緊急事態
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『シカマルさんっ、おはようございます』
シカ「よぉ」
一人暮らしを始めたアパートの入り口に、シカマルさんが壁に寄り掛かりながら立っていた
犬塚さんの家に通うようになってから数日
今日は図書館に行く予定だ
『すみません、わざわざ案内させてしまって…』
シカ「あ?
いいよ別に。お前図書館までの道分かんねぇだろ?」
隣で申し訳なさそうに笑う瑞乃にそう言うと、彼女はふわりと笑った
――――――
シカ「――…もう何週間か経ったよな…」
『え?』
図書館までの道を歩いている途中、シカマルさんがぼそりと呟いた
シカ「…いや、瑞乃が来てから何週間か経ったなー、て」
『あ……、そうですね』
コイツが来たあとにナルトも帰ってきたっけ
シカ「木の葉の生活には慣れたのか?」
そう聞けば、瑞乃はニコリと笑い掛けた。その笑顔に心臓がどくんと跳ね上がる
『はい!おかげさまで!
サクラやいのちゃんとはよく話すし
ヒナタちゃんも会ったら声掛けてくれますし
犬塚さんやナルト君やチョウジ君もよく声掛けてくれますし
みんな良くしてくれます!』
シカ「へぇ、そりゃ良かったな」
『はい!』
アス「お?」
イノ「あ」
チョ「シカマルと瑞乃だ」
シカ「うわ、めんどくせぇ」
『Σえ?!いきなりですか?!』
大通りに出てしばらく歩いていると、道の先からアスマ達が来た
アス「………あれ?お前…」
『あ、えと
お久しぶりです』
イノ「あーそっかぁ!アスマ先生は瑞乃がいる事知らないのねー」
アス「あぁ、そうだ瑞乃だ
でっかくなったなー!」
わしゃわしゃと頭を豪快に撫でるアスマ
……瑞乃が困ってるぞ
シカ「――……で、なんで三人とも揃ってんだ?
任務か?」
チョ「ううん、たまたま会ったんだー
シカマル達は?デート?」
『え?!』
シカ「ばっ……!!何言ってんだよ!!!」
一気に顔に熱が集まり、柄にもなく慌てる
瑞乃はと言うと――…
『――………っ!!!//』
シカ「!!(え……)」
俺よりも顔を赤く染めていた
それって
期待していいのか?
――――――
『す……っ、すみません…』
シカ「え?」
アスマ達とわかれた後、急に謝られた
『本当にごめんなさい…、私といると冷やかされますよね…
………ただでさえ目立つのに…』
さらりと髪の毛に触れ、伏し目がちに話す瑞乃
『……ごめんなさい…
迷惑ですよね
ただでさえ案内とかで迷惑かけてるのに、冷やかされたり目立ったり……
………やっぱフードかぶろうかな……』
そう言いフードに手を掛ける瑞乃の腕を掴んだ
『え……』
シカ「あ…」
ぱっと弾かれたように顔を上げて俺を見る瑞乃
青い瞳は大きく見開かれ
顔を上げた拍子に、瑞乃の美しい空色の髪の毛が風に舞った
『……シカマルさん…?』
シカ「あ、いや…
………別に迷惑じゃねぇよ
迷惑だったら、朝からわざわざ迎えにいかねー」
『………。』
びっくりしたまま動かない瑞乃の髪の毛に触れる
すると彼女の肩がぴくりと揺れた
シカ「それに、俺言ったよな?
その髪の毛好きだって
隠す必要なんかねぇよ
目立つかもしんねぇけど、それだって個性だ」
違うか?と聞けば、瑞乃は頬を染めながら小さく微笑んだ
その表情に胸がきゅっと締まり、顔に熱が集まるのを感じる
『……やっぱ、シカマルさんは優しいですね』
シカ「………別に
ほら、さっさと図書館行こうぜ」
誉めると、無愛想な顔で頬を掻きながらそっぽを向く
シカマルさんが照れた時のお決まりの仕草
それが可愛くてクスクスと笑っていたら、額にでこぴんを食らった
額をさすりながらシカマルさんを見上げれば
シカ「笑うなバカ」
と、また頬を染めながら文句を言った
ここ数週間でどんどん知るシカマルさんの優しさや癖
それが嬉しかった
―――――
『シカマルさん』
「んぁ?」
『案内、ありがとうございました』
「おぅ。でもな
俺も図書館に用あんだよ」
『あ、そうなんですか?』
まぁな、と歩き出し
適当な席を二席確保する
「お前、どうせずっと勉強すんだろ?
