思い通りにいかない力
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「少し考えるわ…」
「神子忘れるでないぞ。おぬしが迷っている間も朱雀の力は弱まり、気の乱れはひどくなることを…お主の力、神子の力に、そしてお主の存在にも影響を与えるということを…」
「わかっているわ…」
太一君に一礼して緋連はその場を後にした。みんなに気をもらう…だとしても誰から?例え全員からもらったとしても力を使えばまたはじめからの繰り返しだ。まるで空気の抜けた風船を何度も膨らませその形を維持させるように。
「…悔しいな…」
思い通りにならない力。思い通りにいかない全て。これは仕方がないことなのかもしれない。自分が神子として存在している限り。
「話は終わったのだ?」
考えながらみんなのいる場所へと向かっている途中に声をかけられ緋連は少し驚いた。
「井宿…聞いてきたわ、私の気の乱れを落ち着かせる方法…」
井宿は知っている緋連の気が大きく乱れていることを。もちろん今回倒れたことで柳宿も知ることになったが、その理由までは柳宿は知らない。だけど、井宿にはあの時に語っていた。今の自分を作り上げている存在の全てのことを。
「オイラたちの気を分ける」
「そう。だけど私の中の朱雀の力が弱っている限りそれは繰り返される。七星士たちに何度も何度も分けてもらわないといけないの」
「…それを考えていたのだ?」
頷く。たとえ七星士たちが良いと言ったとしてもその負担を考えると軽く口にはできない。だけど自分の中の気は乱れ続けそれは彼らを護る障害となる。どれだけ考えても堂々巡りで正解のない問題。
「…朱雀を呼び出せれば、気は安定する…」
だけど、それはみんなとの別れを意味する。神子は朱雀をもう一度呼び出すために遣わされたのだから。気の乱れが確実に安定するときその時には自分はもういない。だけどこのまま朱雀の力が弱まり続けたとしても同じこと。待っているのはどちらも自分の存在の消滅。
「難しいな…本当、私の存在は…」
ポツリと落ちた言葉。井宿に答えを求めたわけでもない。そして自分でも答えを求めたわけじゃない。ただ心の底からそう思っただけの言葉。井宿もそれに言葉を返すことはなかった。
「今は太一君が乱れを正してくれたから大丈夫…だけど、戦いが始まってしまったら…」
戦いで力を使うたびに気は乱れる。それまでに決めなければいけない。七星士に力をもらうのかもらわないのか…。わかっているのに、それは仕方のないことだとわかっているのにどうして迷ってしまうのだろう。
「あ、いたいた、太一君との話はもう終わったの?」
前から駆けてくるその人の姿。ただ彼と一緒にいたいだけなのに。彼を、ただみんなを護りたいだけなのに…。
「緋連?どうしたの?」
泣きそうな、苦しそうなその表情を見て柳宿は隣にいた井宿を見る。何か知っているのか?そう問いかける自分に井宿は首を振った。それは自分の口から告げることではないと思ったから。
「…何でもないの。紅南国帰ろう。星宿さんも待ってる」
次に美朱たちが来る前に星宿の石と柳宿の石を用意しておかないと。魏、鬼宿の記憶を取り戻すことが何よりも優先させるべきことだから。