7.学園生活(続き)
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「あっちは金剛に任せておけ!」
「おいおいっ、こいつ再生するぞ!!」
切った足の一本が生えてきたキマイラを見て、百獣海賊団と白ひげ海賊団たちがざわめく。
「ギャァァァァー!!!」
「不死じゃねぇならっ、再生力にも限界があるよなぁ!?」
マルコがライオンの顔にある目を潰し、隣の山羊の顔へと蹴りを入れてよろめかせる。すると、迫ってきていた尻尾の蛇が姿を消した。
「ペッ、再生力の強ぇ奴を殺す練習にゃ丁度いいぜ」
大きな牙で食いちぎった蛇を吐き出すフーズ・フーに、血管を浮き上がらせながら口角を上げて見せる。
「イメージトレーニングばっかやってても身にならねぇよい」
「これから現実にすんだよ」
「ああ?」
「こんな時にケンカ始めんな!」
「おらいけー!狼の頭も潰せー!!」
「再生しきる前に仕留めろー!!」
「ウォロロロロロ!!ドラゴンっつーからどんなもんかと思ったが!ただのデケェトカゲじゃねぇか!!」
そう笑っているカイドウの金棒が届くという時、ドラゴンが短い前足を地面につき、身を低くして攻撃をかわした。
「避けろ!!」
ニューゲートが薙刀で首を狙うも、それよりも早くドラゴンの口が開く。
「ギャオォォォ!!」
「馬鹿かお前ぇは!自分も火吐けんだからそんくれぇの予想はつくだろうが!!」
「以外にちゃんとドラゴンじゃねぇか!」
「あたり前ぇだアホンダラ!!」
「おいニューゲート!こいつ倒すまで能力使うんじゃねぇぞ!」
こいつは俺がもらうと、獣人型になって金棒を構えドラゴンへ向かっていくカイドウに大きくため息を吐き、白ひげ海賊団に指示を出した。
「伝令です!ダンジョンから魔物が溢れて来なくなりました!!」
「ということは!」
「今いる分で終わりだー!!」
「行けー!!いっきに畳みかけろー!!」
人間の声なのか、妖精種の声なのか、精霊種の声なのか。
「ウォオオオ!壊風!!」
「カイドウ!突っ走りすぎだ!!」
何かがおかしいと、ニューゲートだけが気づいていた。
今までも共闘はしたことはある。ワノ国で収穫祭をするようになってからは、今のように怪物を共に倒したこともあった。
しかし、そのどれとも今は違うと直感が働く。
「、和?」
カイドウの胸で輝いている紋が、それがそこにあるのが当たり前のように体になじんできている。
まるで、進の背中にある痣のように。
「和!能力を解け!!」
ニューゲートの怒声がどの魔物の雄たけびよりも響く。
「おい!自我は残ってんだろうな!!聞こえてんのか和!!」
そこまで言って、全員が気づく。
和は、耳が聞こえない。
「和!!能力を解け!!」
「返事をしろ和ー!!」
「和!!」
どこにいる。気配はある。そこにいるのは分かる。なのに姿は見えない。
マルコは、マルコ一人は、今と同じ状況を知っていた。
母代樹が死んだ後、あの時と酷似している気配。
「っ和!!」
憑依をされている刀剣たちでさえどうすれば和の能力が解けるのか分からず困惑する中、キマイラの胴をキングの刀が真っ二つにした。
「終わったぞ!戦闘は終わったんだ和!!」
「カイドウ!今回はもらうぞ!!」
よろめいていたドラゴンへ向かって進が飛び、その首へ手刀を振り下ろすと、ドラゴンの首がズルリと落ちていく。
「和、全部終わった。戻ってこい」
倒れた巨体の上に和の紋が浮かび、反転していた模様が一回転して見慣れた紋になり、和が現れた。膝から崩れてその場所に座り込む体を、キングが支えて無事である事を確認をする。
「大丈夫か!」
「うん、すごい疲れたけど」
「和ー!!」
「よがっだー!!」
「無茶しすぎだ!」
駆け寄ってきた皆に揉みくちゃにされているとフーズ・フーが奪い返すように抱きしめて来た。
「気安く触ってんじゃねぇっ」
「一緒に飲まれてた奴が何言ってんだ」
「ああ~、すげぇな。俺も軽くトんでだぜ」
「和、大丈夫か?こっちに来い。回復してやる」
「白山と望がいんだから十分だっ」
「ケンカしてねぇで早く和を休ませてやれよ」
「主様、ご無事ですか?」
「うん、大丈夫だよ。ちょっと眠いけど」
「ウタ」
「ウタも、来てくれてありがとう」
膝に乗ってきたウタに礼を言い、欠伸をしながら眼を擦っていると進が来て無事を確認する。
「ちゃんと戻ってきたか」
「うん。え、進すごい血まみれ」
「後で風呂に入って着替えないとな」
「私もお風呂入りたい」
「寝てからにしろ」
