修行
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『………えーと、説明していただけますか?』
カカ「ちょっとナルト、説明してないの?」
ナル「急いでたんだってばよ!」
公園でナルト君に引っ張られてからしばらく
着いたのは木々が生い茂る広い場所
修業場のようだ
で、すでにそこにいたのは
退院したばかりのカカシさんと、初めて見る男の人
カカ「綱手様にはもう許可取ってあってね
今日からナルトの新術修業に付き合ってもらうことになったの」
『新術修業…?』
カカ「そ。ナルトのことだから無茶しかしないだろーし
だからナルトが怪我した時や、ヤマトがへばった時の治療担当みたいな
ナルトとヤマトの健康管理って言った方が早いかな?」
『えぇと…、あなたがヤマトさんですか?』
いったんカカシさんから目を外し、少し後ろに控えていた男の人に声を掛ける
ヤマ「そうだよ、僕がヤマト
ついでに今はカカシ班の隊長
よろしくね瑞乃
話はカカシ先輩やナルトに聞いてるよ」
『初めまして
虹色瑞乃です』
人のよい笑顔を浮かべるヤマトさんと挨拶をした
いい人そう
修業と言っても、私はやることが無い
カカシさんは愛読書を読んでいるし、ヤマトさんは謎の陣の中央に座っている
とりあえず、ヤマトさんが作ってくださった木製の長椅子に寄りかかっている
カカシさんは長椅子の上で寝そべっている
そして
『……ナルト君がたくさんいる…』
ナルト君の修業
それは、影分身を利用した
ナルト君にしか出来ない修業法
今は木の葉をチャクラだけで切る修業
ぶっちゃけ暇
カカ「瑞乃ー」
『はい』
カカ「シカマル達のこと、聞いた?」
『え?』
シカマルさんの名前が出て、どくりと胸が騒いだ
それより、何だろう
カカ「アスマ、シカマル、いの、チョウジの4人はね
班は別々だけど、暁狩りのために編成された二十小隊に入ってるんだよ」
『!
……暁…』
我愛羅ですら勝てなかった暁
その暁を狩る小隊に、シカマルさん達が入っている
言い様のない不安が心を支配した
カカ「心配?」
『え?』
カカ「シカマルのこと、心配?」
『!』
パッ、と後ろの長椅子で寝転んでいるカカシさんを見た
相変わらず読書中
そしてちらりと目線を動かし、片目だけで私に笑いかけた
何もかも見透かしているようなあの目で
ヤマ「先輩、年頃の女の子にストレートに聞きすぎだと思いますよ」
カカ「しょーがないでしょ、気になるんだから」
『……あの
―――!!
ヤマトさんっ!!』
ヤマ「!!」
口を開きかけた時、ナルト君の一人が異様なチャクラを纏い始めた
我愛羅のそばにいたから分かる
あのチャクラは間違いなく尾獣のもの
私の声に反応し、ヤマトさんがすぐにナルト君を押さえた
彼の修業が始まってから何度か見る光景
この光景を見た後
決まってナルト君は気絶し、ヤマトさんはひどく疲弊する
ナルト君のもとにカカシさんが駆け寄り、私はヤマトさんに駆け寄った
『大丈夫ですか?』
ヤマ「…な、んとかね……」
『いったん休憩にしましょう』
ナルト君の手の中には、真っ二つになった木の葉があった
ぜーぜーと荒い息を繰り返すヤマトさんに気を配りつつ、私はカカシさんにも声をかけた
『カカシさーん!
いったん休憩にしましょう!』
カカ「了解ー
瑞乃、悪いんだけど綱手様への報告頼んでいい?」
『はい!
ヤマトさんとナルト君を頼みます!』
たっ、とその場から軽く走って森を抜ける
ナルト君の修業はまずまずといったところ、これからどうなるのか楽しみだ
私がそんなことを考えながら走っている時、
アスマさんとシカマルさんは暁と戦っていたなんて、私は知る由もなかった
――――――
綱「九尾化か…、やはりな
それで、ヤマトの方は大丈夫なのか?」
シズ「九尾化したナルト君を止めるのは、かなりのチャクラを消耗するはずです」
『ヤマトさんは毎回かなりチャクラを消耗し、疲弊しますが
休憩をすれば回復します
いざとなれば私の医療忍術でサポートも出来ますし
今のところは問題ないかと』
綱「そうか…、引き続きナルトの修業の手伝いを頼む」
『はい』
火影邸から修業場に戻る途中
ヒナ「瑞乃ちゃんっ」
『!
ヒナタちゃん!………と』
キバ「よぉ!」
シノ「久しぶりだな」
『キバさんにシノ君…』
ひくり、と少し顔が引きつった
キバさんと会うのは少し気まずい、と思う
告白されたあの日から一度も会っていなかったから
ヒナ「瑞乃ちゃんはこれからどこかに行くの?」
『ナルト君が修業してる場所に、修業のお手伝いをしてるんです』
ヒナ「ナ、ナルト君…
修業してるの…?」
『はい
――!(あ、なるほど)』
ナルト君の話をしていたら、ヒナタちゃんの顔が赤く染まった
…なるほど、ヒナタちゃんはナルト君が好きなのか
キバ「じゃあすぐに戻るのか?」
『い、いいえっ
少し買い物してから行こうかと…』
キバ「ふーん
なら手伝うぜ!」
シノ「なら俺も付き合おう
なぜなら任務はもう終わり、今は暇だからだ」
キバ「はぁ~?!
