不思議な夜の おひなさま

[chapter:1おひなさまを出す日にち]

わたしは並べ終わったおひなさまを見て、うきうきしています。
今日は2月22日。もうすぐおひな祭りです。
第4土曜日で学校がお休みの今日、しまってあったおひなさまをお母さんと出しました。
わたしの家のおひなさまは、五人囃子までの3段です。
クリスマスツリーとか、こうして1年のうち少ししか見られないおひなさま達に会えた時は、すごくうれしくなります。
こんなわたしは白石みかんです。10歳の小学4年生だよ。
そして生まれた時から魔法使いです。
魔法使いは、みんなを幸せにできるように、神様から特別な力をもらっているんだよ。
魔法には種類があって、そのかけ方を覚えた種類のは使えるようになります。
小学校の1年生にほうきで飛ぶ練習から始めて、2年生になったらペンダントなどの魔法のアイテムの使い方を教えてもらえます。
だから生まれつきといっても、わたしはちゃんと魔法を使うようになってからまだ3年です。
魔法の方はまだまだだけど、一生懸命がんばってます。
「おひなさま達にあげるもの、買いに行きましょう」
そう後ろからお母さんに声をかけられて、わたしは張り切って返事をしました。
「はーい!」
そうしてお買い物に出掛けて、おひな祭り用に並んでいるお菓子を買ってきました。
ここは雪がたくさん降る地方だから、外にはまだ少し雪が残っています。
でもお菓子をおひなさまの前に並べながら、わたしはもう春になったような気分です。

月曜日学校に行くと、クラスのお友達もほとんど、このお休みの間におひなさまを出したそうです。
それで、その話題になりました。
「もう、ちょうど1週間後だもんね」
麻緒ちゃんの言葉に、わたしはうなずいていいました。
「うん。早いね。もう春になるんだね」
そうおひなさまを出した時の気分を思い出します。
すると秋子ちゃんがもうちょっと先の、そしてもっとしみじみすることをいいました。
「あと1ヶ月で、わたし達も5年生か。
クラスは同じだから、そんなには変わらないと思うけどね」
その言葉にクラスのみんながはっとします。
わたし達の雪湖小学校は、4年生になる時に1回クラス替えをします。
今年からこのクラスになったので、来年も今のみんなと一緒です。
でもわたしも高学年になるのかあ。
そう考えても、あんまり実感がわかなくて不思議な気分です。
でも健治くんは元気に笑っていいました。
「今から先のことを考えてなくていいって。
4年生のうちは、4年生の気分でいなくちゃ」
その言葉に優香里ちゃんがうなずきます。
「そうだね。今は今で楽しくいようよ」
そうこの話が終わったところで、みゆきちゃんがおひなさまの方に戻しました。
「それにしても、おひなさまって1番出ている時期が短いよね。
今年も大体のみんなは、10日間ってことだもん。
クリスマスツリーだったら、20日くらいあるのにね」
その言葉にみんなうなずきます。
わたしが出した日から3月3日まで指折り数えたら、本当にぴったり10日でした。
うーん、本当に短いよね。
「2月はバレンタインデーがあるから、その後じゃないと、ひな祭りの気分にならないからね」
そう美穂ちゃんが納得な意見をいったので、わたしは考えてみました。
「じゃあ遅くまで出していればいいんじゃないかな?
3学期の終わる頃までとか」
そうしたら、お祝いは終わっているけど、おひなさまを長く出しておいてあげられるよね。
だって1年間のうち10日以外は押し入れの中なんて、あんまり寂しいから。
でも彩ちゃんは首を振りました。
「それはだめだよ、みかんちゃん。
おひなさまはひな祭りが終わったらすぐにしまわないと」
よくそう聞くけど、わけは知らなかったのでたずねます。
「どうして?」
すると彩ちゃんは首をひねりました。
「あれ?どうしてだったかな?聞いたことあるんだけど…」
女の子みんなでわからずに困っていると、修くんがひょっこり現れて教えてくれました。
「ぼく知ってるよ。家のウエイトレスのお姉さんに教えてもらったんだ。
結婚が遅くなるんだって」
修くん家は喫茶店をしていて、修くんもよくお店に行っているそうです。
そこで働いているお姉さんに聞いたんだね。
その言葉を聞くと、みんな困りながらも、遅くまで出しておくことをあきらめたようです。
「うーん。それは困るな。ちゃんと結婚したいもん。
おひなさまには悪いけど、ちゃんとしまおう」
でもわたしは、それくらいなら大丈夫かなって思いました。
「ちょっと遅くなるくらいなら、出しておいてもいいかなあ」
結婚できなくなるっていわれたら、やっぱりわたしも困ります。
大人になってもずうっと1人だったら寂しいもんね。
ううん、魔法使いは必ず子どもがもらえるから、1人ってことはないんでした。
けどおじいちゃんとおばあちゃんみたいに、ずっと仲良くしていける人にもいてほしいです。
でもそういうんじゃなくて遅れるくらいなら、おひなさまを外に出しておいてあげた方がいいな。
わたしがそう考えると、みんなに必死に止められました。
