神子を知る者と神子の記憶
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「そう…」
グッと湧き上がってくる何かをこらえるように緋連は天井を見上げた。わかっていたことだから。それでも美朱たちが覚えてくれているならそれでいいと思った。
「でもね、唯ちゃんと時々話すんだ。小学校の時のこととか、それこそ中学校に上がった時のこととか」
2人だけが覚えている緋連と過ごした時間のこと。他の友達とは語れない2人だけの秘密の話。
「魏もね、早く思い出したいって言ってたよ…」
石を全て取り戻せばきっと思い出せるはずだよねと聞いてくる美朱に曖昧に微笑むことしか出来なかった。それこそ神のみぞ知る領域なのだろうから。
「あ、そう言えば気になってたんだけど…」
少ししんみりとしてしまった空気を変えようと緋連は美朱の左手の薬指を指す。
「あ、これ?」
そう言って見せてくれた指輪。いつもは学校で付けないように気を付けているがこちらに来るときは放課後で、魏と2人で過ごしていた時だったから指に付けていたのだと。
「魏からのプレゼント?」
「ううん。違うよ、これは自分で露店で買ったの」
前の戦いの時に現実世界で挙げた2人だけの結婚式の時のもの。美朱が露店で買って置いていたものを2人の指に通したと教えてくれた。早く本当の結婚指輪を交わしあいたいと。
「へえ…」
ジーっと指輪を見る緋連。ニヤニヤと美朱が笑っている。
「緋連も柳宿と付ければいいじゃん」
「えー、そりゃ、羨ましいとは思わなくもないけど…」
2人が付けている指輪。自分も確かに彼と一緒に付けたいと思って商人に置いてもらっている指輪があるが、まだそれを2人でつける勇気が出ない。そんな話でキャッキャと盛り上がる2人を見ているお互いの相手達。
「ほんと、女は話すことが尽きないねぇ」
いつ話が途切れるのか待っているわけではないが次から次へと話題が出てくる彼女たちに魏は感心した。
「まあ、2人が楽しそうならそれはそれでいいんじゃないかしら」
なんて美朱と幸せそうに話す緋連を笑顔で見つめる柳宿。美朱と話しているうちに緋連の妙な緊張感や空元気具合が和らいでいる気がする。
「それにしても、本当に緋連のこと忘れているのね…」
「誰かが一緒にいたのかもしれないということはわかるけど、今美朱と話している緋連のことかって言われたらわからない…」
「そう…」
本当ならそれが普通だったのだろう。自分たちに残っていた記憶の方が本来ならありえないことなのだから。