親睦会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
綱「―――……そうか、風影は無事だったんだな
みな、ご苦労だった」
カカ「暁の情報はこの通りです…」
一通り話し終えたカカシさんに目を向け、労いの言葉をくださる火影様
そして全員を見渡し、凛とした声で仰った
綱「お前達二班にはしばしの休暇を与える
もちろん瑞乃もだ」
『えっ
お心遣いは有り難いですが…』
遠慮しようと口を開くと、私と被せるように火影様が大きくため息をついた
綱「……はぁー
…瑞乃、お前木の葉に来てから毎日修行ばかりだっただろう
頑張るのは大いにいいが、無理をして体を壊したら元も子もない
――…木の葉には観光地が多くあってな
この機会に観光地巡りでもしてみたらどうだ?」
『……観光地巡り…』
確かに、一度は行ってみたいと思っていたが…
どうしたものかと首をひねっていたら
テン「そうだ!みんなで温泉に行きましょ?」
サク「あ!いいわね!」
リー「賛成です!」
ナル「よっしゃ!そうと決まれば早速みんなを誘うってばよ!!」
ネジ「まったく…」
『…えー……』
ナルト君がバタバタと部屋を後にした
綱「――…という事だ
楽しんでこい」
『……じゃあお言葉に甘えて…』
私が苦笑いを浮かべながら返事をしたら、テンテンさん達がニッコリ笑ってくれた
日向さんも何だかんだで楽しそうだ
――――――
テン「――…さて、ナルトが誘いに回ってくれてるけど
私達も一応声かけに行こうか」
リー「そうですね」
火影様の部屋を後にし、今はテンテンさんとリーさんと日向さんの四人で歩いている
とりあえず知り合いを探そうと四人でキョロキョロしていたら、道の先からよく見知った二人が来た
テン「あー!ちょうどよかった!
いの!チョウジ!」
いのちゃんとチョウジ君だ
チョ「あれ、なんか珍しい顔ぶれだね?」
イノ「瑞乃じゃない!
最近会わなかったけどどうしたの?」
『あー…、まぁ色々あって…』
どうやら、我愛羅の件は一部の人しか知らないようだ
リー「今、みんなで温泉に行かないかと誘っているところなんです!
二人もどうですか?」
チョ・イノ「「もちろん行く!」」
『(Σはやっ…)』
イノ「どうせなら瑞乃の親睦会にしましょうよ!
瑞乃が木の葉に来てからだいぶ経つんだし、ね!どう?」
いのちゃんの提案に、その場にいたみんなが笑顔で頷いてくれた
その後、いのちゃん達はシカマルさんを誘いに行き、犬塚さん達はナルト君に任せ
私達は一旦帰ることになった
――――――
『(そういえば…、何時にどこで集合とか聞いてないな…)』
アパートの自分の部屋で、出かけるための荷物をまとめていてふと思った
…………どうしよう
いのちゃんの家とか知らないし、困った
とりあえず任務服から私服に着替え、いつでも出掛けられるようにしてのんびりしていた
ふと、机の上に飾ってある写真立てに目が行った
そこには
我愛羅、テマリ、カンクロウと私の四人が写っている写真と
テマリが撮った、チヨばあ様と私が一緒に修行をしている写真が立ててある
『………チヨばあ様…』