「だめだめ。ちょっとどころか、何十年かもしれないよ!」
あ、確かにどれくらいかはわからないもんね。
美穂ちゃんに続いて、秋子ちゃんにも落ち着いていわれました。
「それに数年だったとしても、毎年続けていけば、遅れが増えていくかもしれないよ」
「ああ、そっかあ」そうだね。今年だけの話じゃなくて、これから毎年ずっとあるもんね。
2人の話両方ともに納得です。
「そうそう。みかんちゃんは人気あるから、ずっと1人でいるってことはないと思うけど、用心に越したことはないからね」
そう彩ちゃんにも付け加えられました。
なんだかみんな真剣です。
わたしはそんなみんなにちょっとびっくりしながらも、うなずきました。
「うん、ちゃんとしまうね」
こうしておひなさまを長く出しておく計画は、なしになりました。
するとももちゃんと桜ちゃんが、わたしとは逆のことをいいました。
「わたし達の家は、今年は15日に、家に帰ってから出したよ。
毎年バレンタインデーの次の土曜日に出すことにしてるんだ。
そうすれば安心して長く出しておけるでしょ」
バレンタインデーが終わった、本当にすぐ後に出してるんだね。
その日付から指折り数えてみたす。
「15日も入れて数えると、20日間になるね。
だったらクリスマスツリーと同じだよ」
わたしがぱっと笑顔になると、桜ちゃんがいいました。
「ね、いいでしょ。みかんちゃん。
みんなもそうすれば問題ないんじゃない?」
「うん。来年からそうしよう」
そうみんなでうなずきました。
これで問題は解決です。

そんな時、わたしはお呼びがかかりました。
「みかんちゃん、廊下から呼ばれてるよ」
そう港くんの言葉に教室のドアを見ると、前の扉に2人の女の子がいました。
2人とも1年生くらいに見えます。
「きっと『魔法使いへの頼みごと』だね」
そうかっこよくいう麻緒ちゃんの言葉にうなずきます。
「うん、そうだね」
わたしが魔法使いだということはみんなが知っていることなので、時々頼みごとをされます。
わたしが解決できないこともたくさんあるけど、魔法使いは人助けがお仕事なので、できるかぎりがんばろうと思ってるよ。
こういう時、もっとたくさんの魔法が使えたらいいなあって思います。
「はーい」
わたしは前のドアに駆けていきました。
廊下に出ていくと、その2人が自己紹介をしてくれました。
「こんにちは。はじめまして。わたし、1年2組の三条真美です」
「こんにちは。同じ1年2組の沢田千枝です。
今日はぜひみかんちゃんに相談したいことがあってきました。
ね、真美ちゃん」
めがねをかけている千枝ちゃんが、長い髪の真美ちゃんにいいます。
真美ちゃんはうなずきました。
「そうなんだ。はじめまして。みかんです。
相談したいことってなあに?できる限りお手伝いするよ」
わたしがいつものようにそういうと、真美ちゃんが話してくれました。
「もうすぐおひな祭りだから、わたしの家、いつものようにおひなさまを出したの」
今みんなと話したばかりのことなので、余計まじめにわたしは聞きます。
「わたしおひなさまが大好きで、毎日朝起きたらあいさつしてるんです。
他にもよくおひなさまに会いに行くけど、不思議なのはその朝最初に行った時なの。
出してからずっと1週間くらい、なんだかおひなさま達お人形の場所が毎日動いているみたいなんです。
その時にちゃんと元通りに直すんだけど、次の日にはまた少し動いてるの。
わたしの家のおひなさま、もしかして夜に動いているのかな?
それをぜひ魔法使いのみかんちゃんに、教えてもらおうと思ったんです」
「ひな人形って動いたりするんですか?」
真美ちゃんの説明の後、千枝ちゃんにそう聞かれて、わたしはまじめに考えました。
「うーん。普通おひなさまは動いたりしないよねえ」
本当にとっても不思議なお話です。
魔法使いのわたしも、そういう話は聞いたことないなあ。
──普通はないけど、でも毎日動いているなんて何かありそうだよね。
確かめてみなくっちゃ。
わたしはそう考えて聞いてみました。
「じゃあその真美ちゃん家のおひなさま、見に行ってもいい?見たら何かわかるかも」
魔法はそんなに使えなくても、魔法使いとして不思議なものがわかる力はあるからね。
もし不思議な物だったら、お話とかできるかもしれません。
すると真美ちゃんはぱっと笑顔になりました。
「うん。ありがとうございます!じゃあ今日、家に来てください」
「よかったね!真美ちゃん。じゃあ帰りにまた来ます」
そういって2人はうれしそうに、トタトタと走って帰っていきました。
そんな真美ちゃん達を見送りながら、考えます。
うーん、動くおひなさまかあ。やっぱり普通のお人形じゃないのかなあ。
物というのも実は、使われることによって心を持ってきます。
その物の心というのが普通はとても弱いから、300年は生きた魔法使いがやっと、心の強いものからわかるようになっていくそうです。
でもたまに普通の人でもわかるくらい、とても強い心を持った物もいます。
真美ちゃん家のおひなさまはそれなのかな?
