帰郷
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
フウ「瑞乃様、そろそろ砂隠れに到着します」
『――…!
さすが、早いねフウ』
火影様のお部屋から飛び立って丸一日
すでに砂漠地帯に入っており、フウの背中から遠くを見れば
懐かしい故郷が見えてきた
『フウ、とりあえず里の入り口に下ろして』
フウ「はい」
ヒュウっと低空飛行に切り替え、入り口に下りた
『――…!!
何これ…っ!!!!』
里の入り口には、無惨な光景が広がっていた
両側の壁はえぐられ、唯一の道は岩やら砂やらが山のように積もっており、行く手を阻んでいた
所々には、血と思われる染みも確認できる
バキ「――…!!!!
瑞乃か?!」
『!!
バキさん!!何があったんですか?!』
山の上から顔を出したのは、担当上忍のバキさん
他にもたくさんの砂の忍がいた
バキ「風影様を連れ去った連中のトラップだ!
今はほとんど取り除いた!」
『トラップ…
フウ、足貸して』
フウ「はい」
すぐ後ろに控えていたフウが飛び立ち、すぐにその足に片手でぶら下がる
山を越えると手を放し、バキさんらの近くの地面に着地する
それを見届けたフウは煙となって消えた
バキ「瑞乃、よく帰ってきてくれた」
『そんな挨拶は後です。もうこの山に人はいないんですね?』
バキ「?
そうだが…、どうしたものか…」
うーんと頭をひねるバキさんや他の砂忍達
人がいないなら、話は早い
『でしたら、この山を里外の砂漠に流します』
「え?!」
「何言ってるんですか瑞乃さん!そんなの『水遁・水鮫弾の術!』――!!」
ザバァァァっと、何もない場所から大量の水が湧き出た
そのまま岩山を飲み込み、濁流となって里外の砂漠に流れ込む
「嘘だろ…」
「さすが瑞乃さん…」
砂忍達が騒めくが、瑞乃は無視してバキに向き直った
『――…とりあえず応急処置です。後は土遁が使える忍に任せましょう
――……バキさん、何があったのか話してください』
―――――
『………目的は
我愛羅の中の守鶴、……ですか』
バキさんから一通り説明していただいた
話は木の葉で聞いたものと大差ない
バキ「瑞乃、お前にはすぐに病院に向かってもらいたい」
『分かっています
カンクロウの容態が気になりますし、このトラップで怪我をした方もいますよね?
その方達の治療にあたります』
バキ「頼む」
苦虫を噛み潰したような顔をするバキさんに、なるべく安心させるように笑い掛けた
すぐに病院に向かうつもりだったが、いくつか気になる事がある
『バキさん、風影様の救出に向かった者は?』
この質問に、その場にいた忍の全員が
固まった
………嫌な予感がする
バキ「………風影様の救出には……、誰も向かっていない……」
耳を疑った
『――っ、誰も?!
そんなバカなっ!里の長が連れ去られたんですよ?!
…っ!テマリはどこです?!』
バキ「テマリは……っ、国境警備にあたっている……!」
バキさんが拳をわなわなと震わせ、苦しそうに言葉を紡いでいる
その表情で察した
『!!!!
(そういうことか……っ!!)』
我愛羅を快く思っていない、バキさんよりも立場が上の人物……
おそらく里の上役が、彼の救出に向かわないよう指示しているんだ
国境警備をさせるということは
里長がいないところを攻められたら……などといった、下らない危険性を危惧してのことだろう
『…あの堅物ども……っ!!』
バキ「Σ?!(いつも温厚な瑞乃が…)」
「「「(Σ瑞乃さん?!)」」」
『…………私は病院に向かいます』
自分でもかなり低い声だったと思う
だが、そんな事を気にしてはいられない
「………今の聞いたか?」
「……あぁ…」
「あの瑞乃さんが、暴言を吐いたぞ…」
「いつも温厚で笑顔を絶やさないのに…」
「よほど怒ってるんだろうな…」
瑞乃が去ったあとにこんな会話がされていたなど、本人は梅雨知らず
「――…!!
