7.学園生活(続き)
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「ならしばらくはこの国に出入りしてんだな!?」
「うん、私はね。みんなはどうするの?」
「後10日もしたら王都に戻ることになるかなぁ。そうしたら一年は来られないよ」
「そっか、学生って大変だね?」
「まぁ、それも後一年で終わりだけどな」
卒業したら他の国も周ってダンジョンを中心に行商をするから、その内ここにもまた来るだろうという。
「後10日か!まだ森にする範囲は決まんねぇんだろ?俺ぁ一旦帰ってまたすぐ戻ってくるぜ!」
そうしたら一緒にダンジョンに潜ろうと進に抱き着くアラマキを殴るエース。
「ダンジョンには潜るつもりでいたからな、良いぞ。エースも一緒に行くか?」
「行く!!」
「俺も行くー!!」
サッチも手を上げ、ニューゲート達も行く事になった。
「体のサイズ戻す?」
「ここはでけぇ奴に合わせた物がなんもねぇからな。このままで構わねぇよ」
「小せぇ方が楽しめそうだしな!」
自分よりもでかい相手と戦える機会も少ないからと本人たちが小さいままでいる事を気に入っているようだったので、このまま行く事になった。
「ねぇねぇ」
「ん?どうしたの?」
ダンジョンに潜るならお弁当の他にもいろいろ必要だろうと茂が準備をしていると、メイナ達が小声で話しかけてきた。
「もしかして、ススムに結婚を申し込んでるエースさんって、あのエースさん?」
上半身裸でテンガロンハットを被っているあの人かと聞かれ、そうだよと頷く。
「進ちゃんって男女関係なく好かれるからねぇ」
ザワッとしたのは一部のみだ。
「本気か?ススムだぞっ」
風呂から出てきてもちゃんと服を着て歩かないし、一日の半分は寝てるし、狩りから帰ってきたら何故か血だらけになってる進だぞと、騎士と錬金術師が言っているのに笑いだす。
男女間でのみ恋愛をするものという考えはもちろんあるだろうが、人には肉体の性別の他に脳も男女が分かれていて性的趣向も多岐に亘るという臨時授業もしていたので、拒否感は少ないのだろう。
やはり教育は大切だなと一人納得している茂はおいておき、女子数名が進を囲んだ。その中にはティアナもいる。
「ススムは?エースさんと結婚するの?」
「わしはわしに勝ったやつと結婚するぞ」
「俺が勝つから安心しろ!結婚しよう!」
「なぁにが勝つだ!姐さんに勝てる訳ねぇだろうが!」
勝つのはサカズキさんだよ!とアラマキと睨み合っている。
「サカズキって誰?」
「進ちゃんに血が騒いだ魔族の人だよ」
「血騒いでんの?!」
「俺も騒いでるぞ!」
アラマキと睨み合っていたエースが気さくに笑って見せてきたのは、黒い眼球と赤い霞のように揺れる瞳孔。
「後は、うちにいんのはマルコだな。和に血が騒いでる」
「え、でも和って、」
「フーさんと結婚してるんだよね?」
「そうなんだよ。だからフーズ・フーが死ぬの待ってんだ」
殺したら和が自分の事を好きにならないと言ったから仕方がないと言われ、ちょっと引きながらも圧紘の事を思い出して妖精種ってこういう所があるのかと飲み込む面々。
聖国の者たちは怯えた空気も出していたが、この国を救い自分たちを呪いから解放してくれた相手というのもあるのか、そこまで本気で拒絶しているようではなかった。
中には、昨日見た過去の話が本当であると確信している者もいるようにさえ思う。
「妖精種と精霊種の”本気”って神様たちのそれとほとんど同じだったりするからね」
人間種だったら思い留まったり悩んだりする所を直進していくっていうかと笑い、和に食料を渡していた。
「中がどうなってるのか分からないから、最初はちょっと見てすぐ戻ってくるつもりでいるけど」
そう話していると、思い出したように進が口を開く。
「あ、そうだった。和、お前に紹介したい奴がいるんだった」
「ん?誰?」
「マイケルだ。剣士だからお前と遊んでみたいって言って、来たら紹介するって約束して出来てなかった」
「そうだったんだ。私自分で剣士って思ってないけど、それでもいいなら遊ぶ?ダンジョンに入りたい人の準備ができるまでとか」
「いいのか?」