…まだ全然わからないけど、悪い理由じゃなさそうだなあって予感がします。
なんだか今回のお仕事はとってもわくわくします。

[chapter:2 次へ向かって、みんなで作戦会議]
授業が終わったら、約束通り真美ちゃんと千枝ちゃんが4年3組に迎えに来てくれました。
3人で真美ちゃんの家に行きます。
今日が5時間で終わる日でよかったよ。
6時間ある日だったら、真美ちゃん達に待っててもらわなきゃいけなくなるところだったもんね。
真美ちゃんの家のリビングから見える、隣の部屋にそのおひなさまは置かれていました。
「大きいからリビングには置けないって、いつもここに飾ってあるんです」
真美ちゃんがおひなさまの前に案内してくれて、そういいます。
「真美ちゃん家のおひなさま、本当に大きくてすごいよねえ」
そう千枝ちゃんがいう通り、本当に立派なおひなさまです。
わたしの背よりもずっと大きいし、見たこともないものがたくさん並んでいます。
あっ!牛さんが引いてる車もあるよ。すごいなあ。
「何かわかりますか?」

千枝ちゃんに聞かれて、すっかりおひなさまに感心していたわたしは、はっと思い出しました。
そうそう、このおひなさまが何で動くのか調べるんだったよね。
わたしはおひなさまに近付いて、よーく見てみました。
でも何も感じるものはありません。
もし生きていたり、何かが宿っていたりするとわかるはずなんだけど…。
気持ちをもっと集中してやってみても、何も伝わってきませんでした。
「今は本当に普通のおひなさまだねえ」
わたしがそういうと、2人はがっかりしたみたいです。
「そうですか」
「みかんちゃんでも理由はわからないんだね」
でも真美ちゃんは顔を上げて一生懸命いいました。
「でも、絶対動いている不思議なおひなさまのはずです!
夜だけ特別なのかも!夜に一緒に見てもらえませんか?」
わたしはもちろんうなずきます。
今は普通だけど、真美ちゃんのいう通り夜は違うのかもしれないって、わたしも思います。
その動く理由や、何が起こっているのか、謎を知りたいもんね。
お母さんにはお仕事っていえば、夜でも大丈夫じゃないかな。
前にこういうことがあった時には、行かせてもらえました。
そこでとっても肝心なことがあります。
「うん、いいよ!でも何時くらいかな?」
すると真美ちゃんは、まじめな顔で考え始めました。
「えーと、お父さん・お母さんが起きている間は、この戸を開けてあるんです。
それで寝る時に閉めるそうだから、それから朝わたし達が起きてくる間のはずです」
「それってつまり…?」
千枝ちゃんが具体的に聞くと、真美ちゃんはうつむきました。
「お母さん達が寝るのは、夜の12時なんだって…」

わたしと千枝ちゃんはびっくり顔になりました。
みんなが知らない夜の時間なんだから、なんとなーく遅いんだろうなって思っていたけど、それよりもずっとです。
夜の12時って、次の日に変わる不思議な時間だよね。
わたしが1度も起きていたことのない時間です。
大晦日の時も起きていようとしても、どうしても途中で眠っちゃうから。
そこでわたしは困って、いってしまいました。
「わたし、毎日9時に寝てるよ」
真美ちゃんも、わたしよりも困った顔でいいます。
「わたしも8時30分…」
…………………。
(そんな時間に起きていられるかなあ?)
3人で何秒か止まってしまったけど、わたしはぱっと気を取り直しました。
真美ちゃんも夜遅いのを気にして困ってるもんね。
それくらいなんとかできなくっちゃ、立派な魔法使いになれないよね。
みかんは頑張るよ!
