神子を知る者と神子の記憶
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「柳宿…ごめんなさい…」
その腕に触れながら緋連は力を込める、以前の戦いの時のように彼の怪我を自分に移そうと。
「やめなさい!あたしは大丈夫だから!!」
それに気づいた柳宿が無理やり緋連を引き剥がした。
「でも…!」
「これくらい平気よ!あんたの方がひどい怪我なのに、無茶なことするんじゃないの!」
力のこともあってしっかりと守ることが出来なかった自分が出来る唯一のことが彼の怪我を、みんなの怪我を自分に移すということなのに、それすらも許されないというのなら、「神子」の存在は何のためにあるのだろうか。「神子」はどうしてここにいるのだろうか…。
「余計なこと考えなくていいの、ほら、手当してもらいましょう」
柳宿に優しく諭されて緋連はその場を後にした。部屋中についた風が付けた後を見て、遠い、遠い昔のある七星士の能力のことが頭をよぎっていく。
「玄武七星士…。玄武の神子…」
頭の中で駆け巡る遠い記憶は朧気で、霞んでいくかつての仲間たち。もう彼らのことすら思い出すことも許されないのだろうか、緋連はグッと溢れ出しそうな何かをこらえた。
「すまない、遅くなってしまったな…」
戦いがあったその日の夜、軫宿と張宿が宮殿へとたどり着いた。途中で風に襲われ石を取られてしまい、そのせいで到着が大幅に遅れたのだと。
「ずっと風の行方を捜していたのですが、このままだと時間ばかりが消費されていくと思いまして…」
これは皆の協力を仰いだ方がいいと思い、進路を宮殿へと戻してたどり着いたのが今だというのだ。
「着いたところ早速で悪いけど、緋連の怪我を診てくれないかしら」
軫宿は分かっているというように頷いて緋連が座っている場所へと移動する。
「柳宿だって怪我してるじゃない…」
先に柳宿を診てくれと言いたそうな緋連の腕を軫宿が持った。
「っ…」
「痛いのだろう?」
「…これくらいの傷なら…」
大丈夫と言いたかったが軫宿が持ち上げた場所がズキズキと痛みだして言葉が繋げない。手当はしてあるがそれでも怪我を完全に修復できるものではないのだから、傷や、打ち付けた背中が時間で痛みだすのは当たり前のことだった。