邪魔すんなよシノ!
俺は瑞乃とデートしてぇんだよ!」
『え?!
ちょっ、キバさん?!』
ヒナ「キ、キバ君っ…!」
キバさんの発言に、私だけでなくヒナタちゃんまで赤面した
シノ君は……、相変わらずの無表情だ
シノ「……仲間外れはよくない、なぜならチームワークに関わるからだ」
キバ「何と言おうが嫌だよ、ほら買い物付き合うぜ瑞乃!」
『えっ…、キバさん?!
ちょっ…!
ヒナタちゃん!シノ君!
また!』
ヒナ・シノ「「……。」」
――――――
『キバさんっ!
お二人はいいんですか?』
キバ「いいんだよ!
―――……それとも、俺と二人きりは嫌なのか?」
『えっ?!
いや、そういうワケじゃないですけど…「ならよし!」…~~っ、ならとことん荷物持ちお願いしますよ!』
キバ「おぅ!」
軽くムキになってぷいとそっぽを向いたのに、隣のキバさんは楽しそうに返事をしてくれるだけ
――俺は諦める気ねぇから―
告白の後に言われた言葉を
今ようやく実感している
キバさんの真っ直ぐな思い
それに応えられない自分
自分にイラつく
キバ「お前さ……」
『?』
キバ「なんか申し訳ない、とか思ってるだろ」
――ギクリ
『い、いいえ』
キバ「今言い淀んだ」
『うっ……』
キバさんの隣で内心焦っていると、キバさんが小さく笑った
キバ「そういう無駄な心配とか気遣いはいらねーよ
俺は好きでお前にアタックしてるんだから」
『……はい』
キバ「ま、いつか俺のこと好きにさせてやっから!」
ニカッ、といつもの無邪気な笑顔を浮かべて私の頭を豪快に撫でる
キバさんの優しさに感謝しつつ、私は心のどこかで
あの気だるそうな雰囲気の彼の姿を思っていた
いつまでも誤魔化していたら、それだけキバさんを傷付ける
でもこの気持ちを打ち明ければ、私は木の葉を離れたくなくなる
どちらに転んでも、私は違う誰かを巻き込んでしまうんだ
『……。(いい加減、決めなきゃ)』
ずっと気付かないフリをし続けていた気持ち
誰に対するものかなんて
本当はだいぶ前から気付いている
早く決めなきゃいけない
気付かないフリを続けるのか
告げるのか
―――――
ナル「――…!
瑞乃ちゃん!おせぇーってばよ!」
『………嘘でしょ?』
九尾のチャクラを解放しかけて気を失っていたハズなのに
まだ30分くらいしか経ってないのに
『………どんだけ元気なんですか』
カカ「ま!これがナルトだから」
ナル「さーて、続きだってばよ!
カカシ先生!次は何すんだ?!」
カカ「ん~?
次はね
―――滝を切る」
『「は?」』
私も思わず聞き返してしまった
滝を切る?
ここに滝なんてないですよ?
カカ「ヤマト」
ヤマ「―…ふー……、仕方ないですね」
パン、とヤマトさんが両手を合わせると
地面が揺れた
土遁忍術か
ヤマ「――…水遁・滝『私がやります』……え?」
カカ・ナル「「??」」
『ヤマトさん、ムリしないでください
――…水遁・滝壺の術!』
ザバァッ、とヤマトさんが作った土壁に水が流れ、滝が出来た
それも、かなり幅が広い
滝が出来たと思ったら、今度はヤマトさんが木遁忍術で橋を作った
それを見るや否や、ナルト君は嬉しそうにニヒヒと笑い、また影分身を何人も作った
………元気だなぁ
――――――
サク「瑞乃」
『!
サクラ、サイさんも』
サイ「こんにちは」
ナルト君が滝を切る修業を始めてから数日
修業の合間の休憩を使い、私は商店街に来ていた
そこで会ったのはサクラにサイさん
『―…それ、ナルト君への差し入れですか?』
サク「うん、瑞乃は何してたの?」
『綱手様に報告していました』
サイ「大変ですね」
『あははー
…………あの人はお昼も夜も関係ないですからね……』
サイ・サク「「あー……」」
『……お二人も被害者ですか…』
私がそう言うと、二人は苦笑いを浮かべた
そのまま三人で軽くおしゃべり
初めて会った頃よりもサイさんとはかなり打ち解けられたと思う
そして、サクラからナルト君への差し入れを預かって別れた
―――――夜――
ナルト君達三人は川の字で眠り、私は少し離れたところで眠っていた時
急に起き上がったナルト君は
朝までずっと滝を切っていた
ザァーーーっ!!
『…あ』
カカ「…第二段階、クリアーだな」
ナル「よっしゃぁーーー!!!!」
日が昇り切った頃
ナルト君は滝を切ることに成功した
新術修業は順調に進み、ようやく形を作る修業に入った時
私達のもとに
悲しい報せが入ってきた
『…え……』
ヤマ「………。
――カカシ先輩!修業はいったん中断して里へ!」
ナル「えー?!」
カカ「……いったい何?」
ヤマ「猿飛アスマさんが……
――…亡くなりました」
突然の訃報
その時私の頭を掠めたのは
あの人の後ろ姿だった
.