で、時間を忘れる」
『………なぜそれを…』
昔からある悪い癖
集中し過ぎると時間を忘れてしまう
最近ではサクラやいのちゃんに止められるまで、ずっと没頭する事も多々あった
あの二人とシズネさんしか知らないはずなのに、どうしてシカマルさんが…
「いのが話してたんだよ」
『あ、なるほど…』
「ま、なんだ
俺は見張りみたいなもんだ」
『…すみません、助かります』
「いちいち謝るなっつーの」
シカマルさんが本棚に向かい、必要な本を物色し始めたので、私も必要な本を探しはじめた
―――――
『……む
(届かない…)』
医療関連の書物が多数置いてある本棚で興味があるタイトルの本があり、手を伸ばしたが
いかんせん高い場所にあり、手が届かない
背伸びしてみても結果は変わらず
『(どうしよ、踏み台探そうかな…)』
悩みつつも再度手を伸ばして頑張るが、届かない
その時、背後に気配を感じた
「――…これか?」
すっと目の前に差し出されたのは、先ほどから取りたかった本
『あ…、ありがとうございます…』
背中に感じるいつもの気配
今の状況を、彼はわかっているのだろうか
端から見たら、
私は後ろから抱き締められているように見える
『………すみませんシカマルさん……、その、ちょっと、…距離が近いかと…』
「えっ!!
あ、わりぃっ!//」
ばっと勢いよく離れるシカマルさん。その顔は少し赤らんでいた
「てゆうか…、お前抱えすぎ
ほら、よこせよ。席まで運んでやるから」
『え?いや、いいですよ。大丈夫で「いーから」……はい、すみません』
しぶしぶ大量の書物やら本やらを渡すと、シカマルさんはゆるりと笑ってくれた
あ、そんな顔もするんだ…
少しだけ胸が高鳴った
――――――
『………あの』
「んぁ?」
『無理して付き合っていただかなくてもいいんですよ?
ほっといたら、私何時間でもいますから…』
恐る恐る向かいの席に座っているシカマルさんに話し掛けると、彼は少し拍子抜けしたような顔をした
「だーかーらー、何時間でもいるお前の見張りだっつってんだよ
それと、さっきから謝りすぎ
いちいちそんな気にしてたら疲れるぞ?
親切にされたら「ありがとう」って言えばいーだろが」
『………す「だから謝るなっつの。もう「すみません」禁止な」………はい』
苦笑いを浮かべながら了承すると、シカマルさんは「よし」と優しく笑ってくれた
……よし、すみませんって言わないようにしよう
――…にしても、よくこんだけの量を覚えられるな…
医療忍者ってやっぱすげーな
目の前の机には、医療関連の書物やら本やらがずらりと並び、積まれている
…まるで書類の山に囲まれている綱手様のようだ
大量の本の間で瑞乃はせわしなく手を動かし、何やらノートに書き込んでいる
勉強しているのは分かるが、彼女のノートは何かの暗号がずらりと並んでいるようにしか見えない
素人には全くわからない
時々手を止め、何か考え込んだと思ったらまた手を動かし、また手を止める
先ほどからそれの繰り返しだ
瑞乃が手を止めて考え込んでいると、彼女特有の空色の髪の毛が、耳からこぼれ落ちた
それを鬱陶しそうに耳にかける仕草がやけに色っぽくて
知らず知らずの内に、顔が上気していた
もちろん、集中モードまっただ中の彼女には気付かれなかったが
どんどん本を読み終える瑞乃に圧倒されながらも、ずっと彼女を見ていた
飽きなかった
瞬きする度に揺れる長い睫毛
頬に手を添える細長い指
晴れ渡った青空を連想させる、彼女特有の空色の美しい髪
その全てが彼女の美しさを強調している
『…あの………』
「?
どうした?」
瑞乃が遠慮がちに顔を上げた。少しだけ上目遣いで、胸がどきりと騒めく
『………そんなに見られると恥ずかしいです…』
「!!///
悪ぃっ…」
ぱっと顔を背けると、瑞乃はまたクスクスと小さく微笑んだ
『――…そろそろ出ましょうか』
「…いいのか?」
『はい。何冊かは借りて、家でまたやります
付き合ってくれてありがとうございました』
本を数冊残して、その他の本を持って本棚に向かう瑞乃の後ろ姿を、ぼんやり見つめていた
『――…お待たせしました』
「おぅ、んじゃ帰りますか」
『はい』
瑞乃は数冊の本を抱えていた
そのまま二人で図書館を出ると
シズ「――…あっ!瑞乃さん!!」
シズネさんがあわただしく駆け寄ってきた
『シズネさん?何かあったんですか?』
シズネ先輩の切羽詰まった表情に気付き、俺達の表情も強ばった
シズ「風影が……っ、我愛羅君が
連れ去られましたっ!!!!」
シカ「?!(あの我愛羅が?!)」
『………………うそ……』
――――……我愛羅が?
なんで
どうして
誰が…………
シズ「――…我愛羅君を助けるために、砂のカンクロウさんが一人で追跡しましたが、
敵の毒にやられました」
『!!』
カンクロウが毒…?
バサバサっ!!
瑞乃が手に持っていた本が勢いよく地面に落ちると同時に、瑞乃が力なく膝から崩れ落ちた
シカ「!
