いつか描いた未来のために…
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市街を走る1人の少女。彼女の目的地は一つの商店。再びこの紅南国に降り立った時に見つけた、あの指輪があるお店。
お金を持っていなかった自分に店主が取り置いてくれる指輪を買うために、その店に働きに向かっていた。
「こんにちは!今日もよろしくお願いします!」
店主に挨拶をして、今日もお店の前に立つ。この品はどうか、あの品の方が似合うのではないかなど、買い物客にアドバイスをしたり、買ってもらった商品を包んだりして働き始めていつの間にか数日が経っていた。
「さて、お疲れ様だったね。今日でこの指輪の代金分の仕事は終わりだよ。持って帰るといいさ」
そう言って商人が指輪の箱を取り出す。だけど、それを受け取るのを少し躊躇った。
「どうしたんだい?この指輪を買うために働いていたんだろう?恋人と喧嘩でもしたのかい?」
その問いかけに首を振る。喧嘩なんてしていない。ただ自分が彼の好意に応えられないのを悩んでしまっているだけ。彼は自分と結ばれる未来を描いてくれているのに、自分はその未来を描けなかったから。
「もしかしたら、彼には自分以外に良い人がいるんじゃないかって、考えてしまって…」
自分が消えた二年間、彼は待っていてくれた。だけど、この戦いが終わった後自分には彼と過ごす未来があるのかと考えてしまう。そして、また彼が自分のことを想いながら待ち続ける日々を送ることになってしまったらどうしようかと。
いっそのこと全てを消してしまって、彼が別の人と過ごす未来を歩んでもらった方がいいかもしれないかと。
「ふむ…。嬢ちゃんの事情は分からないが、この指輪を持って帰らないというなら、他のお客さんに売ってしまうかな…」
「えっ!!」
商人の言葉に大きく反応してしまった。その指輪が、別の人のモノになる…?
「どうしたんだい?買わないんだったら問題ないだろう?」
確かにそうだ。商人だって買う意志がない人のために置いておく意味はないだろう。
「そうですよね…」
そう、自分が取り置きをしてもらわなかったらすぐに売れていたかもしれない指輪。自分と恋仲にならなかったら、違う未来があったかもしれない彼。
「そうですよね…。私と出会わなければ…」
胸の前でギュッと拳を作った。その姿に、商人は仕方ないなとため息を吐き、肩に手を乗せた。
「嬢ちゃん、同じだよ」
同じとはどういう意味か、商人の顔をじっと見つめる。物と一緒にするなと怒られるかもしれないがと商人が話し始めた。
「この指輪も、嬢ちゃんの恋人も、出会っちまったんだよ。出会わなかったことを考えたところでもう変えられないさ」
「出会ってしまった…」
「そう。嬢ちゃんはその恋人に惹かれたし、恋人は嬢ちゃんに惹かれた。指輪も嬢ちゃんが惹かれたんだ。嬢ちゃんが手にしてくれる日をずっと待ってたんだよ」
考えても仕方ないことを考えるなと、ニカッと笑ってくれる商人。