突いてきた
キバ「心配してんだろ?
シカマルのこと」
『シカマルさんだけの心配はしてませんよ
いのちゃんやチョウジ君、他のみんなのことだって心配です
キバさんだってそうでしょう?』
キバ「……そりゃあな、アイツらは同期だし腐れ縁みたいなもんだし
心配だよ」
『それと同じです』
キバさんに言ったことは事実だ
みんなのことが心配で仕方がない
でも本当は
特にシカマルさんのことが心配だった
というより、早く姿を見たかった
こうやってキバさんの話題を微妙に変えている私は、なんて臆病者なんだろう
もう迷わないと決めたけど、やはりキバさんを傷つけるのは気が引ける
はっきり伝える勇気が出ない
でも、いつまでも逃げるわけにもいかない
こんな私に好きだと言ってくれたんだから、私の本当の気持ちを真っ直ぐ伝えなければいけない
それがキバさんを傷つける答えだとしても
キバ「――なぁ、瑞乃…
お前本当は――「瑞乃ちゃんっ!」
――ヒナタ?」
『ヒナタちゃん、どうしたんですか?
そんなにあわてて…』
キバさんが何かを言い掛けた時、道の向こうから人ごみを掻き分けてヒナタちゃんが走ってきた
私達の目の前につくと、胸に手を当てて呼吸を整えている
私は反射的にヒナタちゃんの背中をさすっていた
『ヒナタちゃん?』
キバ「おい、何かあったのか?」
二人が心配そうに声をかけると、呼吸が整ったヒナタちゃんが口を開いた
ヒナ「さっきシ…っ、シカマル君達が…
シカマル君達がみんな帰ってきたの…っ!!」
『「!!」』
シカマルさん達が、みんな帰ってきた?
それじゃあ、みんな無事なの?
ヒナタちゃんの言葉に驚きつつも、胸の中には安堵と喜びの感情が膨れ上がってきた
行かなきゃ
「特等席で待ってる」
早く、早く会いたい
キバ「待てよ瑞乃」
『――!』
.