2人だけが描く夢
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「 」
(何を言っているの…?ねえ、聞こえないよ…)
遠い意識の中、目の前に現れた赤、青、白、そして黒い玉。その玉は自分の周りをグルグルと回っていた。その中の一つに手を伸ばそうとしたとき、黒い玉がスーッとどこかへと飛び去って行った。
(待って、行っちゃダメ!!)
「…っ…!!待って、行かないでっ!!」
玉を掴もうと伸ばした手は、誰かに掴まれハッと目を覚ます。
「どうしたの?どこにも行かないわよ?」
掴んでくれたその人が優しく答えてくれた。
「柳宿…?あれ、夢…?」
「ずいぶんうなされていたみたいだけど…って、ちょっと、大丈夫?」
体を起こした緋連の瞳からボロボロと涙がこぼれてきていた。
「わからない、でも、なんだろう何か大事なものが無くなったような気がして…」
心の中の大きな隙間が痛くて、悲しくて、涙がずっと流れてくる。止めようと思っても止められないくらいに溢れてくる。
「ほら、涙を拭きなさい」
そう言って手拭いを渡してくれる。だけどいつまでたっても心の隙間は埋まることがなくて、落ち着くまでにかなりの時間を要した。
「もう、落ち着いた?」
いつまでも涙を流していた緋連に柳宿が温かいお茶を差し出す。それを受け取り、ゆっくりと口に含んだ緋連は頷いた。
「変だね、何かを無くした気がするのに、それが何かわからないなんて…」
「夢の内容は?」
「覚えてない…ううん、忘れたんだと思う…」
無くした何かを思うと、胸が苦しくて、辛くて、痛い。だけどそれが何なのかはわからない。一体自分は何を失ったというのだろうか。
「気が乱れたのとは違う。朱雀の気はちゃんと内にあるから…」
ならばこの喪失感は何なのだろうか。
「とにかく今日は大人しくしておきなさい。それにその顔じゃ、みんなの前に出るのも難しいわね」
そう言って今度は濡れた手拭いを渡してくれる。
「泣きすぎて目がパンパンに腫れてるから、冷やしておきなさい」
柳宿にもらった手拭いを目に当てた。
(私は何を失ったの…?ねえ、応えてよ、朱雀…)
心の叫びは届かず、緋連はその答えを見つけられないまま、日は過ぎていった。