5年生6月編
10─サンタさんのお話
お家に入ると、サンタさんはみんなにスープをごちそうしてくれました。
寒い中にいたのは少しだけだけど、温かいスープはやっぱりおいしいです。
猫舌のテトリちゃんのために、お母さんが魔法でスープを冷ましてあげました。
そんな魔法を使うお母さんを見て、サンタさんは感心します。
「いちごちゃんは、本当に魔法が上手くなっているね」
それから今度は、わたしに聞きました。
「みかんちゃんはどうかな?
前に会った時は魔法使いになる前だったからね」
わたしはお母さんみたいにすごくはないけど、元気良くいいました。
「わたしは夢魔法なら、上手に使えるようになりました」
そんなわたしに、サンタさんはにっこりといいます。
「そうか。がんばっているんだね。
ぜひ見てみたいものだ」
わたしもサンタさんに見てほしいけれど、今は使えないのでしょんぼりしました。
お母さんが代わりに説明してくれます。
「みかんは今月が休みなんです」
するとサンタさんは納得します。
「そうか。それは済まないことをいったね。
しかし今度見せてもらえる時がさらに楽しみになったよ」
そういってもらって、わたしはちょっと前向きな気持ちになれました。
今度会えた時には、どんな魔法を使おうか考えておこう。
地球の子ども達に幸せをくれるお礼も兼ねて、サンタさんが喜んでくれるのにしなくちゃね。
そう魔法が使えないわたしが、外国のサンタさんと普通にお話しているよね。
これは魔法で言葉が通じているんじゃありません。
サンタさんがわたし達の国の言葉で話してくれているんだよ。
長く生きている間に覚えたそうです。
たくさんの国の言葉がわかるんだって。
さすが世界中で大人気のサンタさんです。
そのサンタさんを見て、気を取り直したわたしは質問します。
「サンタさんは、いつもあの赤い服を着ているんじゃないんですね」
サンタさんの髭はそのままだったけれど、今日は普通のセーターとズボンを着ています。
だから最初に見た時に、少し不思議な感覚になりました。
サンタさんはこっくりうなずきます。
「ああ。そうだよ。あれはクリスマス専用の服なんだ。
普通はみんなと同じ服を着ているよ」
そうサンタさんも普段はみんなと同じように暮らしているって、知りました。
今までのイメージよりも、身近に感じてきます。家の中を見回してみると、たくさんのお手紙の山が目に入りました。
気になったわたしは、テトリちゃんとそこまで駆けていきます。
そして思わず歓声をあげました。
「わあっ。たくさんのお手紙。
これみんなサンタさんへのなんだよね」
「世界中から来ていますね」
そうわたしは量を見て、テトリちゃんは字を見ていいました。
「本当だ。いろんな国の文字だね」
見たこともないような色々な文字と切手がいっぱいです。
テトリちゃんは、その封筒や切手を楽しそうに見ています。
南の島だったらパイナップルの写真だったり、切手って国の特徴が出るよね。
だから、なんとなくどこから来たのかわかります。
それから魔法使いは、外国の文字も読めるんだよ。
魔法使いのお仕事のために、色々な国の本も読めるようにです。
読もうと集中すると、意味がわかるんだよ。
でもその知らない国の言葉を書いたり、お話したりはできません。
それはきちんとお勉強しないとね。
それはペンダントのまま使う魔法だけど、魔法の種がお休みしている今は使えません。
でもテトリちゃんもちょっと読めるようでした。
そして不思議そうに首をかしげます。
「これはサンタクロース様。
でも、ユール・ニッセ様、クリスト・キント様。
違う宛名のものも多いですね」
そう聞いて、わたしもびっくりします。
「え?これはサンタさんのだけじゃないの?」
するとサンタさんが答えてくれます。
「それもみんなわしのことなんだよ」
続けて、おじいちゃんが教えてくれます。
「サンタさんは国によって、違う呼ばれ方をしているんだよ。
サンタクロースさんというのは、私達の国での呼び名なんだ」
「普通の人は、他の国の人の前でも名前は変わりませんよね?」
そうテトリちゃんが確認すると、お母さんはうなずきます。
「そうね。それだけサンタさんは、地球のみんなにとって特別な人なのよ」
そのお母さんの言葉と、このお手紙の山に、わたしはしみじみ感動しました。
「すごいね。わたしもそんなサンタさんに会いたくて来たんだしね」
そう見ていたら、ふとわたし達の国からのお手紙の1つが目に止まりました。
わたしくらいの子の字だね。
そう思って差出人の名前を見てみると、なんと「種村柾紀」と書いてありました。
!柾紀くんだ!
