玄武の神座宝
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まだ新しいのだ。きっと緋連ちゃんはこの先にいるのだ…」
井宿が言うと柳宿がその血を辿って駆けだした。辿った血のその先に見えてきたのは木にもたれかかったまま一歩も動かない緋連の姿。
柳宿の頭の中に最悪の結末がよぎる。
「緋連っ!!」
慌てて駆け寄り、彼女の体を抱き起した。
「…ぬ、りこ…?ごめん、美朱、見失って…」
「今たまちゃん達が探しているから安心しさない」
「…ありが、と…」
緋連はそのまま深い深い眠りについた。後ろからザっと地面を踏む音がして振り返る。姿を現したのは軫宿だった。
「柳宿…緋連はみつかったのか…?」
「軫宿、お願い」
腕の中の緋連を軫宿に渡す。軫宿は緋連の体を診て、ホッと胸をなで下ろした。
「息はあるな…。あとは怪我がどれだけ治るか…」
「ごめん、疲れているの分かってるけど…」
「心配することはない。緋連を大切に思う気持ちは皆同じだ」
「ありがとう…」
緋連体を軫宿の力が包む。先ほど狼にかみつかれた傷がゆっくりとふさがっていく。緋連を抱え、柳宿と軫宿は黒山の洞窟の所に戻ることにした。
「…美朱…だめ…。違う…」
「緋連?」
腕の中の緋連の言葉に柳宿が反応したが、目を覚ましたわけではないようだ。遠い意識の中の出来事なのか、それとも夢の中のことなのか、それ以降緋連が言葉を発することはなかった。
「たまちゃん、美朱は?」
先に皆の所に戻っていた鬼宿に柳宿は話しかける。鬼宿は柳宿の腕の中の緋連に一度視線を移して、先ほどのことを話し始めた。
「さっき、太一君が来てさ…。あの狼追いかけてて具合悪くなったらしいんだ…」
どうやら美朱は太一君の神力で護られているらしい。更に、女子の事情と言う者が重なって今すぐには動けないらしいと。
太一君が無事に西廊国まで送り届けてくれるから、自分達は先に行ってもう1つの神座宝のありかの手がかりを探しておいてくれと美朱からの言付けを受け取ったらしい。
「何それ。さっきまで美朱ピンピンしてたじゃない?」
「まあ、しょうがねえよ。太一君がそう言うんだし…」
ポリポリと頭をかく鬼宿。
「まあ、美朱には太一君がいるから安心だろう。それより緋連は?大丈夫なのか?」
「今のところ眠っているみたい…」
あの雪の中とは違う。今は緋連の寝息が聞こえてくる。それに、体も温かいから…大丈夫。その言葉を聞いて鬼宿はホッと胸をなで下ろした。
「じゃあ、オイラ達は先に西廊国に向かうのだ」
「柳宿は、緋連が回復してから一緒に来ればいいだろう」
軫宿の言葉に井宿が頷く。
「そやそや、眠っとる奴に馬の旅はきついで。しゃあないから、俺らが先に行って神座宝手に入れといてやるわ」
「みんな…ありがとう」
黒山を下山して柳宿は特鳥蘭の宿屋に、鬼宿達は西廊国へと馬を進める。その別れ際…。
「緋連ちゃんならオイラ達の気を追ってすぐに追いつけると思うのだ」
「酷い怪我をしているからな。ちゃんと回復させてから追いかけて来てくれ」
「大丈夫よ。私がちゃんと診ておくわ」
「心配ないとは思うがな」
クスリと笑って、軫宿達は西廊国へと向かって行った。まだ、腕の中で眠り続ける緋連はにそっと優しく微笑むと柳宿は宿屋へと、足を踏み入れた。