そう心の中で決意して、真美ちゃんに聞きます。
「その前にたくさんお昼寝しておけばいいよね。
でも、そんな夜遅くにわたしがいても大丈夫?」
わたしがあきらめなかったので、真美ちゃんはうれしそうな顔になりました。
そして元気に、いいアイディアをいってくれます。
「お母さんにはおとまり会っていえば大丈夫です。
それだったら、何時でもよくなるし」
うん。本当にそれなら真夜中にもいられる、1番いい方法だね。
「そっか、そうだね」
わたしは感心してうなずきました。
でも千枝ちゃんは、そう聞いて残念そうです。
「わたしは夜に来られないや。
でも後で何があったか教えてね」
そんな千枝ちゃんに、真美ちゃんはしっかりうなずきます。
「うん、もちろんだよ。千枝ちゃん」
そう約束している2人は本当に親友らしくて、見ているわたしにとってもよかったです。
そうして夜に調べるのは、わたしと真美ちゃんの2人になっちゃいました。
でもそのお泊まりの時のことについては千枝ちゃんも一緒に、3人で詳しく決めます。
「お昼寝する時間がいるし、お泊まり会をするんだから、学校がお休みの日がいいよね」
わたしがそういうと、千枝ちゃんがカレンダーでチェックしてくれました。
「だったら、ひな祭りの前の日がお休みです」
その答えに、ちょっと考えます。
「そっか、それじゃ遅いね」
謎がわかるのは、本番のおひな祭りの日になっちゃうもん(正確にいうと日付が変わっているからだよ)。
今日が月曜日だから、お休みまで1番遠いんだよね。
真美ちゃんもわたしと同じように思ったみたいで、そしてもっと考えていました。
「千枝ちゃん、その日って何曜日なの?」
真美ちゃんの質問に、千枝ちゃんはわかりやすく答えてくれます。
「日曜日だよ。その前の土曜日は3月最初だから、学校あるもんね」
その言葉に、わたしと真美ちゃんはぱっと顔を見合わせます。
「土曜日だったら、家に帰ってから眠れば、なんとか大丈夫そうだね」
わたしがそういうと、真美ちゃんも期待を持った顔でいいます。
「お昼寝をして、夕方来てもらうことにすればできそう。
すぐにお母さんに聞いてみますね」
こう話がまとまって、次の日には、お泊まり会ができるって真美ちゃんからお返事がきました。
わたしは3月1日の夕方に真美ちゃんの家にお泊まりして、おひなさまの謎を調べることになったのです。

〈日にち〉2月24日(月曜日)
〈お願いしてきた人〉1年2組の真美ちゃん、千枝ちゃん
〈お仕事の内容〉夜に動いているのかもしれないおひなさまを調べる。
〈方法〉3月1日の5時に、真美ちゃんの家に行く。
→夜の12時から、真美ちゃんと2人でおひなさまをこっそり見守る。
「何を書いてるの?」
お昼休みにノートを書いていたわたしは、前の席の麻緒ちゃんに声をかけられました。
でもわたしが答える前に、後ろのももちゃんに当てられました。
「わかった!いつも付けてるお仕事ノートでしょ」
そう聞いて麻緒ちゃんは納得しました。
「そっか。昨日相談されてたもんね」
わたしはうなずきます。
「うん。どんなお仕事をしたか、ちゃんと書いておかないとね」
お泊まり会ができるって朝にきいたので、今回もそろそろ書き始めることにしたのです。
そんなわたしに、桜ちゃんがほーっと息をつきました。
「みかんちゃんって、結構まめだよね。ノートは何ページいったの?」
そう聞かれたので、わたしは今までのノートの枚数を数えてみました。
でも最初の方だからすぐ終わったよ。
「3年生になった時から書いてるんだけど、このノートが2冊目で、今5ページ目だよ」
そういうと、周りにいたみんなに驚かれました。
「うわー。すごくたくさん」
「1つの出来事に1ページ使ってるんだったよね。
…ということは、1ヶ月に3件くらいってことだね」
そう秋子ちゃんが素早く計算までするので、わたしは手を振っていいました。
「わたしにはできなかったお願いも書いているから、たくさんになってるんだよ」
そう、わたしの使える魔法が少ないからできなかったことや、魔法使いにもできないお願いもたくさんありました。
でもわたしは一応全部書いています。
たまにこのノートを見て、今度同じことをお願いされた時にできることはないか考えています。
お勉強すればできそうなことは、できるだけ頑張って力になりたいもんね。
そのおかげで役に立ったことも、少しはあるんだよ。
「今回は、どんな内容だったんですか?」
正くんがいつものようにノートを持って聞きます。
魔法使いがどういうお仕事をするのか、とっても興味があるそうです。
だから、お願いした人が秘密っていった時や、わたしが他の人にはいわない方がいいんじゃないかなって思ったこと以外は話しています。
今回のは真美ちゃんの悩みっていうよりも、不思議なお話だからいってもいいよね。
わたしはそう思って、みんなに話すことにしました。
「毎朝おひなさまを見た時に、昨日よりも少し動いているんだって。
だから夜に動いているのかもって、調べることになったんだよ」
そういうと、やっぱりみんな驚きました。
「とってもおもしろそうな話」
柾紀くんがそう笑顔でいったのを最初に、女の子達も張り切ります。
「本当におひなさまが動いていたら感動するねー」
でも温広くんは逆に、まじめな顔でいいました。
「それってあぶなくないか?