「うん、一対一で良いならね」
ここって木剣ある?無いなら持ってくるよというと嬉しそうに返事をしたので、二人でクリストファーの所へ木剣を借りようと歩き出すと他の皆もついてくる。
「みんなも一緒に遊ぶ?マイケルも10日くらいしかいないんでしょ?」
ダンジョンに潜るよりも遊ぶ方がいい?と見上げて聞けばダンジョンにも潜りたいというので、なら今日は遊んで明日から潜ろうかと笑いかけた。
聖騎士たちの訓練で使う木剣を借り、訓練場も借りようかとなったのだが、人数が入りきらなかったので広場を使うこととなった。
「マイケルの武器見てもいい?」
刀じゃない剣だと目を輝かせて鞘ごと受け取り、抜いて素振りをする。
「切れ味もいいけど、硬さと重さが刀とは全然違うね。おまけに豊の付与があるから折れたりは考えなくていい、柔らかさと粘り気が無い両刃の直刀。これなら硬いものを斬っても伸びたりしないのかな」
鍔が横に長いから、鍔迫り合いはこうかと一人で呟きながら頷き、礼を言って太郎太刀を呼んだ。
「相手は大太刀が向いてるかなって思うなら、太郎とやっていい?」
他にも大太刀はいるけど別の人の方がいい?と聞くも、このままでと言って和と向かい合う。
和が宙に浮く紋に触れると太郎太刀と呼ばれた神はいなくなり、その手で木剣を構えた。
ミッシェルは、小さな少女に手加減なく打ち込んだ。進が自分と同じくらい強いと言っていたのもあるが、昨日見た魔物を斬り伏した姿が強烈すぎて、小手調べや手加減などという考えは微塵も浮かばなかった。
「重いっ」
「大太刀の中でも太郎は特別大きいからね」
人の姿の時に持っていたひと一人よりも大きかった刀を思い出し、自分も手加減をされていないのだと笑みが零れていく。
「魔法使ってもいいよ。私も生命霊気使ってるから」
「生命、ああ、魔力の事か」
であるのならばと、身体強化だけではく木剣にも魔力を通せば剣が燃え上がった。
「木剣じゃない方がよかったね」
和がそう笑い、ただの木剣で燃え上がっている棒を受ける。その一度で、ミッシェルは口角を上げてさらに嬉しそうに笑った。
「そうかっ、そこまでできるのか!」
和が持っている木剣には、焦げの一つもついていない。召喚した刀であるのならばまだしも、今さっき初めて手に取ったばかりのただの木剣でさえそれが出来るのかと打ち合う。
「強化、強化っ」
違う。火力を上げたいんじゃないと独り言を言っている内に燃え尽きてしまったので、新しい木剣が追加される。
「?マイケルはもう身体強化が出来てるんだし、そのままやればいいんじゃない?」
「そのまま?」
「うん、剣も自分の一部だよ」
自分の体を強化するのと同じようにしたらいいんじゃない?と首を傾げながら言う。
「って言っても、私は身体強化ができないからあってるか分からないんだけどね」
「できない、それでか」
「私の生命霊気は全部、みんなに渡すものだからね」
だから憑依召喚をした時に、本人の思う力よりも実力を出す事が出来るのだろうと笑う。
「マイケルは身体強化が得意みたいだし、きっとすぐに出来るようになるよ」
「マイケルは強化系だし大丈夫だろ」
進も同じように頷くが、何をどうすればいいのかは何も分からない。
それでも、こんなに心が踊るのかと木剣を振って和と向かい合う。
どうすれば火を出さずに強化だけ出来る。
三本目になる木剣を投げて新しい木剣を受け取る。和の木剣は、へこみ一つない形で残っていた。
「体の一部、体の一部」
身体強化は出来る。魔力を体に巡らせればいい。
しかし、体から出し他の物に流せば燃えてしまう。その理由は火属性だから。
では、火属性には和のような事が出来ないのか。そんな訳はない。
絶対にたどり着いてやると口角を上げて打ち込んだ。
和の剣技は素晴らしかった。とても柔らかく、ともすれば弱そうにも見えるのに隙が無く、まるで風のようだった。
剣が当たるその瞬間、音もなく弾かれる。絡めるように剣の側面を巧みに使うその剣技は、とても少女の物とは思えない。
思えなかろうと信じられなかろうと、現実に目の前にいるのだ。
目指すべき目標が、ここにいるのだ。
燃える。燃え上がる。
四本目の木剣から炎が上がった。
「あ」