そうたくさんのお手紙の中から、わたしは偶然お友達からのを見つけました。
それとも、わたしの魔法の力が見つけたのかな?
柾紀くんも、サンタさんにお手紙を出していたんだね。
そうわたしはうれしくなって、手紙の山から離れました。
次は木彫りのおもちゃが並んでいる棚のところに行きました。
「これはみんなサンタさんの手作りなんですか?」
振り返ってたずねると、サンタさんは目を細めてうなずきました。
「そうだよ。わしは普通の人間の時から、こういう物を作るのが好きでね」
そうサンタさんは元々は普通の人でした。
その時から近所の子ども達に、手作りの木のおもちゃをプレゼントしていたそうです。
そして寿命が来た時にも、これからも木のおもちゃを作って配りたいという強い願いを持っていました。
その気持ちを神様が聞いて、寿命をとっても長くしてくれたって聞きました。
これはすごく特別なことです。
そんなサンタさんの作品は、パートナーのトナカイさんや、山に住んでいる熊さんなどの動物が多いです。
どのおもちゃにも、サンタさんの味というものが感じられて、いいなあと思います。
木彫りなこともあって、あったかい感じがします。
そうトナカイさんのおもちゃがあるので、わたしは指差してテトリちゃんに教えました。
「ほら、テトリちゃん。これがトナカイさんだよ」
思っていたのと違っていたのか、それを見てテトリちゃんは驚きました。
「わあ。これがトナカイさん。本当に鹿に似てますね。
羽がないのに、空を飛べるんですか」
その言葉に、わたしははっとしました。
あ、そういわれるとそうだよね。
「うん、本当。わたしも不思議」
そんな疑問に、サンタさんは幸せそうな顔をして答えてくれます。
「わしのトナカイは、神様に特別な力をもらったからね。
そう空飛ぶそりがあるおかげで、たくさんの子ども達にプレゼントを配れる。
そして普段は、そのおもちゃを作って暮らせる。
わしの今の幸せはみんな、本当に神様のおかげだよ」
そううれしそうにいいます。
サンタさんを長生きさせようって決めた神様は、やっぱりすごいです。
今では世界中から大人気の素敵なおじいさんだもんね。
「世界中の子ども達に配っているんですよね?」
そう自信を持って聞きます。
でも驚いたことに、サンタさんは首を振りました。
「いいや。空飛ぶそりを持っていても、一晩ではわしの国の子ども達だけで精一杯なんだよ」
わたしはとってもびっくりしていいます。
「え?でもわたしも毎年サンタさんからのプレゼントをもらってるよ」
だからお礼もいいたくて、会いにきたいと思ったんだもんね。
不思議いっぱいで、わたしは困り顔になります。
するとおもちゃを楽しそうに見ていたテトリちゃんが、わたしに向かってジャンプしてきました。
そのテトリちゃんを受け止めます。
テトリちゃんは、不安になったわたしを支えてくれようとしているみたいです。
そしてそんなわたしに目線を合わせたサンタさんが、優しい顔でいいました。
「そうか。じゃあみかんちゃん。
大きくなったら、君のサンタクロースに会えるよ」
わたしのサンタさん?
じゃあわたしにいつもプレゼントをくれるのは、別のサンタさんなんだ。
サンタさんの言葉で、そうわかりました。
そしてお母さんが付け加えます。
「国によって、サンタさんは色々なのよね」
そしておばあちゃんがまじめに、でも優しい言い方でいいました。
「でもね、みかんちゃん。
たくさんいるサンタさんはみんな、こちらのサンタさんをお手本にしているの。
サンタさんが素敵だから、みんなお手伝いしているのね」
そうおばあちゃんとお母さんは、その人を知っているみたいです。
そしておばあちゃんは付け加えます。
「だからみかんちゃんのサンタさんに会えても、このサンタさんのことも忘れないでね」
?どういうことなのかわからないこともあるけれど、わたしはしっかり約束しました。
「うん!大好きなサンタさんのことは、ずっと覚えてるよ」
お話に聞いていたサンタさんは憧れの人です。
思っていた通りの優しいおじいさんで、わたしはこのサンタさんが大好きです。
わたしの家に来てくれていたサンタさんじゃなくてもね。
わたしはそんな気持ちで、サンタさんの腕に抱きつきました。
でも、わたしの家に来てくれているサンタさんは、どんな人なのかな?