人形が動くって、いい理由よりも…、たたりだったりとかさー」
その言葉で、一気にみんな暗ーい顔になりました。
「たしかに…」
龍太郎くんも、そう左手をあごにやってうなずきます。
すると彩ちゃんがわたしの手を取りました。
「みかんちゃん、大丈夫?」
そうみんながまじめに心配してくれたけど、わたしは自信を持って答えました。
「大丈夫!そういうのじゃないよ。だったら見た時わかるはずだもん」
そんな怖いことじゃないって、不思議と信じられます。
そう笑顔でいられるわたしに、正くんが質問しました。
「じゃあ、みかんさんはどう思っているんですか?」
そこでわたしは、昨日少し考えてみたことをいってみます。
「お人形自体は普通で、自分で動いているんじゃないと思うの。
だからおひなさまを動かしている、何かがあるのかなあ?」
それが何かはまだわからないんだけどね。
でもその答えに、正くん達みんなは満足したみたいです。
「そうですか、なるほど。ではわかったら教えてくださいね」
正くんがノートを閉じていいました。
「その何かが素敵なものだといいなあ」
そう瞳をきらきらさせていう、みゆきちゃんの言葉にうなずきます。
「うん、そうだね。きっといいものだよ」
そう話がまとまると、今度は高志くんに聞かれました。
「そういえば、さっき夜に調べるとかいってなかったか?」
「うん」
わたしがうなずくと、途端にまたみんなに心配されました。
「夜って8時くらい?」
優香里ちゃんの言葉に、光くんが答えます。
「いや、いくら何でもそんなに早くないんじゃない?」
「そうそう。なんたってみんなが知らない間だし…」
港くんがそういった後に、みんながわたしをじーっと注目します。
わたしはちょっと気が引けたけど答えました。
「夜の12時からなの…」
すると思った通り、みんなに騒がれました。
「夜の12時…って、おれ達だってきつい時間だぞ!?
夏の学校宿泊会の時、自分が何時に寝たか覚えてるか?」
そう健治くんにいわれて、半年前の宿泊会のことを思い出しました。
雪湖小学校は夏に、3・4年生は学校で、5・6年生になったら遠くまで連れて行ってもらって、お泊まり会があるんだよ。
たしかこの前は、昼間元気にはしゃいで疲れちゃったから、すぐ寝ちゃったんだっけ。
あれって何時だったのかな?
わたしが思い出せないでいると、健治くんが強くいいました。
「8時30分だぞ、8時30分!
みかんと、麻緒と、柾紀と、港は、夜更かしなんてぜーったい無理!」
そう早く眠ったらしいみんなまでおまけに指を指されて、力説されてしまいました。
えへへへへ。わたしは仕方なく、とりあえずごまかし笑い。
健治くんのいう通り、12時まで起きているなんてわたしには無理です。
でもそれももちろん考えてあるんだよ。
わたしは人差し指を立てて、そのことを付け加えます。
「ちゃんと考えてあるよ。
土曜日の5時からだから、学校が終わってから3時間眠っていけるでしょ。
それから真美ちゃんの家に行っても、時間まではできるだけ寝ることになってるもん」
昨日しっかり真美ちゃん達と、そう眠る時間のことまで決めておきました。
今回はお仕事のために行くので、遊ぶよりもお仕事を成功させるための計画を立ててあります。
わたしがそう説明すると、龍太郎くんがうなずいてくれました。
「なら、大丈夫なんじゃないか?前もって寝てるんなら安心だよ」
みんなも納得してくれたようです。
「でもみかんは夜弱いんだから、あんまり無理するなよ」
そう最後に注意してくれた高志くんに、わたしはうなずいていいました。
「うん、そうだね。気を付けるよ。
でも楽しそうなお話だし、できるだけがんばってくるね!」
そう元気に答えてから、みんなに向き直っていいます。
「何でだったのか、みんなに報告するからね」

[chapter:3 魔法使いのお仕事]
そして約束の土曜日になりました。
この4日間、気になって待ち遠しかったよ。
学校から帰ってきて3時間は充分眠れたわたしは、約束の30分前に家を出ます。
予定だと、真美ちゃん家に着くのは5分前くらいかな。
「じゃあ、頑張って行ってきまーす」
昨日のうちに準備しておいた荷物を持って出発します。
お母さんが手を振って見送ってくれました。
「はーい。気をつけていってらっしゃい」
思っていた通り、今回のお話をすると、お母さんは応援して送り出してくれました。
今日は大きな荷物があるからほうきで行けないので、歩きです。
荷物っていっても、おひなさまの計画で使う物が多いんじゃないよ。
パジャマとか、そういう普通のお泊まりに必要な物です。
今回はお仕事のためとはいっても、お泊まりするなんて、めったにないことです。
だからこうやって準備するのは、なかなか楽しかったよ。
3月の5時なので、上を見るときれいな夕焼け空になっています。
今日はこれがすっかり夜になってから本番なんだよね。
いつもは夜にやることってないので、少し緊張します。
それから初めての挑戦にドキドキとわくわくもある、不思議な気分です。
みかんが今日、きっと解決してみせるよ。
真美ちゃん、がんばるからね!