炎の熱とは違う温度を感じた時、和が笑った。
「マイケルは器用だね。もうコツ掴んだんだ」
「これはっ、長くはもたんっ」
なんて難しい事を涼しい顔でやっているんだと吹き出す汗も拭うことなく打ち込み、魔力切れが近いことを悟ってそのまま乱れ打ちを繰り返す。
「そのまま強化しててね」
無邪気な子供のように、殺気など微塵も感じない笑顔で剣を弾かれ、胴を開けられる。
「大太刀って大きいから振り回せる人が少なくて、突きで使う人が多かったらしいよ」
腰を低く構え、なんの迷いもなく腹を突き刺してきた。
まるで、受けることができると確信していると言われているようで、嬉しかった。
「ぐはっ」
「一本、私たちの勝ちだね」
一対一は久しぶりだったよと言う和に、腹をおさえながら礼を言って立ち上がる。
「また手合わせをしてくれ」
「手合わせっていうか、こういう遊びだったらいいよ。今度は太郎じゃなくて他の誰かでやろうか」
マイケルならすぐに対応してきそうだしと言われ、やはり嬉しくて仕方なくなった。
「マイケルが一方的に、」
「マイケル、マナポーションです。飲めますか?」
「その前に回復じゃないかしら」
あの突きで腹部に穴が開いてないのは流石だよと仲間たちに介抱されている姿に笑っていると、周囲にいた魔族たちから称賛の声が贈られる。
「和ー!次は三対三やろうぜー!」
「今は人数もいんだから50対50やろうぜ!」
ダンジョンに潜るのも明日からなら100対100でも良いぞと喧騒のような賑やかさが増していく。
「そうする?マイケルも休んだらまた参加してね」
クリストファーに王都への道を壊さない場所を借り、妖精種、精霊種たちとどう分かれるかと楽しそうに話している少女から、目が反らせない。
「全員和と組んだら遊びにならねぇだろうが!」
「ならお前が相手側に回れ」
「嫌に決まってんだろ!」
フーズ・フーに言い返しているうるティに笑い、和が振り返った。
「進ー!一緒に遊ぼー!」
「いいぞ。まだ昼寝には早いからな」
「マジか!」
「満ー!結界張ってくれー!!」
「いいですよ。念のために二重にしておきますね」
「おい、カイドウは中に入れんなよ」
「うん、分かった」
「中、憑依か。憑依してる時ぁ、お前らどんな感覚なんだよい」
「あれは、なんと言ったらいいんだろうね?」
「お風呂に入ってる時みたいにとっても温かいですよ!」
「お風呂もあってると思うけど、もっと気持ちいいよね?」
「あれじゃねぇか?人なら胎と言った方が近いんじゃねぇか?」
「胎、ああ。そうかもな」
「人の子は母の胎から生まれるからなぁ」
「胎児はあのように母と鼓動を共有するのなか?」
「付喪神の身で人の子と同じ経験が出来るのはとても興味深いよ」
「あれってそういう事なのかな?昨日私も初めてやってみたけど、繋がってる感じが心地いいんだね?」
嫌な感覚じゃなくてよかったよと笑っている和に、絶叫が響く。
「和、今すぐ俺にお前さんの紋を付けてくれ」
「させるか!触んじゃねぇ!」
「あちきにもつけて!」
「近づいてんじゃねぇ!!」
和を抱き上げて皆を追い払っているフーズ・フーに笑い、付喪神の何人かが首を傾げた。
「でも、なぜ人間には紋を付けられないのだろうね?」
「人間だけじゃなかったよ。ミンク族も魚人族も駄目だったんだし」
「では人間種という事なのかな?」
主に姿形が近いという理由ではないようだし、何故だろうかと言う疑問に、和が笑う。
「まだ何になるか決めてないからじゃない?」
妖精種も精霊種も、いずれ妖精や精霊になれる魂を持っている。つまり、どのような存在になるか決まっているという事だ。
「もっと自由でいたいんだよ」
どうしようもなくなったら手を貸すから、好きに生きたらいい。
百獣海賊団が和と初めて会った時に言っていた言葉を思い出していると、巨大米を二つ食べ終えた進が腕を伸ばしてストレッチをしながら「遊ばないのか」と声をかけてきた。
「遊ぶ!みんなも参加ってことでいい?」
「アラマキもやるか?」
「遊ぶって、どうやってだ?」
「和に呼ばれたら分かるさ」
そう笑って光り輝く球体の中へと入った進を追って和も入り、いくつもの紋を浮かび上がらせた。
