想いが動く時
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「結蓮ちゃん落ち着いたみたいだし、ちょっと緋連と水汲んでくるね」
「あ、ああ」
「気をつけていってらっしゃい」
美朱に連れられて行く緋連を見送った。
水を汲むために着た川のはずなのに目の前でニタニタとしながら美朱は桶に水を汲まずに自分を見つめている。
「美朱…?」
「緋連、柳宿のこと好きなんでしょ」
「は、はああああ!!」
美朱のとっ拍子のない発言や行動は慣れているが、今回はさすがに驚かずにはいられなかった。
「だって、柳宿が鬼宿とキスしていたって聞いたときの反応」
「ちょ、え、何でそれだけでそうなるの…」
確かに自分は驚いたが、それは鬼宿が柳宿とキスをしていたことに驚いただけで、別に特別な意味があったわけではないと否定する。
「別に、私は柳宿のことなんて…」
そう、彼に特別な感情なんて抱いてないはず。
「じゃあ、実は私も柳宿とキスをしてましたって言ったらどうする?」
「ええ…、嘘だ!!」
鬼宿だけでなく、美朱とも…?自分でも驚くほどの声が出てしまっていることに気が付いた。そして、美朱は相も変わらずニヤニヤと笑っている。
「ほら、それが答えじゃん。柳宿のこと気になってるってことだよ」
「そんなこと…それに、柳宿のことそんな風に思ってるなんて考えたこともないし…」
でもどうしてだか、美朱と柳宿とのやり取りを見ていた時に胸の奥がチクリとしたことも本当で、それの正体に気付かないふりをしていたけれど、美朱との会話でその蓋が開いてしまった。
「で、でも、その私に好きになられても柳宿迷惑なんじゃ…」
「それはわからないじゃない。後でそれとなく聞いてあげようか」
「そ、それだけはしないで…」
自覚してしまえばどんどんと気持ちが膨らんできて、それは止められなくなっていく。自分が柳宿を好きという気持ちが。
「顔、真っ赤だよ~。緋連とそんな話が出来るなんてね~」
ニタニタと笑いだす美朱に、緋連はいつもの調子で背中を叩いた。
「柳宿には、内緒だからね!!絶対、内緒だからね!!」
「はいはい。分かりました」
(私が、柳宿を好き…?確かに鬼宿とキスしてたって聞いて驚いたし、美朱とキスしてるって聞いたときはもっと嫌な気持ちになったけど…だけど、私のこの気持ちも、心も…いつか、消える……)
そうだ、自分には変えられない理があるのに。好きとか嫌いとかそんな次元の話をできる立場じゃないのに。もう向こうの世界にいたただの女子中学生みたいな生活は出来ないというのに。ギュッと体を抱きしめた。
「ねえ、緋連。ここにさ…」
美朱が星宿から預かってきた四神天地書を広げ緋連に尋ねる。七星士を探すために役に立つだろうと渡されたそれには七星士たちのヒントが書かれていた。
美朱がさしたその場所には「僧」と「面」と書かれている。
「ああ、それなら…美朱!!」
その文字の意味を伝えようとしたとき、何かの気配を感じて緋連は美朱を抱きかかえて地面を転がった。一瞬でも遅れていたら緋連か美朱どちらかが今地面に刺さっている鍬の餌食になっていただろう。