わたしはそう気合いを入れて、張り切って真美ちゃんの家へと向かいました。

「こんにちは。おじゃましまーす」
わたしがそうあいさつをすると、真美ちゃんとお母さんが迎えてくれました。
真美ちゃんはわたしを見て、ほっとした顔になります。
「みかんちゃん!いらっしゃい」
「はじめまして。真美に、みかんちゃんのことは前から聞いていたのよ」
そう真美ちゃんのお母さんにも、歓迎してもらえました。
前って、真美ちゃんがお泊まり会の話をしてくれた時のことかな?
そんなことを思いながら、しっかりあいさつをしました。
「はじめまして。みかんです。お世話になります」
明日の午前中まで、とってもお世話になるんだもんね。
お家に上がると、まず今日お泊まりさせてもらう2階の真美ちゃんのお部屋に行きます。
荷物を置いて、早速ここでこれからの確認をします。
「本当に今日はありがとうございました。これからは…」
千枝ちゃんも一緒に話し合って決めた、計画ノートを広げて話します。
これには、その時間にすることなどをまとめてあるんだよ。
「お夕飯を食べたら、すぐに寝る準備をして、12時までは寝るんですよね」
そう真美ちゃんのいう通り、夜になったらずっと眠ることにしています。
夜中にしっかり起きていられるようにね。
真美ちゃんの言葉にうなずいて、わたしは考えました。
「今からお夕飯の時間までは空いているんだよね。
じゃあ今のうちに、もう1度おひなさまを見にいってみよっか」
あれから何か変わったことがあるかもしれないし、夜中に調べる前にしっかり確めておいた方がいいよね。
わたしは大人になったみたいに、まじめにそう考えました。
「うん、お願いします」
真美ちゃんもうなずいて、2人でおひなさまの置いてある部屋に行きました。
またおひなさまをよーく見てみます。
「…やっぱり普通だね」
もう1度見ても、いたって普通のお人形です。
「でも今朝も動いていたのに…」
そう一生懸命いう真美ちゃんに、わたしはうなずきます。
「そっか。その不思議な夜を調べるために来たんだもんね」
また夜の時にがんばろって、わたしは力が抜けました。
そしてのんびり気分に戻ったわたしは、また立派なおひなさまに感心してしまいます。
「本当に、真美ちゃん家のおひなさまは大きいねえ」
お友達の家のも見せてもらったことがあるけれど、その中でも1番大きいです。
そしてお人形1つ1つがきれいで、大切にされているのがわかります。
ほこりもかぶったりしていないんだよ。よくお手入れされているんだね。
そうよくよく見ていると、後ろから思いがけず声がしました。
「大きな雛人形が夢だったの」
突然の真美ちゃんのお母さんの登場に、わたし達はびっくりして振り返ります。
今の話、聞かれちゃったかな?
わたし達は、作戦が知られて、真美ちゃんのお母さんに変な顔をされないかと、どきどきしました。
でも真美ちゃんのお母さんは、おだやかな顔をしています。
聞かれていなかったようです。
お母さんはそんなわたし達の様子を気にしないで、話を続けます。
「私の雛人形は、2段の三人官女まででね…。
──それでも、大事な物にはかわりなかったのよ。
ひな祭りが近付くと早くに出してもらって、毎日見ていたくらいなの」
そうわたし達に慌てて付け加えてから、またおひなさまを見てうれしそうにいいます。
「でもこうやって何段もあるような雛人形を飾るのが、子どもの頃からの憧れだったの。
どう?素敵な雛人形でしょ?」
お母さんの言葉に、わたし達はうなずきます。
そしてうれしい気持ちにもなりました。
真美ちゃんのお母さんは、その夢をずっと持っていて叶えたってことだもんね。
だからか、とっても誇らしそうに見えます。
それから大切なことをいってくれました。
「でもね、その私の雛人形も、今でも大切に部屋に飾っているの。
家に大きいのが増えたって、小さい頃からの私の宝物だからね」
そうおちゃめにウインクします。
その言葉に、真美ちゃんも元気に答えました。
「うん。わたしも、お母さんみたいに大事にするよ」
そんな話を聞いていて、わたしはこの親子に感心しました。
2人ともとっても素敵だなあ。
真美ちゃんもお母さんも、本当におひなさまを大切に思っているんだね。
真美ちゃんがおひなさまを特別大事に思っているのって、もしかしてそんなお母さんを見ていたからもあるのかな。
よーし、そんな大事なおひなさまなんだもん。
何で動いたりするのか、絶対に謎をとかなくちゃ。
わたしはますます気合いが入りました。

それからすぐに、真美ちゃんのお父さんも帰ってきました。
みんなからのリクエストで、お夕飯の前にちょっと魔法を披露したよ。
