親睦会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シカマルさんの顔が思い浮かぶ
気だるそうな顔やチョウジ君達と笑っている顔、照れた時の顔
木の葉に来てから、シカマルさんの色々な顔を見るようになったと思う
『……………………すごく、優しい人ですよね…
私は好きですよ、いい方ですし』
正直な思いを口にすれば、どこか納得がいっていないような顔をするサクラといのちゃん
やがて、二人は何やらひそひそと話し始めた
―――――――
『…………すごく、優しい人ですよね…
私は好きですよ』
シカ「えっ…!」
好きですよ
という言葉に驚き、一瞬溺れそうになった、が
『いい方ですし』
シカ「……あー…………」
何だろう
一人でわたわたと慌てている自分がものすごく可笑しく感じた
瑞乃の言葉一つ一つに一喜一憂し、振り回される
普段の自分なら「めんどくせぇ」で片付けるが、瑞乃に振り回されるのは
別に嫌ではない
そう思っている自分がいた
サク「―――……じゃあさ、瑞乃
……キバのことはどう思う?」
『……犬塚さんですか…?
うーん……』
胸が騒めいた
無意識にキバを見れば、シャワーでナルト達と楽しそうにじゃれあっている
恋愛話が好きなサクラ達の事だ
先ほどの二人、………いや、キバを見て
キバは瑞乃が好きなのでは
という可能性に気付いたんだろう
『―――……犬塚さんのことは――』
瑞乃の声がそこまで聞こえた時だった
ナル「――やいこらキバっ!!
それは反則だってばよ!!」
キバ「はぁ?!
どこが反則なんだよ!
じゃんけんで負けた奴が何か奢るー、とか言うからやったのによぉ!!
負けたからっていちゃもん付けんな!!」
ナル「ぐぬぬっ………」
チョ「ナルト、キバの勝ちだよ
あきらめな」
シカ「………聞こえなかったし…」
ナルト達の騒ぐ声で、その先を聞くことは出来なかった
……………てか、盗み聞きは悪いよな…
だが、瑞乃がキバをどう思っているのかは気になる
―――――――
『犬塚さんのことは
普通に面白い方ですし、一緒にいて楽しいですよ!』
サク「………。あー…ι」
イノ「はぁ………、ダメねこれは」
『?』
湯船のふちに腕を乗せ、盛大なため息を漏らす二人
ヒナタちゃんとテンテンさんは違う話に華を咲かせている
『あの、――――……!』
目の前が少し歪んだ
逆上せたかな…
ヒナ「…?
あ…、瑞乃ちゃん…
顔赤いよ?逆上せた…?」
テン「え?
あ、本当だ。そろそろ上がったら?
サクラ達の尋問長いし、これ以上は危ないわよ」
サク「ごめん瑞乃!」
イノ「ごめん!」
『いえ、私は別にかまいませんよ
……とりあえず、私はお先に失礼しますね』
テン「少し外の風に当たった方がいいわよ!散策とかしてみたら?
……あ、そうそう
この後は焼肉だからねー!
ちゃんと戻ってきてよ!」
『焼肉ですか?やった!
それじゃ、少し散策してみます!』
テンテンさんの気遣いに感謝し、私はみんなより先に温泉を出た
―――――――
シカ「…………あちぃ…」
チョ「シカマル、そろそろ上がったら?
結構入ってたでしょ」
ナルト達が騒ぐ声を無視し、温泉に浸かっていたが
だいぶ暑くなってきた
ナルト達をなだめてから湯船に入ってきたチョウジに出るよう促され、俺はみんなより先に上がった
脱衣場で着替えている間も、ナルト達のばか騒ぎの声が頭にガンガンと響いてくる
…………完全に逆上せたな
外の風にでも当たっとくかな…
――――――
『―――……あれ?』
シカ「あ、…ぅわ……っ」
普段着に着替え外に出ると、外に置いてあるベンチに瑞乃が座っていた
『………うわって何ですか…、酷いですよ…』
シカ「あ、いや………」
………やべぇ、瑞乃が居たことにも驚いたが
風呂上がりでまだ濡れている、空色の艶やかな髪の毛
ほんのり赤く染まっている頬に、しっとりと濡れている赤い唇
いつもの瑞乃と違い、どこか大人の色香が漂う彼女に
柄にもなく焦ったのだ
『お早いですね?』
シカ「……あー、ちょっと逆上せちまってよ…」
すっとさりげなく隙間を作ってくれた瑞乃の隣に座り、爽やかな風に当たる
風が火照った体を冷ましてくれるが、今はあまり意味が無い
隣にいるいつもと違う彼女に戸惑い、心臓の動きはどんどん早まる
『シカマルさんも逆上せたんですか?
