二人の気持ち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヒナ「―――……あっ、瑞乃ちゃん…」
ネジ「どこ行ってたんだ?」
シカ「ちょっと散歩してた、………って何してんだ?」
『……ナルト君だよね?アレ』
自分達が入っていた温泉が見えてくると、瑞乃はするりと手を離した
それにいくらかの淋しさを抱きながらも、とりあえずみんなと合流する
宿の前には
鬼の形相で仁王立ちしてるサクラといの、そしてボロボロのナルト
……だいたい察しはつくが
シカ「ナルトのバカが何かしたのか?」
そう聞けば、サクラが鬼の形相のまま口を開いた
サク「ナルトが覗きしたのよ!!」
イノ「あんたバカじゃないの?!
いい加減にしないとぶっ飛ばすわよ!!」
『……あはは』
覗きは瑞乃が出た後に行われたから、隣のコイツは苦笑いを浮かべるだけだ
とりあえず、女子(ヒナタと瑞乃以外)がナルトを成敗して
この話は解決した
ナルトが土下座をする中、キバが少しだけ強張った表情で歩み寄ってきた
キバ「――…シカマルと瑞乃は今まで何してたんだよ?」
シカ「何って…、散歩だよ。ここら辺うろうろしてた」
な?と隣の瑞乃に同意を求めれば、コイツは小さく頷いた
その答えに納得がいかないのか、キバは不服そうな顔のままだ
キバ「………ふーん…、散歩ねぇ」
シカ「…………なんだよ」
キバ「別に
――…おーい!そろそろ焼肉Qに行こうぜー!」
すぐに俺達から目を逸らし、みんなに声をかけた
チョ「肉―――!!」
ナル「食べるぞ―――!!」
テン「そこの二人!!
これは瑞乃の親睦会だってこと忘れるんじゃないわよ!!」
『まぁまぁテンテンさん、楽しければいいじゃないですか』
チョウジ君とナルト君を叱るテンテンさんを宥め、行きと同じようにみんなで賑やかに歩き出した
―――――――
キバ「――…シカマル」
シカ「あ?…なんだよ」
さりげなく俺の隣にきたキバ
その目はなぜか真剣で、隣にいる俺まで真剣になる
キバ「俺、瑞乃のこと好きだから」
シカ「―――!!」
それは思いもよらなかった告白で
俺は驚いてキバを見た
キバ「お前は?」
シカ「………。
…知るかよめんどくせぇ……」
頭を掻きながらいつもの調子で返してみたら、返事は無かった
返事は無かったのが不自然だと感じ、キバを見た
その目は
真剣そのものだった
キバ「――…めんどくせぇんなら、俺が瑞乃のこともらうからな」
シカ「!
…………勝手にしろ」
ふいと顔を背け、前を歩いてるチョウジのもとへ行った
…正直、キバの目を真正面から見れなかった
―――――――
テン「――…じゃ、本当に今さらだけど
瑞乃の親睦会を行いたいと思いまーす!」
「「「「いぇーい!!!」」」」
『ありがとうございます』
焼肉Qの大人数部屋に通され、一つの大きなテーブルに全員座った
キバ「瑞乃、皿あるか?」
『あ…、無いです』
キバ「ほらよ」
『すみません、ありがとうございます』
シカ「……。」
瑞乃の隣には、キバが当たり前のように座っている
ヒナタ、瑞乃、キバの順だ
イノ「ちょっとシカマルー!
どうして瑞乃の隣行かないのよー!!キバが座っちゃったじゃなーい!」
チョ「シカマル…」
シカ「………別に誰が隣だろうがどうでもいいだろ」
俺の両側に座っているチョウジといのが何か言いたげな顔をしているが、俺は気付かないフリをした
テン「―――じゃ、改めて自己紹介といきましょうか!
とりあえず瑞乃!なんかしゃべんなさい!」
『Σえぇ?!いきなりですか?!