「百鬼夜行!」
皆が、美しい球体を見上げていた。誰もが手を止め、憧れのような眼差しで輝く円を見上げる。
「これでは話が進まないな」
誰一人手を動かしていないのを見て苦笑し、胸に触れる。
「主は、私をどう使う」
武器ではない。戦う力も、他の付喪神に比べればとても低いだろう。
しかし、絶対に余すことなく使い尽くしてくれると確信している。
「主、私を呼んでくれ」
この切望で染められた声を聞き逃しなどしないという、信頼が溢れてくる。
「セレスタン・クロード・クラウサン!」
貴女だ。貴女がいい。貴女が、”最期”の主だ。
「みんな時間作って!」
一人の少女の指示で、何百何千という者たちがいっせいに動き出した。
「~~、~~~~
詠唱と共に魔法陣が現れ、進がふら付き天心がフォローに入る。
「また強い仲間を作ったなっ」
「これっ、頭が爆発しそうだよっ」
互いに笑っていた。
「カイドウ!」
カイドウが口を開き、炎を吐くその時、逃げ道がなくなった。
「
そしてもう一つ。
「
900年前、魔法を極めたとされた聖国の魔法士が編み出した大魔法。
時間を止められ、炎の壁で閉じこめられ、竜の炎で焼かれているそこへ、剣が振り下ろされた。
「ナイス、キング」
キングの剣が進に届くという所で、太い木が生えてきて刃を止められた。
「させるかよ」
姐さんは倒させねぇと、天心とアラマキが共に立ちはだかる。
「、アラマキはこっち側でいいのか?」
「当たり前だろ?俺が姐さんの敵になる訳がねぇ」
らははと笑いながら根を伸ばしているアラマキに、和が笑った。
「初めて勝てると思ったのにっ」
これだから楽しくてやめられないと、また新しい作戦を叫んだ。
「ぐはぁーっ、進どんだけ強ぇんだー!!」
「あれは危なかったなぁ」
「でもあの魔法何回も使えないよ」
動けず倒れたまましゃべる和をフーズ・フーが抱き上げてその場に座った。
「お前魔法使えんのか」
「ああ、そのようだ」
だがあんな大規模な魔法は一人では使えないとセレスタンが笑う。
「本来なら一生に一度、命を懸けて使う魔法だというのに、主はどこまでも豪胆なようだ」
「なんでんな切り札みてぇなのを今使ってんだお前ぇは!」
「危ねぇだだろうが!」
「んー」
眠そうな声で返事をしてそのまま動かなくなったので、起きたら説教だからな!と何人もが騒いでいた。
「らははは~!さすが姐さんと対になるみのり屋の黒服だぜ!!」
ここまでとは全く想像していなかったと、アラマキが大きな声で笑いながら小さな和を見ていた。
「しかし、主の力で
「まぁ、分析者だしな。一応」
「お前ぇの頭の良さがここに来て立証されるとぁな」
「ウォロロロロ~!」
ついさっきまで殺し合っていた魔族たちが、笑い合っている。
その中心には、二人の少女がいた。
夕方になり、風呂に入ってスッキリしたらしい和が歩いているのを見つけて声をかけてみた。
「少し、話をする時間をいただけませんか」
「ん?いいよ。どうしたの?」
見上げる和に、どう切り出せばいいのか困っていると付いてきていたセレスタンが助け舟を出す。
「
「あのゲーム面白かったよね。一緒に遊ぶ?」
「は、はい!」
神官たちが用意してくれたゲームを挟み、二人で向かい合っているとシリウス達が来てまた後ろからボードを覗き込む。
「初めて知ったにしては、飲み込みが早いな」
「ゲームが好きだからね。ガランは初めてだけど、いつもみんなに相手してもらってるんだよ」
ルールは違えど、こういったゲームは基本的に駒を使う。そのためおのずとやり方は似てくるものだと言う。
「この駒がうちのみんななら、私はこうやって戦うって考えれば動かしやすいよ」
「・・・あの」
「ん?」
「以前、ススム殿と話したことが、あるのですが」
国王として立つ者の考え方。それを和が持っているという。この小さな少女がスタンピードに目を輝かせ、百人以上の神たちと、何百、何千といる魔族たちと笑い合う少女は、どんな考え方を持っているのだろうか。
「和殿は、善と悪について、どのようにお考えなのでしょうか」
「善と悪?」
この話になった経緯も知らない相手に直球で聞き過ぎたと慌てたが、和は気にした様子もなく考え始める。