詳しく教えてもらいたいです。
でもみんなのお話だと、大きくなったらちゃんと会えるみたいだよね。
だからその時をお楽しみにしておくことにします。
今はこうやって、世界一のサンタさんに会えたんだしね。
お家に入ると、サンタさんはみんなにスープをごちそうしてくれました。
寒い中にいたのは少しだけだけど、温かいスープはやっぱりおいしいです。
猫舌のテトリちゃんのために、お母さんが魔法でスープを冷ましてあげました。
そんな魔法を使うお母さんを見て、サンタさんは感心します。
「いちごちゃんは、本当に魔法が上手くなっているね」
それから今度は、わたしに聞きました。
「みかんちゃんはどうかな?
前に会った時は魔法使いになる前だったからね」
わたしはお母さんみたいにすごくはないけど、元気良くいいました。
「わたしは夢魔法なら、上手に使えるようになりました」
そんなわたしに、サンタさんはにっこりといいます。
「そうか。がんばっているんだね。
ぜひ見てみたいものだ」
わたしもサンタさんに見てほしいけれど、今は使えないのでしょんぼりしました。
お母さんが代わりに説明してくれます。
「みかんは今月が休みなんです」
するとサンタさんは納得します。
「そうか。それは済まないことをいったね。
しかし今度見せてもらえる時がさらに楽しみになったよ」
そういってもらって、わたしはちょっと前向きな気持ちになれました。
今度会えた時には、どんな魔法を使おうか考えておこう。
地球の子ども達に幸せをくれるお礼も兼ねて、サンタさんが喜んでくれるのにしなくちゃね。
そう魔法が使えないわたしが、外国のサンタさんと普通にお話しているよね。
これは魔法で言葉が通じているんじゃありません。
サンタさんがわたし達の国の言葉で話してくれているんだよ。
長く生きている間に覚えたそうです。
たくさんの国の言葉がわかるんだって。
さすが世界中で大人気のサンタさんです。
そのサンタさんを見て、気を取り直したわたしは質問します。
「サンタさんは、いつもあの赤い服を着ているんじゃないんですね」
サンタさんの髭はそのままだったけれど、今日は普通のセーターとズボンを着ています。
だから最初に見た時に、少し不思議な感覚になりました。
サンタさんはこっくりうなずきます。
「ああ。そうだよ。あれはクリスマス専用の服なんだ。
普通はみんなと同じ服を着ているよ」
そうサンタさんも普段はみんなと同じように暮らしているって、知りました。
今までのイメージよりも、身近に感じてきます。家の中を見回してみると、たくさんのお手紙の山が目に入りました。
気になったわたしは、テトリちゃんとそこまで駆けていきます。
そして思わず歓声をあげました。
「わあっ。たくさんのお手紙。
これみんなサンタさんへのなんだよね」
「世界中から来ていますね」
そうわたしは量を見て、テトリちゃんは字を見ていいました。
「本当だ。いろんな国の文字だね」
見たこともないような色々な文字と切手がいっぱいです。
テトリちゃんは、その封筒や切手を楽しそうに見ています。
南の島だったらパイナップルの写真だったり、切手って国の特徴が出るよね。
だから、なんとなくどこから来たのかわかります。
それから魔法使いは、外国の文字も読めるんだよ。
魔法使いのお仕事のために、色々な国の本も読めるようにです。
読もうと集中すると、意味がわかるんだよ。
でもその知らない国の言葉を書いたり、お話したりはできません。
それはきちんとお勉強しないとね。
それはペンダントのまま使う魔法だけど、魔法の種がお休みしている今は使えません。
でもテトリちゃんもちょっと読めるようでした。
そして不思議そうに首をかしげます。
「これはサンタクロース様。
でも、ユール・ニッセ様、クリスト・キント様。
違う宛名のものも多いですね」
そう聞いて、わたしもびっくりします。
「え?これはサンタさんのだけじゃないの?」
するとサンタさんが答えてくれます。
「それもみんなわしのことなんだよ」
続けて、おじいちゃんが教えてくれます。
「サンタさんは国によって、違う呼ばれ方をしているんだよ。
サンタクロースさんというのは、私達の国での呼び名なんだ」
「普通の人は、他の国の人の前でも名前は変わりませんよね?」
そうテトリちゃんが確認すると、お母さんはうなずきます。
「そうね。それだけサンタさんは、地球のみんなにとって特別な人なのよ」
そのお母さんの言葉と、このお手紙の山に、わたしはしみじみ感動しました。
「すごいね。わたしもそんなサンタさんに会いたくて来たんだしね」
そう見ていたら、ふとわたし達の国からのお手紙の1つが目に止まりました。
わたしくらいの子の字だね。
そう思って差出人の名前を見てみると、なんと「種村柾紀」と書いてありました。
!柾紀くんだ!