何を言えば…』
キバ「名前とか好きなものとかでいいんじゃねぇの?」
『…、えと……
私は「立って言いなさいよ!」……サクラ…』
サク「何よー。別に減るもんじゃないし、いいじゃない!恥ずかしがらない!」
ナル「そうだってばよ瑞乃ちゃん!」
ふと端っこを見れば、サクラとナルト君がニコニコしながら私を見ていた
その近くに座っているテンテンさんや他の人も笑っている
こういう状況に慣れていないため、私の顔に徐々に熱が集まる
少しだけ深呼吸をし、みんなを見回した
『…えーと、改めて
虹色瑞乃です
木の葉には任務で滞在しています。いつまで居るか分かりませんが、みなさんよろしくお願いします!
……あと…
好きなもの……とかは…
うん、やっぱり一番好きなものは
砂隠れの里や仲間達です!
もちろん木の葉隠れも好きだし、仲良くしてくれるみなさんの事も好きです!』
もう一度よろしくお願いしますと言って頭を下げたら、皆さんが拍手をしてくれた
サク「ちょっと瑞乃!
あんたまだまだネタあるじゃない!」
『Σネタ?!』
皆さんが首を傾げる中、サクラが胸を張ってにっこりした
サク「――…みんないい?
瑞乃は砂隠れの特別上忍なのよ!
それに加えて、その年齢で砂の医療班副班長!」
イノ「そうそう!
そして未来の医療班班長!!
綱手様やシズネさんも一目置くすごい存在なのよ!」
『……なんで二人がそんなに自慢気なのよ…ι』
ネジ「………特別上忍なのか」
リー「知りませんでした!」
テン「なんか瑞乃ってすごいのね!」
『いやいや、とんでもない…ι
私なんて、まだまだガキですよ』
赤面しながら首をブンブンと振る瑞乃、その姿をぼんやりと見つめていたら
誰かが肉を焼き始めた
そこからは各々が自由に楽しみ、席を移動したり食べたり話したり……と、賑やかに時がすぎていった
――――――
ネジ「―――……ヒナタ様、すみませんが皿を取っていただけますか?」
ヒナ「あ…はいっ…
どうぞ、ネジ兄さん」
『………。(ヒナタ様?ネジ兄さん??)
…………あの……
ヒナタちゃんと日向さんはどういう関係なんですか…?
名字も同じだし、兄妹ですか…?』
ヒナ「あ…あのねっ…
ネジ兄さんは私の従兄なの…」
ネジ「あぁ。だが、ヒナタ様は宗家で俺は分家だから、俺は「ヒナタ様」と呼んでいる」
『………なるほど…』
私の隣に座っているヒナタちゃん、それと正面に座っている日向さん
この二人に尋ねてみたら、二人は優しく教えてくれた
ネジ「………それより瑞乃、俺のことはネジでいい
日向さんはちょっと…」
『え?
………じゃあ…、ネジさんで』
あぁ、と小さく笑うネジさん。隣でヒナタちゃんも同じように笑っている
この二人は仲が良いんだな
と思った
キバ「なぁなぁ瑞乃、俺の事もキバでいーぜ?ていうか、名前で呼んでくれよ」
『え?』
ヒナタちゃんとネジさんと話し終えると、隣の犬塚さんが焼けた肉を取りながら話し掛けてきた
『……いいんですか?』
キバ「おぅ!当たり前だろ?
――――……それに、シカマルの事は名前で呼んでるのに
俺だけ名字は嫌だからな!」
『(シカマルさん?)
……じゃあ…、キバさんで』
キバ「よし!」
初めて名前を呼んだら、キバさんはにっこり笑って私の頭をわしゃわしゃと撫でた
――――ガタンっ!!―――
「「「「!」」」」
『!
シカマルさん?』
少し離れたところに座っているシカマルさんが急に立ち上がった
それを見たキバさんが、私の頭に乗せていた手を退かした
ナル「シカマル、どうかしたのかってばよ?」
サク・イノ「「……。」」
ナルト君の声にシカマルさんはゆっくりと顔を上げて、無表情のまま小さく口を開いた
シカ「………あー…悪ぃ、ちょっと外の空気吸ってくるわ」
『大丈夫ですか?』
シカ「………っ」
『(シカマルさん…?