「善かぁ、私良いことして過ごそうとか考えてなかったから、ごめん、善ってよく分かんないや」
「あ、はい」
「でも悪は何か分かるよ」
まるで無邪気な子供のように笑って口を開いた。
「味方を失望させることだよ」
「ぇ」
即答した和に顔を向けると、これだけでは分からなかったかと説明の言葉を探し始める。
「えーっとね。悪い事してやろうとか、そういう悪意って分かりやすいし気づきやすいでしょ?」
「、はい」
「でも窮地に陥るっていうか、そういうのって別に相手に悪意を向けられてる時だけじゃないと思うんだよね。危なくなっても誰かに助けてもらえればどうとでも出来るし」
だからと、頬杖をついて穏やかに笑う。
「自分の味方になってくれてる人すら失望させるのは、悪意のない悪だよ」
これは絶対にやらないと決めていると言われ、バクンと自分の鼓動が聞こえて来た。
「ぁ、・・・すごく、納得が、できます」
「良かった。善は答えられなくてごめんね」
「ぃぇ」
それ以上の会話はなく、クリストファーが負けましたとゲームの終了を告げて終わった。
「やっぱり前は気を使ってくれてたんだね。今の一局?一戦?全然違ったし、また時間が出来たら声かけてよ」
「はい、必ず」
立ち上がった和に、後ろからマルコが抱き着こうとしてフーズ・フーが獣人型の姿で吹き飛ばす。
「はぁ~っ、最高だ。お前はマジで、結婚しよう」
「させる訳ねぇだろ!殺すぞ!!」
「ピーピュルルル」
「死ねー!!」
「どういう状況なの?」
「ゲームが終わるまで待つだけの理性はあったんだがなぁ」
サッチが笑いながらやって来て焼き菓子を一つ手渡して来た。
「和~!こっちで一緒に食べるでありんす~!」
「うーん!サッチありがとう!」
「どういたしまして」
そう微笑んで見送り、百獣海賊団に囲まれながらおやつを食べている和を見つめているクリストファーにも同じお菓子を手渡す。
「みのり屋はみんな眩しいけど、お前には支配者が格別か?」
怖い魔族が近くにいるから気を付けろよと苦笑して、行ってしまった。
「じゃぁ行ってくるねー!」
「気を付けてねぇ」
次の日、ダンジョンの様子を見て来ると潜っていく和たちに手を振って見送り、セレスタン達が話し合って決めた手順で城下町の復興を手伝う。
「王国と繋がる道は、今後もお城と教会を併設しておくんだったらこの城門?から始めればいいかな?」
「その方が統一感があって良いんじゃないかしら」
「みんなー、アルバイトしない?これと同じサイズでブロック作ってくれたら買い取るよ」
「やるー!」
「まさかSランクの素材とお金まで手に入るなんて!」
「幸先良すぎだぜ!」
卒業したばかりの錬金術師たちを中心に大張り切りでブロックを作っている傍ら、現津が地面を整えていく。その作業がある程度進むまで、茂は別の作業をしていた。
そうして一日中皆で復興作業をしていると、ダンジョンに入っていた和が戻って来たのでみんなそろっての夕食になった。
「ダンジョンの中ってすごいね!みんなで入っても全然狭くないし、いっぱい強い魔物が出てきたよ!」
「ダンジョンが蓄えてる魔力量が減ればもう少し魔物の量も落ち着くと思うわよ」
「あ、最下層のどこかにダンジョンコア(核)ていうダンジョンの心臓があると思うから、それは壊したり傷つけたりしない方がいいよ」
「壊したらどうなんだ?」
「ダンジョンがなくなります」
「傷ついても、その傷を治すのに魔力を使うから魔物もほとんど作れないし、中ももっと小規模になると思うよ」
「見つけても絶対ぇ触んなよ!」
「おー!!」
「この魔力量なら、二回くらいダンジョンボスを倒したら100年はスタンピードは起こらないでしょうね」
「もしかして、それ以上入ったら魔物も減っちゃう?」
「そうね、三回目からは一階層でもう違いが分かるかしら。でも強さは変わらないわよ」
「そっかー、なら二回ボスを倒したら向こうに戻ろうかな」
「30年か50年に一回来たら今みたいに手ごたえがあって楽しいかもしれないわね」
「私はしばらく主の傍を離れてこの国にいるのだ。魔素が濃くなったら知らせを入れよう」
「ありがとう!セレスの部屋はもう用意してあるから、好きに使ってね」
