友の𠮟咤
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「―――……関心しねぇなぁ、女の子にあんな態度取るのは」
シカ「――!
アスマ……」
瑞乃が店内に入ってすぐに、少し離れたところにいたらしいアスマに声を掛けられた
アス「瑞乃となんかあったのか?」
シカ「………。瑞乃じゃねぇ…」
アス「?」
アスマが首を傾げ、ふいに口を開いた
アス「若者の恋愛は大変だなぁ…」
シカ「…………。
その台詞、親父くさいッスよ…」
アス「あっはっは!
ま、頑張れよ?
たとえキバが瑞乃の事を好きでもな!」
シカ「!!?
なん、でっ…?!」
なぜアスマがキバの事を知っているんだ
そう思いあわてて顔を上げれば、アスマは相変わらずにこやかに笑っていた
アス「お?
やっぱそうなのか?
いやー、女の勘ってのは凄いな
この前な、紅が話してたんだよ
キバが瑞乃のことばかり話すって、アレは完璧に惚れてるってな!」
シカ「…………。」
キバは、本気なんだ
木の葉だろうが砂だろうが、アイツは瑞乃が好きなんだ
俺は、俺は………
――――――
ヒナ「お…、お帰りなさい瑞乃ちゃん…」
『すみません、少し長引いて』
キバ「別に長くねぇよ?
それより、早く食わねーとチョウジに全部食われっぞ!」
チョ「失礼なこと言わないでよね!」
『……ふふっ』
店内の席に戻ると、みんなが相変わらず楽しそうに話していた
ネジ「瑞乃、明日は暇か?」
『え?
えぇ、暇ですよ』
ヒナ「じゃあ、一緒に修業しようよっ…
キバ君も良かったら一緒に…、どう?
私の家の庭でやろうよ…」
キバ「お!俺も行くぜ!
瑞乃ヒナタの家知らねーだろ?
明日迎えに行こうか?」
『あ、お願いします!』
イノ「あらシカマル、お帰り」
チョ「もうお肉ないよ?」
シカ「別にいいって、それより食い過ぎるなよチョウジ」
席に戻るとみんなは相変わらずばか騒ぎしてて、キバの隣にはすでに瑞乃が座っていた
――『…あの…「一人にしといてくれ」……ごめんなさい…』――
冷たく突き放した時に見せた、悲しそうな顔が脳裏に浮かぶ
――――――
テン「――そろそろお開きにしましょうか?」
リー「だいぶ暗くなりましたね」
『今日、ものすごく楽しかったです!
ありがとうございました!』
みんなで勘定を済ませ、焼肉Qを出ると
外にはすでに暗闇が広がり、街灯がぼんやりと道を照らしていた
ナル「サークラちゃーん!
一緒に帰ろうってばよー!」
サク「しょーがないわねー…、瑞乃!またね!」
ナル「瑞乃ちゃん!今日は楽しかったってばよ!」
『私もです!二人ともまた!』
にこやかに手を振りながらサクラとナルト君が帰っていった
その後、ヒナタちゃんとネジさんも帰っていき、いつの間にかシノ君も居なくなっていた
キバ「瑞乃、帰ろうぜ!」
『! はいっ
それじゃ皆さん、今日は本当にありがとうございました!』
テン「やめてよ堅苦しいなー!」
チョ「僕達も楽しかったよ」
イノ「また一緒にご飯食べましょ!」
皆さんと挨拶を済ませ、ふとシカマルさんを見たら
彼はすぐに目を逸らした
『……。』
逸らされた事に悲しさを覚えながらも、それを表情に出さず
隣にいるキバさんに顔を向けた
『……キバさん、帰りましょうか?』
キバ「おぅ!んじゃ、またなお前ら!」
テン「またね~!」
イノ「キバ!瑞乃の事ちゃんと送りなさいよ!」
チョ「いの、シカマル。僕達も帰ろうか?」
シカ「……そうだな」
イノ「えぇ。それよりシカマル!
アンタに聞きたい事があるの」
シカ「……。」
いのの聞きたい事
なんとなく嫌な予感がしていた
ちらりと道の先にいる瑞乃とキバを見る
遠目からでも分かるくらい、二人とも楽しそうに話していた
――――――
イノ「――…で?
シカマル、アレは何よ?」
チョ「アレ?」
イノ「キバのことよ!
どーなってんのよ?!」
いのが鬼の形相で俺に詰め寄る
どーなってんの、と言われても
シカ「――…キバは、瑞乃が好きなんだ」
イノ「え?!」
チョ「……それで?シカマルはどうするの?」
チョウジの言葉がぐさりと胸に刺さる
どうするのか、そんなの決まってる
シカ「どうもしねぇよ、誰が誰を好きだろーが俺には関係ねぇ」
そう吐き捨てた時、いのの手のひらが目の前に飛んできた
イノ「……アンタ、瑞乃の事好きじゃないの?
三年前の中忍試験の時からずっと」
シカ「…………そーだよ」
イノ「キバと争うのが面倒くさいからって瑞乃を諦めるの?