瑞乃副班長?!」
「副班長!!いつお戻りになったのですか?!」
あわただしく病院に入ると、よく見知った医療忍者の方達がいた
『さっきです!すみません、カンクロウのもとへ案内してください!!』
バタバタと動く部下達をこき使うのは気が引けたが、今はカンクロウが先だ
一人が先導し、すぐにその後を追った
『――…カンクロウっ!!』
カン「……瑞乃?」
勢いよく病室の扉を開くと、部屋の真ん中のベットでカンクロウが寝ていた
ベットの傍には班長もいる
『班長、お久しぶりです』
「やぁ瑞乃君」
強張った表情のまま挨拶をしたせいか、班長とカンクロウが吹き出した
「――…瑞乃副班長!
木の葉の医療忍者の方が副班長にと…」
『木の葉の?(サクラか…)』
同じ部屋にいたもう一人の部下から手紙をもらった
それには
カンクロウにどのような治療を行ったのか、何の薬草から解毒薬を作ったか、またその分量など
必要な事が細かく書かれていた
『……なるほど(完璧だね…)
――…この毒のサンプルはまだありますね?』
「はいっ、もちろんです!」
『よし…!
でしたら、すぐに毒の解析に移ります!
木の葉の忍達も同じ毒を食らう可能性もありますから、一つでも多くの解毒薬を作ります。薬草が足りない場合は、他で代用が効かないかも実験・確認します!
急いで!!』
「は、はいっ!!」
彼が出ていったのを確認し、すぐにカンクロウに近寄った
『――カンクロウ、少し調べさせてもらうね』
カン「あ…?あぁ…」
手をカンクロウの体にかざし、ブゥゥゥンという独特の音と光を出しながら、彼の体を簡単に調べた
『………うん、ほとんど毒は抜けてる…
サクラの治療は完璧だね
いい?カンクロウ
絶対に安静にしててよ?
いい?絶・対だからね!』
カン「んな二度も言わなくても『二度言わなきゃ動くでしょ、絶対』………ちぃ…」
『舌打ちしないでよねー
――…班長、カンクロウの見張りお願いします。私は毒の解析と怪我人の手当てに回りますから』
「はいはい、副班長にこき使われますよ」
ニコニコと穏やかに笑いながら手を振る班長
彼に感謝しながら部屋を去った
―――――
カン「……瑞乃って…、あんな奴だったか?」
瑞乃が出ていった扉をぼんやりと見つめながら呟いたら、高齢な班長が穏やかに笑った
「…確かに、今までの彼女はもっとおどおどしていましたねぇ……
木の葉での生活は、瑞乃君をいい方向に変えているようですね…。嬉しい限りです」
ニコニコと、まるで自分の孫の成長を見ているかのように穏やかな笑顔を浮かべる班長。瑞乃の成長は、彼としても気になるところなのだろう
カン「……瑞乃も立派な医療忍者だな…」
「そうですねぇ、いつか
風影様をお側で支えていくことでしょう」
カン「……そうだな」
病室に流れる穏やかな空気は、やけに居心地が良かった
――――――
『――…こっちに包帯一つ!
それと、窓際の彼の腕には応急処置として添え木を!
今入ってきた二人は私が診ます!
手が空いてる者は他の方の手当てをお願いします!!』
「「「「はいっ!!」」」」
敵のトラップで怪我をした仲間を一つの大部屋にまとめ、てきぱきと指示を出しながら治療していく
治療に必要な薬草を考えたり、部下達に何を指示するかなど
この前まではぐずぐずしていた事も今はすらすらと頭に浮かび、どうすれば効率的に出来るか
すぐに考えられるようになった
「瑞乃副班長!彼で最後です!」
『分かりました!
治療が済んだ方を病室にお連れしてください!』
――――――
「――…ありがとうございます、瑞乃さん」
『どういたしまして!』
最後の患者を治療し終え、この後どうしようかとまわりを見た
すると
テマ「―――……瑞乃!!
お前戻ってたのか?!」
『あ、テマリ』
テマリがあわただしく入ってきた
.