魔に染まる月
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「軫宿!!早く!!」
気を失った緋連を抱えて宮殿に駆け込むのは何度目だろうか。もしあの時に美朱が戻ってくれと言ってくれなかったらどうなっていたのだろうか。
あの場に駆けつける自分の姿をみて、あいつは笑いながら消えていった。
「無茶するんだから…」
ギュッと緋連の手を握る。軫宿が手を翳し緋連の治療をしてくれたのに、何かがおかしい。
「…ダメだ…」
軫宿の手のひらにはしっかりと文字が浮かんでいるのにどうしてだろう、緋連の傷は一向に治らない。何かが邪魔をしているのか、それとも緋連には完全に効かないものになってしまったのだろうか。
「そんなっ…!!」
試しに美朱の怪我を治療してみた。すると美朱の傷は跡形もなく綺麗に治る。ということは軫宿の力の問題ではない。
「とにかく手当てをしよう」
緋連の体中の傷は軫宿がしっかりと治療をしてくれた。だけどどうして緋連に彼の力が効かなかったのか。つい先日まで彼女の傷を治すことが出来たはずなのに。
「やっぱりあんたを1人で戦わすんじゃなかったわ…」
手を握り目覚めるのを待つ。緋連の寝息は苦しそうなものではなく規則的なものに変わったことから落ち着いてきたことが分かるが、傷だらけの体を見るのはとても辛い。
もしあの時自分が間に合っていなかったら…考えると怖くなって自然と握る手に力が入ってしまう。
「…柳宿…?」
ピクリと指先が動いて緋連が瞳を開ける。
「私…」
起き上がろうとしてズキリと背中が、いや全身が痛んだ。ゆっくりと柳宿が支えてくれて、上半身を起こす。
「目が覚めたのね、よかった」
「美朱と魏は?無事?」
「ええ、無事よ。今は井宿と星宿様たちと一緒にいるから、安心しなさい」
その言葉を聞いて安心した。
「それより、1人で戦わせてごめんなさい」
「なんで柳宿が謝るの…?」
「あたしも一緒に戦うべきだったわ…」
緋連にこんなにひどい怪我をさせるなんて、判断を誤ったと謝る柳宿の額に緋連はピンと指先を弾いた。
「ちょっと…緋連…」
それほど力が入ったものではないが、なぜ今その行動に出たのか。わからず柳宿は緋連を見つめる。
「謝らなくてもいいのに柳宿が謝るから。私の怪我は柳宿のせいじゃないし、私は1人で戦うことを決めたんだから、ね」
笑う緋連の姿を柳宿は優しく包み込む。この怪我は柳宿のせいじゃない、私は大丈夫と緋連は柳宿のそれに応えて腕を背中に回した。
「…ねえ、朱雀廟に連れて行ってもらえるかな…」
「朱雀廟に?また…?」
「うん、朱雀に聞きたいことがあって…」
朱雀との繋がりを絶たれた緋連が唯一朱雀と話せる可能性のある場所。それはこの宮殿にある朱雀廟の朱雀の像がある場所だから。