瑞乃っ…!」
シズ「瑞乃さん!」
カタカタと体を小刻みに震わす瑞乃の肩に手を添え、落ち着かせる
いつもの青い瞳は弱々しく揺れ、唇も震えている
シカ「……。」
シズ「瑞乃さん…、綱手様のもとへ一緒に来て下さい」
『………は…い……』
なんとか立ち上がろうとする瑞乃に手を貸し、立たせる
シズネ先輩が背中を向け、ゆっくりとした歩調で歩き出した
本当だったら急ぎたいのだろうが、瑞乃を気遣っての行為だろう
瑞乃が持っていた本を集め、俺が持つと
彼女は少し驚いた顔をした
シカ「……早く行け。これは俺が預かっとくから」
『………お願い…します…』
まだ体を震わしている彼女を見て、夢中で抱き締めた
『っ?!
シカマルさ「今からそんなビビッててどうすんだよ、お前が落ち着かないでどうする」……。』
小さな子供をあやすように、自分より身長が低い瑞乃の頭をぽんぽんと叩いた
俺の腕の中で強張っていた瑞乃の体が、少し緩んだ
『………ありがとうございます、シカマルさん
私、シズネさんを追い掛けますね』
シカ「……ん」
するりと腕を解くと、先ほどまでの弱々しい瑞乃はいなくなり
『砂の特別上忍
虹色瑞乃』
が、そこにはいた
『本、お願いしますね
全部終わったら取りに行きますから』
シカ「…了解。気を付けろよ、特別上忍」
『はは、なんですかソレ』
ふわりと笑って瑞乃はすぐに駆け出した
かなり先を歩いていたシズネ先輩と少し会話をかわした後、すぐに消えた
特別上忍以上の実力を持つ二人だ。おそらく瞬身の術を使ったのだろう
シカ「…………はぁぁぁ――……」
瑞乃とシズネ先輩が完全に視界から消えてすぐ
手で顔を押さえながらしゃがんだ
腕には、先ほど彼女を抱き締めた感覚が鮮明に残っており
心臓は痛いくらいバクバクと鳴っている
人に見られていたかもしれないという羞恥もあるが、それ以上に
自分がした行為に驚いていた
シカ「………なんであんな事しちまったんだ…」
抱き締めた時に瑞乃の髪の毛から香った、花のようないい薫り
女性特有の小さな肩
けれど、その体は程よく引き締まっており、そして柔らかかった
シカ「………。やべぇ…」
思い出すだけで顔から火が吹きそうなほど熱が集まり、心臓はさらに早まる
シカ「…次、顔合わせられっかな……」
―――――
シズ「――…綱手様っ!!瑞乃さんを連れてきました!」
『失礼しますっ!
砂の状況を詳しく説明していただけますか?!!』
シズネさんに続き、勢いよく火影様の部屋に入った。するとそこには、渋い顔をした火影様と
見覚えのある方がいた
リー「あれっ!貴方は…」
ネジ「……虹色瑞乃か?
砂隠れの」
テン「え?なに?
リーとネジの知り合い?」
ガイ「なぜ彼女がここに?」
口々に話し出す彼らに苛立ちを隠せない火影様
綱「瑞乃の事は今は後回しだ!
これより、ガイ班はただちにカカシ班と合流し、風影奪還任務に当たれ!!」
はい!と引き締まった表情で返事をする四人、すると火影様が私を見た
綱「瑞乃、今はカカシとナルトとサクラが砂に向かっている
今言ったとおり、今からガイ班も増援に向かわせる
……お前はどうする?」
真剣な瞳が私を射ぬく
『(ナルト君とサクラが………)
……でしたら、我愛羅の事はナルト君に任せます。彼は我愛羅の友達ですから
………私は、砂隠れの忍として
砂隠れの里で、風影様を待ちます
…砂に戻ってもいいですか?』
言い切った
綱「……仕方ない、今は緊急事態だ
瑞乃はいったん砂に戻り、状況把握と連絡、その他砂の忍としてやるべき事をしろ!」
『はいっ!!』
ガイ「彼女は我々と行くのですか?」
綱「それは――…『すみません、私はすぐに砂に向かいます。一日あれば着きますから』……だそうだ」
ネジ「なっ…!
どう考えたって三日はかかる!」
テン「いくらなんでも一日は無理よ!」
『大丈夫です
火影様、今すぐ向かってよろしいですか?』
笑顔で問い掛けると、火影様はニヤリと笑った
綱「ふん…、勝手にしろ」
『勝手にします
――…口寄せの術!』
ぼふん!と煙が起こり、窓の外に3メートルほどの大きな鳥が現れた
リー「なるほど!この鳥に乗って向かうのですね!」
ガイ「ならば、我々も負けないくらいの青春フルパワーですぐ行くぞ!!」
テン「……はぁ」
ネジ「あきらめろテンテン、これが俺達の宿命だ…」
『……(面白い人達だなぁ…)
では、私は行きます
連絡は私の口寄せ鳥を使うので』
綱「あぁ、気を付けろ」
はい、と返事をし、窓の外で停滞している鳥に乗った
『……聞いてたね?フウ』
フウ「はい。すぐにお連れします」
フウは私と契約を結んでいる忍鳥だ
すぐに大空へ羽ばたいた
.