そうたくさんのお手紙の中から、わたしは偶然お友達からのを見つけました。
それとも、わたしの魔法の力が見つけたのかな?
柾紀くんも、サンタさんにお手紙を出していたんだね。
そうわたしはうれしくなって、手紙の山から離れました。
次は木彫りのおもちゃが並んでいる棚のところに行きました。
「これはみんなサンタさんの手作りなんですか?」
振り返ってたずねると、サンタさんは目を細めてうなずきました。
「そうだよ。わしは普通の人間の時から、こういう物を作るのが好きでね」
そうサンタさんは元々は普通の人でした。
その時から近所の子ども達に、手作りの木のおもちゃをプレゼントしていたそうです。
そして寿命が来た時にも、これからも木のおもちゃを作って配りたいという強い願いを持っていました。
その気持ちを神様が聞いて、寿命をとっても長くしてくれたって聞きました。
これはすごく特別なことです。
そんなサンタさんの作品は、パートナーのトナカイさんや、山に住んでいる熊さんなどの動物が多いです。
どのおもちゃにも、サンタさんの味というものが感じられて、いいなあと思います。
木彫りなこともあって、あったかい感じがします。
そうトナカイさんのおもちゃがあるので、わたしは指差してテトリちゃんに教えました。
「ほら、テトリちゃん。これがトナカイさんだよ」
思っていたのと違っていたのか、それを見てテトリちゃんは驚きました。
「わあ。これがトナカイさん。本当に鹿に似てますね。
羽がないのに、空を飛べるんですか」
その言葉に、わたしははっとしました。
あ、そういわれるとそうだよね。
「うん、本当。わたしも不思議」
そんな疑問に、サンタさんは幸せそうな顔をして答えてくれます。
「わしのトナカイは、神様に特別な力をもらったからね。
そう空飛ぶそりがあるおかげで、たくさんの子ども達にプレゼントを配れる。
そして普段は、そのおもちゃを作って暮らせる。
わしの今の幸せはみんな、本当に神様のおかげだよ」
そううれしそうにいいます。
サンタさんを長生きさせようって決めた神様は、やっぱりすごいです。
今では世界中から大人気の素敵なおじいさんだもんね。
「世界中の子ども達に配っているんですよね?」
そう自信を持って聞きます。
でも驚いたことに、サンタさんは首を振りました。
「いいや。空飛ぶそりを持っていても、一晩ではわしの国の子ども達だけで精一杯なんだよ」
わたしはとってもびっくりしていいます。
「え?でもわたしも毎年サンタさんからのプレゼントをもらってるよ」
だからお礼もいいたくて、会いにきたいと思ったんだもんね。
不思議いっぱいで、わたしは困り顔になります。
するとおもちゃを楽しそうに見ていたテトリちゃんが、わたしに向かってジャンプしてきました。
そのテトリちゃんを受け止めます。
テトリちゃんは、不安になったわたしを支えてくれようとしているみたいです。
そしてそんなわたしに目線を合わせたサンタさんが、優しい顔でいいました。
「そうか。じゃあみかんちゃん。
大きくなったら、君のサンタクロースに会えるよ」
わたしのサンタさん?
じゃあわたしにいつもプレゼントをくれるのは、別のサンタさんなんだ。
サンタさんの言葉で、そうわかりました。
そしてお母さんが付け加えます。
「国によって、サンタさんは色々なのよね」
そしておばあちゃんがまじめに、でも優しい言い方でいいました。
「でもね、みかんちゃん。
たくさんいるサンタさんはみんな、こちらのサンタさんをお手本にしているの。
サンタさんが素敵だから、みんなお手伝いしているのね」
そうおばあちゃんとお母さんは、その人を知っているみたいです。
そしておばあちゃんは付け加えます。
「だからみかんちゃんのサンタさんに会えても、このサンタさんのことも忘れないでね」
?どういうことなのかわからないこともあるけれど、わたしはしっかり約束しました。
「うん!大好きなサンタさんのことは、ずっと覚えてるよ」
お話に聞いていたサンタさんは憧れの人です。
思っていた通りの優しいおじいさんで、わたしはこのサンタさんが大好きです。
わたしの家に来てくれていたサンタさんじゃなくてもね。
わたしはそんな気持ちで、サンタさんの腕に抱きつきました。
でも、わたしの家に来てくれているサンタさんは、どんな人なのかな?
詳しく教えてもらいたいです。
でもみんなのお話だと、大きくなったらちゃんと会えるみたいだよね。
だからその時をお楽しみにしておくことにします。
今はこうやって、世界一のサンタさんに会えたんだしね。