ふざけんじゃないわよ」
シカ「………!」
ひりひりと右頬が痛む
幼馴染みの力強い言葉に胸がざわりと騒めく
諦める
口で言ってもムリだろう
現に俺は、嫌なのにキバと瑞乃を視界に捉えてしまう
シカ「………アイツは砂の忍だ
駄目なんだよ」
チョ「何が駄目なの?」
イノ「バッカねー!世の中には「遠距離恋愛」って言葉があるじゃない!
気持ちでどーとでもなるわ!」
シカ「………はは」
なんと頼もしい奴らなのか
俺がうじうじ悩んでいた事を、こうもあっさり解決してしまった
昔もこんな事あったな
シカ「…さんきゅ」
チョ「僕達は仲間だろ?」
イノ「助けてナンボよ!」
イノ「――…とりあえず、アンタはまず仲直りしなさい!」
シカ「?!
なんでその事…っ!」
チョ「瑞乃とシカマルの顔見れば分かるよ」
イノ「チームメイトなめるんじゃないわよ!」
シカ「…………。」
ここまで見抜かれているとは、正直脱帽した
シカ「仲直りっつっても、明日から任務だろーが」
イノ・チョ「「あ」」
そう、明日から俺達第十班は少し長めの任務に出る
その間アイツとは会えない
そういえば、アイツの本預かりっぱなしだな
返さないと
瑞乃と会う口実が出来て、少しだけ頬が緩んだ
イノ「……まだ仲直りしてないでしょ」
チョ「……ニヤニヤしてる」
シカ「!//」
鋭い指摘を受け、顔に熱が集まる
………任務、さっさと片付くだろうか
親睦会から数日
いつもと変わらず私は修行に明け暮れていた
キバさんのお家でハナさんに教わったり、木の葉病院で教わったり、サクラと修行したり
約束通りヒナタちゃん達と修行したり、と毎日忙しかった
でも、親睦会からシカマルさんと会っていない
サク「――…あぁ、シカマル達?
アイツらなら任務で里にはいないわよ」
『あぁ…、だからいのちゃんやチョウジ君もいないんですね』
サクラとの修行の後、彼女の提案で甘栗甘に来ていた
『……。(シカマルさんいないんだ…)』
サク「瑞乃、シカマルと何かあったでしょ?」
サクラがあんみつを頬張りながらさらりと聞いてきた
ちらりと目の前の彼女を見れば、目は鋭く口元はニヤリと弧を描いていて
逃げられないと悟った
『…………実は』
ぽつりぽつりと事情を話し始めると、サクラは穏やかに笑いながら聞いてくれた
サク「――…なぁーんだ、そんだけぇ?
それはシカマルが悪いわよ、アイツの方が謝ってくるって」
『……でも…、私も気遣わなかったから…』
サク「アンタねー……、そこまで思ってるなら次会ったときに謝れば?」
『……うん、そうします
――あ、ごめんサクラ
明日大きな手術入ってて、その準備があるから戻るね!』
サク「うん、頑張ってね!」
にこりと笑いかけて甘栗甘を後にした
明日は手術を控えている
綱手様やシズネさんも心配するほどの大手術
成功率は高くない
今回、私は木の葉に来て初めて手術全部の指揮を取る
今までの勉強の成果を果たすため、準備は万端だ
『………頑張ろう』
翌日の手術は無事
成功した
―――――
イノ「――…お疲れー」
チョ「疲れたぁ…」
シカ「お前らこのまま帰れよ、報告書は俺が出してくるから」
チョ「ありがとシカマル!」
にっこりと笑いながらチョウジといのが帰っていった
…さぁて、火影邸まで頑張るか
――――――
綱「――…うむ、手術は完璧だったようだな
シズネから聞いている」
『いえ、完璧ではありません
まだ至らない点はたくさんありますし、これからまた精進したいと思っています』
綱「…お前のそういう性格、私は好きだぞ
―――……よし!
この報告書を持って、お前をシズネ直属の部下とする!
以後シズネに従い精進するように!!」
『はいっ!』
綱「――…とは言っても、シズネは私の側近だからな
今までとは何も変わらないさ、とにかく頑張れよ」
そう言って綱手様が綺麗に笑った。その笑顔に見惚れながらも、軽く挨拶をして扉に向かった
綱手様に一人前と認められたような気がして嬉しかった
『それではこれで失礼します』
綱「あぁ、ご苦労さん」
ペコリと頭を下げ、扉を開けて外に出た
シカ「!!」
『あ』
扉を閉めてすぐのところにシカマルさんがいた
親睦会で会って以来、初めて会った
―――謝れば?――
昨日のサクラの言葉が頭をよぎり、口を開こうとしたが
顔を伏せたまま動けなかった
『――っ、ごめんなさいっ…』
たまらず横を擦り抜けようとした
シカ「――待てよ!」
『!』
後ろから腕を掴まれ、おそるおそる後ろを振り向けば
少し目を泳がせているシカマルさんと目が合った
シカ「……あー、その…
…………俺、報告書出すだけだから
待っててくんねぇ?」
『え…』
顔を真っ赤に染め上げながら言うシカマルさんに驚きつつも、小さく頷いた
その時のシカマルさんのほっとしたような顔がすごく穏やかな顔で
顔に熱が集まるのを感じた
シカマルさんが扉の中に消えた後、チェックをもらった報告書を片手に火影邸の外階段の踊り場にきた
眼下に広がる木の葉の里を眺め、一息つく
風の国よりも濃い、青々とした空
流れる雲
『いい天気だなぁ…』
「なに黄昏てるんだよ」
ふいに聞こえてきた聞きなれた声に振り向くと、少し柔らかい表情を浮かべたシカマルさんがいた
シカ「――…なぁ、この後暇か?」
『へ?