いろいろな物を出してみせたら、みんなびっくりしていました。
真美ちゃんのお父さんもお母さんも、魔法はテレビで見たりすることはあっても、実際に見るのは10年に1度もないっていっていました。
だからとっても喜んでもらえたよ。
感心してもらうと、わたしはやっぱり得意気な気分になっちゃいます。
その後で、真美ちゃんのお母さんが腕によりをかけて作ってくれたお夕飯を食べました。
気を使って、わたし達子どもが好きなメニューにしてくれました。
真美ちゃんの家族に混ぜてもらってのお夕飯は、とっても楽しかったし、おいしかったよ。
こういうふうにお父さんがいたり、兄弟がいる家族に、わたしは憧れちゃいます。
わたしには最初からお父さんがいないし、4歳の時におばあちゃんの家を出てからは、ずっとお母さんと2人暮らしだからです。
あ、でもお母さんはわたしのことをよく考えてくれているから、普段寂しい思いはしてないよ。
それからわたし達の計画では、すぐに寝る時間です。
パジャマを着たり、歯磨きをするわたし達は、不思議そうな顔をされました。
「こんなに早く寝るの?」
そう聞かれた時は、ちょっと返事に困りました。
普通お泊まり会って、逆にいつもより遅く起きているものだもんね。
お友達と遅くまで遊んだり、お話するのが楽しみで来るんですから。
すぐに寝るなんて、おかしいって思われてしまいます。
「いつ眠くなってもいいように、準備だけしているの」
そう真美ちゃんが上手に答えてくれました。
でも本当は用意ができたら、すぐに眠ります。
真美ちゃんのお部屋で遊ぶといって、わたし達は2階へ昇っていきました。
今は8時少し前だから、4時間もあるよ。
お昼寝したのと合わせると、7時間にもなるね。
いつもよりは少ないけど、調べ終わったらまた眠れるんだし、バッチリです。
真美ちゃんが目覚まし時計を12時にセットしました。
わたしは使ったことがないけれど、合わせた時間になると音が鳴って知らせてくれる、便利な時計です。
こんなに早いのは、サンタさんが来るクリスマスイブくらいだけど、わりとすぐに眠れました。

ピピピピピピ…♪
?何の音かな?
真っ暗な中、わたしは何かの音で目が覚めました。
何だかわからないまま起き上がります。
それから、寝ぼけたまま周りをきょろきょろ見回しました。
でも聞き慣れていない音なので、今のわたしには何だかわかりません。
すると一緒に起きた真美ちゃんが、眠そうに目をこすりながらいいました。
「もう時間なんだね…」
そして目覚まし時計の上にあるボタンを押しました。
すると音が止まります。
そうか。あれは目覚ましの音だったんだね。
…ということは、今は夜中の12時なんだ。
そうわかると、わたしはバッチリ目が覚めました。
眠たさよりも、おひなさまの謎を知りたい気持ちの方が大きいんです。
今までにたくさん寝たから、もう充分!
「よーし!がんばって原因をみつけようね」
わたしは右手を挙げて、そう気合いを入れました。
でも真美ちゃんのお父さんとお母さんに聞こえないように、小さな声でね。
2人の部屋も同じ2階で、そしてお隣がお母さんの部屋なんだもんね。
気を付けないと、すぐにみつかっちゃうよ。
真美ちゃんはわたしの言葉に、まじめな顔でうなずきます。
そして急いで簡単な準備をすると、わたし達はそっと階段を降りていきました。

[chapter:4 おひなさまと妖精さん]
下は電気が点いてなくて真っ暗です。
わたし達はリビングに行くと、おひなさまがある隣の部屋のふすまをそっと少しだけ開けてみました。
まだ何も起きてないみたいだね。
何も変わっていないのを確認すると、少しすき間を開けたままにしておきます。
これから何か起きた時に、すぐにここから覗けるようにね。
それから背中をおひなさまの部屋のふすまに向けて、すぐ側に座りました。
できるだけ近くにいて、小さな音でも聞こえるようにです。
電気を点けると向こうが気にして、その不思議なことが起きなくなるかもしれません。
だから、窓からのお月様のぼんやりとした明るさの中で待っています。
お話もできないので、2人でどきどきしながら静かにしていました。
これは大分大変だったけど、一生懸命がまんです。
時々真美ちゃんと顔を見合わせて、瞳と瞳でがんばろうねってはげましあいました。
緊張していたので、2人とも眠くなりませんでした。
そしてがんばったかいがありました。
大分時間が経って、隣の部屋から、何かがトントンと跳ねているような音が小さく聞こえてきたのです。
時計を見てみると、1時を少し過ぎたところです。
──何かな?