「ああ」
和たちも今後の予定が決まったので、満は至たちの手を借りながら大量の保存食を作り始める。聖国へは寄付、白ひげ海賊団、百獣海賊団へはお礼として渡す分だ。
「ニューゲート達はどのくらいいられそうだ?」
「俺らも和と二回攻略したら戻る。こんだけ面白ぇのはそうそうねぇからな!」
「そうか。なら約束してた酒とか、用意できた食料なんかと一緒にサッチに渡していいか?」
自分の部屋を通せばいくらでも追加できるから好きなだけ持って行ってくれと言われ、相変わらず至れり尽くせりだなと笑った。
「俺は姐さん達が王国に戻るタイミングで向こうに戻るぜ。有給取って来たからな!こっちにいても何も心配いらねぇよ!」
ならば十日間は深く潜らず、和、百獣海賊団、白ひげ海賊団だけでなく進とアラマキも参加して三階層までの捜索となったのを聞き、これ絶対安全だろとシリウス達も行くことになった。
「茂、倒した魔物って全部いる?何かに使う?」
「うん、くれるなら嬉しい。造れるものも増えるし。あ、カイドウさんとニューゲートさんの宝玉に収納バッグの機能つけますか?」
その質問に双方がとても嬉しそうにつけると返事をする。
「なら一度お預かりしますね。あ、もしかしたら最下層にいるのってあの死霊系魔物かもしれないから、そうだったら倒した後に残った体の一部とか持ってきてもらってもいい?」
あれも希少な素材になると言われ、分かったと頷く和に「どうやって倒すんだ?」とクイーンが首を傾げる。
「カイドウさんやキングの馬鹿の火で焼いちまったら素材もなくなっちますぞぉ~~?」
金剛も茂たちと一緒に王国に戻るんだろ?と他の天の民を見た。
「こいつらはまだガキだしなぁ~。連れてっても戦力外どころか足でまといだろ。光の民の浄化の輪で試してみんのかぁ~?」
戦力外と初めて言われてちょっと新鮮な気持ちになっているフェアグリンを他所に、和はセレスタンがいれば大丈夫じゃないかなと言う。
「浄化の力が効かなかったら、聖者の行進っていう、戦ってる味方全員にアンデットと戦える力を一時的に付与する魔法があったから、私たちだけでもいけるよ」
「ちなみに、今主が言った魔法はこの国が聖国として建国する切っ掛けとなる人間種とアンデッドとの土地を巡った争いの中で作られ、当時100人以上の魔法士が命を懸けて発動した魔法だ」
「だから!こんな所で命を懸けんな!」
「私の生命霊気だったらいけると思うんだよね」
「お前ぇは本当に無茶ばっかしやがって!」
「
「だったとしてもだよい!」
マルコからドクターストップが入り、フーズ・フーとキングの監視の下健康診断が行われた。
その後ろでは、セレスタンから聖者の行進という魔法の魔法陣を現津と梅智賀が見せてもらい、効率のいい魔法式を計算していく。それを見てテンションを上げている
「ここの呪文いらねぇだろ。なんでこんなとこに入れてんだ」
「100人以上の生命霊気を集結して数百人へ光属性として付与をする為に必要と思ったのでしょう。わざわざ効率の悪いこの呪文を入れた理由は分かりませんが」
「とても完成度が高いと思いますが、」
「一人で発動するってんならいらねぇ。
「和は優に魔法の基礎は教わっていますが、召喚術しか使えませんからね。疑問に思わなくても仕方がありませんよ」
「なるほど、だから私がいたとはいえあんなにすんなりと魔法が使えていたのか」
「基礎を教わっただけでですか!?」
「冒険好きのただのガキみてぇな奴だが、あれでもみのり屋創設の一人だからな」
「冒険と仲間以外に興味がないのが、玉に
そんな話をしながら二人で計算をし、梅智賀が試しに発動させてみてこれなら大丈夫だろうと言って完成したのは、セレスタンも驚くほどの魔法陣だった。
「これは素晴らしい!このまま記録をしてもよいだろうか!」
「構いませんよ。むしろ書き写しておいてください。これで和がいつでも使えるようになるでしょうし」
「こんなっ、最初の魔法陣でも完成度が高いと思っていたのに!」
とはいえこの魔法を一人で発動させてるってなんなんだと騒いでいるハイジを見ながら、一度ダンジョン攻略をしたら数日は休みを挟むことを約束させられる和だった。