そっと写真を手にし、胸元で強く抱いた
じわりと目頭が熱くなり、頬を涙が流れた
目を閉じれば、チヨばあ様との修行の日々が思い出され、涙はとうとう止まらなくなる
そんな時
――コンコン―
『――!!』
アパートの扉がノックされた
あわてて涙を拭い、写真立てを玄関の脇にある棚の上に一旦置き
扉を開いた
『………あ…』
シカ「………よ」
玄関先には、少しだけ哀しそうな顔をしたシカマルさんがいた
『………お久しぶりです』
シカ「…おぅ
―つぅか、相手が誰か確認してから開けろよな」
『……すみません』
瑞乃が謝ったその時、玄関脇にある棚の上の写真に気がついた。それと、瑞乃の頬に濡れた跡があることにも
シカ「――…泣いてたのか?」
『…っ!』
泣いてたのか
そう聞くと、瑞乃は肩を揺らし目を伏せた
シカ「聞いたぜ、我愛羅が無事だった事も
お前の師匠のことも…」
『………。』
さっき急いで止めたのにな…
また、涙が流れてきた
シカ「………。」
ぽんぽんと軽く頭を撫でると、瑞乃はポロポロと涙を流した
くぃっ
『…!』
シカ「…いーから、そのまま気が済むまで泣いとけ」
瑞乃を腕の中に閉じ込めた
最初は小さな抵抗を見せていたが
やがて
声を押し殺して泣き始めた
――――――
『………本当にすみませんでした…
何度もお見苦しいところを見せてしまって…』
瑞乃は涙がとまってすぐに謝ってきた
シカ「だからお前は謝り過ぎ
いちいち気にすんなっての」
『いや、気にしますって』
シカ「うっせーな、もう気にすんな
――…ほら、支度出来てんなら行くぞ。いのに小言言われちまう」
くるりと背中を向け歩き出すシカマルさんを、あわてて追い掛ける
やっぱり、この人は本当に優しい
『――…シカマルさん』
シカ「んだよ?」
『いつもありがとうございます』
シカ「っ!//」
ひょいと俺の顔を覗き込み、いつもの可愛らしい笑顔で笑いながらお礼を言うもんだから
思わず立ち止まってしまった
ちくしょー可愛いな
初めて泣き顔を見たが、あの顔は多分忘れないだろう
儚げで、とても綺麗だったから
シカ「――…その顔反則」
『へ?
――Σ痛っ!』
赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、瑞乃の額にでこぴんを食らわせた
イノ「―――……あー!
やっと来たわね!」
サク「遅かったじゃない!」
ヒナ「あ…久しぶり、瑞乃ちゃん…」
集合場所らしきところでは、すでによく見知った顔ぶれが勢揃いしていた
キバ「ひゃっほーい!
よぉーっす瑞乃!久しぶりだな!」
『わっ…、犬塚さんと赤丸君も久しぶりです』
すでに集合していた犬塚さんが話し掛けてくれ、赤丸君は私に擦り寄ってきた
その赤丸君を撫でながら、犬塚さんがぼやきはじめた
キバ「――…ったくよー、俺が迎えに行くって言ったのによー」
サク「キバが行っちゃ意味ないの!」
イノ「それに、あんた瑞乃の家知らないでしょー?」
キバ「いざとなりゃあ鼻使って見付けだすぜ」
シカ「やめろバカ」
『………。ヒナタちゃん、シカマルさんが迎えに来たのは…
サクラ達の陰謀?』
ヒナ「陰謀って…」
サク「ちょっと瑞乃!