わたし達は向こうに見つからないように、そーっとふすまに近付きました。
そしてすき間からやっと見えるギリギリのところから覗いてみました。
するとなんとそこで、小さな人が1人、向こうを向いて跳ねていたのです。
着ているお洋服も長い帽子もみんな緑色で、10㎝くらいの大きさの人かな。
おひなさま達を見ているみたいです。
わたしはその姿を見て思い当たりました。
ああっ!あれは……、妖精さん!
妖精さんを知っているわたしも驚いたし、真美ちゃんはもっと驚いています。
それはそうだよね。
普通の子は妖精さんが本当にいるということに、まずびっくりします。
でもこの状況だと、説明している余裕はありません。
それにわたしも、なんで妖精さんが来たのかわからないし。
でもおひなさま達が動いていることに、きっと関係があるんだよね。
わたし達はこれから何が起こるのか知りたくて、まだなんとか静かに見ています。
その妖精さんはさっと杖を取り出して、指揮をする時のように振り始めました。
見ていると楽しくなってくるような、元気な振り方です。
するとなんと、おひなさま達みんなが動き出し始めました。
そしてぴょっこんぴょっこんと跳ねながら、ひな壇を降りてきたのです。
ひな壇の前に、ずらっとおひなさま達が勢ぞろいします。
こうやって妖精さんの力で動いてたんだあ。
わたしは納得してうなずきました。
普通に考えると不思議だったけど、妖精さんの力があれば簡単なことです。
でもまさか妖精さんがやっていたとは、思いつけませんでした。
妖精さんはそんなおひなさま達を見て、満足そうにうなずいています。
それから突然、わたし達に話しかけました。
「そこに隠れているのはわかってるんだぜ。妖精さん」
おじさんのような声で、落ち着いた言い方です。
妖精さんが手を下ろすと、おひなさま達もまたぴたっと止まります。
そう気付かれていたことに、わたしはとってもびっくりしました。
一生懸命大人しくしていたけど、やっぱり不思議な力を持った人にはみつかっちゃうね。
そうちょっと困った気持ちにもなりました。
でもその妖精さんが思い当たる人だったこともあって、わたしは笑顔で出て行きます。
「はーい、そうです。はじめまして、妖精さん」
すると妖精のおじさんからも笑って返されました。
「おう、はじめまして。妖精のお嬢ちゃん」
さっきまで緊張した気持ちだったのに、そういきなり仲良くあいさつをしているわたし達です。
でもどの妖精さんに会った時も、いつもこんなふうなんだよ。
そんなわたし達のところに、真美ちゃんも出てきて聞きました。
「みかんちゃんは、その妖精さんを知ってるんだね?
それに、魔法使いのことも妖精っていうの?」
その声に振り返った妖精さんは、真美ちゃんにも驚いた様子がありませんでした。
そしてその質問に元気に答えてくれます。
「おうよ。お嬢ちゃんは人間だな。
本当は人間にはみつかっちゃいけないんだけど、まあこのひな壇の持ち主だからいいか」
そう妖精さんはひな壇を振り返ってみて、自分で納得していました。
それから詳しく説明をしてくれます。
「神様から特別な力を与えられて、助けを仕事とする者を妖精っていうんだ。
この世界に生まれたみんなを幸せにするために、どの妖精も日々がんばっている。
で、担当する者が振り分けられていて、同じ担当同士と、担当されているものには魔法使いと呼ばれるのさ。
担当が違う相手のことは、敬意を込めて『妖精さん』と呼ぶことになっている、そういうわけよ」
妖精さんはそうすらすらと、上手に教えてくれました。
つまりわたしの場合は動物担当なので、その動物みんなや、お母さん達同じ仲間からは魔法使いと呼ばれます。
その他からは妖精さんと呼ばれるということです。
「妖精さん」って呼ばれるのは慣れていないから、照れちゃうけどね。
それから妖精のおじさんは付け加えます。
「自分とは違う妖精さんのことは話に聞いている。
だから実際に会ったことがなくてもわかるんだ。
それに仲間だから、初対面でもこうやって仲がいいんだな」
わたしもその言葉に大きくうなずきます。
うん、わたしもそう妖精さんのことを聞いていたから、わかったんだよ。この妖精さんは、かわいい格好をしているよね。
絵本に出てくる小人さんのようなその姿を、魔法使いの本で見たんです。
その時から気になっていたから、こうやって会えてとってもうれしいな。
妖精さんの説明には難しい言葉もあったけれど、真美ちゃんはちゃんとわかったようです。
「そっか。みかんちゃんと妖精さんはその担当が違っているだけで、おんなじことをしている仲間なんだね」
のみこみが早い真美ちゃんに、妖精さんは元気にうなずきます。
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