この後…。はい、何も無いですし暇です、けど』
少し顎に手を当てて考えた後答えると、シカマルさんは一瞬笑って私を見た
シカ「ならよ、ちょっと俺に付き合え」
『?』
シカ「すぐそこだから」
行くぞ、と階段を降り始めたシカマルさんをあわてて追い掛けた
彼は数歩進むと振り返り、私が隣に来るのを待ってからまた歩き出した
歩幅も私に合わせて、同じスピードで歩いてくれる
その事に頬がゆるみそうになるのを我慢して、私も歩いた
―――――――
『ここは……』
シカマルさんに連れられて着いたのは、屋根がついているベンチがある場所
ほとんど人気はない
ただ、真っ青な空を目一杯見ることが出来る
シカ「よっこらしょ」
いつものようにベンチの上に寝そべり、真っ青な空を見上げる
瑞乃の髪の毛と同じ色の空
シカ「……そんなところに立ってないで瑞乃も座れば?
ここは俺とチョウジだけが知ってる特等席だから」
『特等席?』
失礼します、と俺の隣にちょこんと座り
同じように上を見上げる
寝そべっている俺の目には
瑞乃の髪の毛と空の色が見事に重なって、すごく綺麗に見えた
『………いいんですか?
お二人の特等席を私なんかにバラしちゃって…』
瑞乃がおもむろに口を開いたかと思えば、出てきた言葉は相変わらずで
少しおかしくて笑ってしまった
シカ「バーカ、お前なら別にかまわねぇよ
それにチョウジだって怒りはしねぇーっての。むしろ歓迎すんじゃね?」
『…そうだといいんですが』
シカ「そうだっての
それに、ここなら誰にも邪魔されずにお前と話せるからな」
『……!』
ぱっと振り向いた瑞乃の顔が、いつもと違って子供っぽく見えた
むくりと起き上がり、隣に座る瑞乃を見る
きょとんとしたまま、青い瞳がじっと俺を見る
シカ「……この前は、悪かった」
『!』
ガシガシと頭を掻きながら視線をさまよわせて、ぽつりと言った
頬は赤く染まって、いつものシカマルさんと違って可愛かった
『…謝らなくていいです!
私も気遣わなかったし、ちょっと礼を欠いていたと思います』
シカ「……。(本当にコイツは…)」
自分のまわりにいる女には無い、落ち着いた物腰と雰囲気
女らしい気品
シカ「……やっぱ、お前面白いな」
『え?』
シカ「そういうところが好きなんだけどな」
『!!
えっ……』
カァァッと一気に顔が上気して、びっくりしてシカマルさんの顔を見つめてしまった
シカ「……あっ!!いや、今のは…!!
そのっ「あれ~?瑞乃がいる!」―…チョウジ!」
『こっ、こんにちは…』
ポテチの袋を片手にのんびりと歩いてきたのはチョウジ君
シカ「悪ぃなチョウジ、瑞乃にここ教えた」
チョ「別にいいよ、瑞乃なら大歓迎だし」
『(あ…、シカマルさんの言ってた通り)』
ふとシカマルさんを見ると、シカマルさんが私を見てニヤリと笑った
バリバリとポテチを頬張りながら私とシカマルさんの顔を交互に見るチョウジ君
チョ「……その様子じゃ、仲直りしたみたいだね」
シカ「…まぁ、な」
『お陰様で』
ふっと優しく笑うシカマルさんと目が合って、どきりと胸が騒めいた
シカ「―…そういえば、瑞乃は何で火影様のところにいたんだ?」
『手術の報告書のチェックを貰いに行ってました』
ほら、と見せた報告書は俺達が普段使っているのとは違うもので
書いてあることが暗号のように見えて、チョウジと俺は首を傾げて見ていた
チョ「………なにこれ意味わかんない」
『あはは。これはサクラ達も分かりませんよ、きっと』
シカ「さすがだなー」
俺の特等席で、三人でほのぼのとしゃべっていた
――――――
シカマルさんに送ってもらい、アパートに帰ってきた
先ほどの丘で見せたシカマルさんの笑顔、言葉の一つ一つが頭の中を駆け巡る
『…駄目なのに……』
シカマルさんは木の葉の忍で
私は砂の忍
駄目なのに
『……あんなの反則でしょ…』
.