陰謀ってどういう意味よ!!」
イノ「人聞きの悪いこと言わないでよ!!」
『おぉ……ハモった』
その後もぐだぐだと談笑していたが、ナルト君の「早く温泉行くってばよ!」発言により
ぞろぞろと移動を始めた
メンバーは
サクラ、いのちゃん、ヒナタちゃん、テンテンさん、ナルト君、シカマルさん、チョウジ君、犬塚さん、シノ君、日向さん、リーさん
全員顔見知りだ
キバ「―――……でなっ、その時に……」
『あはは、すごいですね!』
キバ「だろ?そんでもってよー…」
シカ「……………。」
チョ「……シカマル?」
今、みんなで温泉に向かっているんだが
さっきから瑞乃の隣にはキバがいて、何やらしきりに話し掛けている
表情は分からないが、おそらく瑞乃は笑顔で話を聞いているに違いない
後ろから見ていて
正直気に入らない
サク「――…ねぇいの…」
イノ「…多分私も同じ事言おうとしてるわ…」
サク「………キバ、ってもしかして…?」
イノ「……なのかしら…?」
『……(…なんか視線を感じる)』
キバ「ん?どうした瑞乃?」
『あ…、いや
なんでも無いですよ』
キバ「そうか?」
にこりと犬塚さんに笑い掛けると、彼はまた無邪気に笑ってくれた
チョ「シカマルどうしたの?」
シカ「…何でもねぇ」
なるべく二人を見ないようにして、隣にいるチョウジやナルト達としゃべっていた
―――――――
『わ………、すごい…』
ヒナ「あ…、瑞乃ちゃんは初めて温泉に来たんだよね?」
『はい……、すごいですね…』
温泉街に来ると、どこからともなく温泉特有のいい香りが鼻をくすぐり、色々な場所から湯けむりが立ち上っている
初めて見る景色だった
テン「――…じゃあ男子はそっちね!
ほら瑞乃!入りましょ!」
『あ、はい!』
「女」と書かれた暖簾(のれん)の中に消えていくテンテンさん達を追い掛けて、同じように暖簾に手をかけた時
ふと隣の男湯の入り口を見たら、ちょうどシカマルさんが入るところで
目が合った
シカ「――…、また後でな」
『はい!』
それじゃあ、と
いつものようにふわりと笑って瑞乃が中に消えていった
………多分、顔赤くなってるな
アレは不意打ちだろ、反則
どうにか、頬がゆるむのを耐えながら脱衣場に入った
――――――
イノ「――…さぁて瑞乃、覚悟は出来てるかしら…?」
サク「ふふふ…」
『……………はい?ι』
湯船に浸かり、のんびり体を癒そうとした矢先
いのちゃんとサクラが(恐ろしい)笑みを浮かべながらにじり寄ってきた
…………え、なんですか
めちゃくちゃ恐いんですけど
助けて、という目線をヒナタちゃんとテンテンさんに送れば、苦笑いを浮かべ
「あきらめた方がいい」
と言われた
イノ「――…瑞乃!あんたぶっちゃけシカマルの事どー思ってんの?!」
『……え、シカマルさん?』
何を聞かれるのかと内心ビクビクしていたら、意外なことに
シカマルさんのことで、私は拍子抜けしてしまった
『………シカマルさんをどー思ってんのかと言われましても…
普段からお世話になってて申し訳ないなぁ…、と…』
イノ・サク「「ちがぁーう!!!!」」
『Σえぇ…』
ヒナタちゃんとテンテンさんなんか、私達を微笑ましそうに見ているだけだ
………お願いします、助けてください
こういう話をした事なんて、ほとんど無いんですよ…
――――――
イノ「――…瑞乃!あんたぶっちゃけシカマルの事どー思ってんの?!」
『……え、シカマルさん?』
シカ「――…!
(俺…?)」
男湯と女湯を隔てる壁は、どうやら天井付近は無いらしい
換気のためだろうか
それに気付いていない様子のいのの声がはっきりと届いた
ラッキーな事に、ナルトやキバなどの俺以外は、まだ一列に並んで頭を洗っている最中で
時折、笑う声が聞こえてくる
いのと瑞乃の声に気付いたのは俺だけのようだ
『―………シカマルさんをどー思ってんのかと言われましても…
普段からお世話になってて申し訳ないなぁ…、と…』
イノ・サク「「ちがぁーう!!!!」」
『Σえぇ…』
シカ「………、あー…」
会話がだだ漏れなのに気付いていない女子達(主にいのとサクラ)の声がはっきり聞こえる
瑞乃の答えは辛うじて聞こえてきたが、内容は
予想通りというか、悲しいというか…
何とも言えない負の感情が胸に広がった
『――あ、でも…』
シカ「!」
イノ・サク「「でも?!」」
.