私もですよ』
シカ「っ!」
ふわりと笑うその顔を直視出来ず、すぐに顔を背けてしまった
心臓はどきどきと激しく鳴り、また逆上せたような感覚に陥る
不自然に顔を背けたことに気付かなかったのか、瑞乃はまた穏やかに笑いながら空を見上げていた
『あ、そうそう
テンテンさんが散策でもしたらどうだ、って』
シカ「……あー、あいつらの風呂長ぇからな
まだ中でばか騒ぎしてるぜ」
『あはは、楽しそうですね』
やれやれと肩をすくめれば、瑞乃はクスクスと小さく笑った
シカ「…………行くか?」
『え?』
シカ「散策
あいつらが出るまでまだ時間掛かるだろうし
ここら辺うろうろすっか?」
―――――……ぅわー、なんか口走った…
瑞乃きょとーんてしてるし、最悪
あー、恥ずかしい
穴があったら入りたい
『――…いいですよ』
シカ「………は?」
『散策しましょうよ』
シカ「……………。
………え?」
今なんつった?
『……嫌ですか?』
シカ「えっ、と……
……嫌じゃねーけど…」
『じゃあ行きましょう!
早くしないとみんなが出てきちゃいますよ!』
シカ「あ…、おいっ」
ベンチから立ち上がり、瑞乃が俺の手を引っ張って立たせた
瑞乃に握られている手がどんどん熱を帯びていく
今が風呂上がりで本当に良かった
『ほら、行かないんですか?』
にこりと笑いながら後ろを振り返る。少し濡れた髪の毛が風に舞う
その姿にどきりとした
シカ「―――……そんなに急ぐことねぇだろ
ガキみてぇ」
『えっ!
いいじゃないですか!』
ククッと笑うと、瑞乃は顔を赤くしてムキになった
同じ時間を過ごせば過ごすほど、瑞乃に対する気持ちが膨れ上がる
木の葉と砂という隔たりがあるのに
―――――――
『わー、すごい人ですね』
シカ「一応、でかい観光地だからな」
温泉街の大通りを、二人でぶらぶらと歩く
瑞乃は温泉街というものを見たことが無いらしく、物珍しそうにまわりをキョロキョロと見渡していた
『あっ……』
シカ「!」
かなりの人ごみの中、瑞乃がすれ違いざまに誰かとぶつかった
その拍子に距離が開き、一瞬だけ姿が見えなくなった
シカ「―――……バーカ。お前意外ととろいな」
『……すみません…』
人ごみをかきわけて、シカマルさんが私の手をつかんだ
シカ「………ほら、行くぞ」
『……え…』
手を掴んだままシカマルさんは歩き出して、私もそのまま後をついていった
よく考えると
今、私とシカマルさんは手をつないでいる
『シ……、シカマルさんっ…手……っ』
シカ「……いーから、はぐれたら困るだろ…」
『………!』
後ろから見たシカマルさんの耳はものすごく真っ赤になっていて
知らず知らずの内に私の頬はゆるんでいた
――…この時間がずっと続けばいい、そう思った
瑞乃の手は思ったより小さく、自分の手の中にすっぽりと収まった
少し人が減った場所に来たら、瑞乃が俺の手を握ったまま
顔を覗き込んできた
『なんか、デートみたいですね』
シカ「!!//
ばっ……かヤロー」
恥ずかしくて手を離そうとしたが
離れなかった
びっくりして瑞乃を見たら、彼女の顔は真っ赤に染まっていた
シカ「……瑞乃…?」
『………。
…もう少し、このままでいませんか…?』
シカ「え……」
上目遣いで頼んでくるから、一気に鼓動が早まった
顔にはどんどん熱が集まる
そんな顔されたら
期待しちまうだろ……
シカ「………あいつらがいるところまでのデートな」
『……ふふっ、了解です』
照れ笑いを浮かべる瑞乃に、また胸がぎゅっと掴まれたような感覚に陥る
二人だけの短いデート
本当に短いけど
それでもどうしようもなく胸が高鳴るのは、きっと俺だけじゃない
そう思った、……思いたかった
.