私の声聞こえなかったのかな…)
あの…「瑞乃、これも食えよ!」
キバさん…』
キバさんを向いたと同時にシカマルさんが席を立った
『……。』
キバ「瑞乃?食わないのか?」
『…!
ありがとうございます…』
シカマルさんのいつもと違う反応が気になりつつも、私はキバさんに顔を向け、そのまま話していた
――――――
シカ「―――――………あー、くそっ……」
焼肉Qの外に出て、近くの電柱に腕の上から額を押し当てるように寄りかかった
無性にイライラする
胸がズキズキと痛い
――…理由なんて分かり切っているが
あからさまにあんな態度を取ったのは、自分でも驚くくらい無意識だった
――俺、瑞乃のこと好きだから―
さっきのキバの言葉が頭を駆け巡る
薄々気付いてた
そうなんじゃないかって
ただ、認めたくなかった
――…俺はやっぱ逃げ腰だ
昔からなんも変わっちゃいねぇ
お前はどんどん実力や人望を得て、砂隠れの里から必要とされる優秀な人材になって
どんどん俺から離れていく
瑞乃が離れていく
それは嫌だ
答えははっきり決まってるのに、離れてしまった距離を埋められない
俺みたいな普通の忍が追い付くのなんて無理だ
気持ちと現実が伴わない焦燥感が俺を縛り付ける
歩み寄りたい
隣で笑う顔を見ていたい
そう思えば思うほど見えない壁が立ち塞がる
そして思い知らされる
俺には
その壁をぶち壊せない
って
もし仮に俺と瑞乃の気持ちが同じだったとしても
俺は木の葉
瑞乃は砂
国という壁がまた現れる
なぁ瑞乃
俺のこの気持ちは、蓋をしたまま消しちまえば良かったんだ
お前と再会しなければ
出会わなければ
こんなに苦しむことは無かったのか?
――――――
シカマルさんの様子が気になる
体調が悪いのだろうか…
ネジ「――瑞乃?」
『!
あ、すみません…。何のお話でしたっけ?』
ネジ「だから、今度手合せしてくれないか?……いや、修業といった方がいいか…」
ヒナ「私もお願いしていいかなっ…?」
キバ「俺もしてーな!頼むぜ!」
『(修業のお話か…)
もちろんいいですよ。こっちに来てから何もしてないですし、なまりたくないので
お相手していただけるのなら私も嬉しいです!』
キバ「よっしゃ!んじゃ、暇な時に誘いに行くぜ!」
『あ、ありがとうございます!
――――…すみません、少し席外しますね』
ヒナ「うんっ…」
キバさん、ヒナタちゃん、ネジさんに一声かけ、私は席を立った
シカ「………はぁ…」
キバの気持ち
俺の焦る気持ち
気持ちが複雑に絡まり合う
俺はどうしたいんだ
『―――…シカマルさん?』
シカ「…!
瑞乃…」
『大丈夫ですか?さっきからずっと戻ってこられないので気になって…』
シカ「………。」
瑞乃の気遣いは嬉しい
けど、今は会いたくなかった
早くキバのところにでも行けよ
『……シカマルさん?』
シカ「っ!」
瑞乃がそっと俺の肩に触れ、顔を覗き込んできた
その時思わず
――パシッ―
『え……』
シカ「あ………」
その手を払ってしまった
『……。』
シカ「……!!」
その時の瑞乃の顔は驚きと悲しみで歪んでいて
自分がその顔を作ったと思うと申し訳なくて、顔を直接見れなかった
『……あの…「一人にしといてくれ」………ごめんなさい…』
違う
瑞乃は悪くない
全部俺が悪い
分かってるのに、言葉が出ない
『………チョウジ君達もいますから、何かあったらどなたか呼んでくださいね…』
シカ「――…っ!!」
瑞乃が中に戻った
.