「俺が入れてやるから、寝てていいぞ」
「一人で入ってろっ」
和を抱えたままマルコを追い払おうとしているフーズ・フーにため息を吐く。
「お前も嫌なら言え、殴って止めるくらいしろ」
振り回されそうになっている和にキングが言うと、少し考えてからフーズ・フーの腕をペチリと叩く。
「今は、ヤダ」
「なんだそのなまっちょろい拒絶は!」
「嫌なら能力使って殴り飛ばせ!!」
「ただ可愛いだけじゃねぇか!」
「煽ってんのか!」
「殴れ!殺す気で殴り飛ばせ!!」
嫌がれと言われたから叩くまでしたのに、さらに怒ってくる皆を見上げる。
「この世は理不尽と不条理で溢れてる」
「いきなり悟るなww」
笑いながら騒いでいると、眠気のピークが来たようでフーズ・フーに体を預けて寝息を立て始めた。
「はぁー、マジで焦ったー」
カイドウの胸には、もう紋はなく痣のようにもなっていない。
「よく和のかけたリミットが戦闘の終了だって気づいたな」
「時間じゃねぇなら、分かりやすい区切りはそこしかねぇだろ」
キングが大きくため息を吐き、刀を鞘に納めて辺りを見回す。
「魔物だったか?の気配はねぇな」
「ああ、なんかデカかった骨も金剛が祈ったら一瞬でいなくなったからな。金剛はアンデッド特攻だな」
「天の民にんな事ができたとはな」
「天の民っていうか、多分金剛だからだな。それこそこういうのは光の民の方が向いてそうだけどな?」
ニューゲートとも話しながら歩きだすと、城下町中の人間たちが歓声を上げながら手を振ってきた。
「和は無事?」
「ああ、疲れたのか眠ってる」
やってきた優に答えると、腕の中で眠っている姿に顔を綻ばせる。
「本当に無茶をしたわね。思いついた作戦をやってみたかったっていう好奇心がほとんどだったんでしょうけど」
「まったく、無茶の限度が高すぎますよ」
望もやってきて、ため息を吐きながら和の額に手を当てて熱がないかを確認して苦笑した。
「ふふ、しかたがないわよ。宿り木ですもの」
「あ?」
どういう意味だと聞き返せば、聞いていないのかと望も一緒に目を瞬かせる。
「宿り木には”困難に打ち勝つ”っていう意味があるの。今日みたいなのは熱が入ってもおかしくない状況だったでしょ?」
「それが高じて冒険好きになっているんだと思いますよ」
自分から困難に飛び込んでいくのはどうかと思うがと、苦笑しながらため息を吐く。
「ぐはぁ~っ、思い当たる節しかねぇ~~っ」
「めちゃくちゃな冒険しまくってるもんな、和ちゃん」
「それでも今日のは無茶しすぎだろ。危うくカイドウと同化しかけてたぞ」
「ああ、それは単にカイドウと和の相性が良すぎただけじゃないかしら」
「そうですね。支配者と献身者ですから」
「献身者?」
「はい」
皆が、カイドウを見て各々驚きの声を上げた。
「ありえねぇだろ!!」
「献身者って豊のポジションじゃねぇか!!」
「そうよ」
「無法者だぞ!!」
「性格じゃねぇだろそれ」
騒いでいる百獣海賊団と白ひげ海賊団の面々に笑っていると、和が眼を擦りながら「なに~?」ともぞりと動く。
「和!カイドウが献身者だって知ってたか!?」
「うん?そうだね」
「知ってたー!!」
「カイドウとは友達になって長いみたいだし、お互いに信頼関係を築いてきたからあれだけ同化が早かったのね」
「あー、うん。だろうね」
「おい、俺はなんで同化してねぇんだ」
「え、だってフーは支配者だから」
「和を受け入れても同化はちょっと無理じゃないかしら」
「できても、相当時間が必要かもしれませんね」
「そういうもんなのか」
「おい、今日のアレ二度とやるなよ」
「んー、その時が来なければ」
「やるな!」
「やっても一時間ってとこか。それ以上はやめとけ」
「んー」
眠そうに返事をする和に笑い、優が眉を垂らす。
「大丈夫よ。宿り木には”忍耐”っていう意味もあるから。そうそう同化しきったりしないわ」
「うん、たぶん」
「お前ロクな意味ねぇじゃねぇか」
もっとお前の得になる意味はないのかと聞かれ、「あるよ」と欠伸をしながら眼を擦り、また寝るために体を預ける。
「
大切にしていたし、侍たちも屋敷の庭で見つけた時は縁起がいいと喜んでいたのだがと首を傾げる。
「ワノ国はみのり屋の影響でそういうのが根付いてきてるけど、花自体に意味があるっていうのは少ないかもしれないわね」
どこかの国では花を左耳に挿すことに意味があったりしたはずだがとブラックマリアがいうと、納得したように優が笑顔で頷く。
「宿り木は永遠の象徴よ。他にも幸福をもたらす木、魔除けや幸運を呼ぶ木、長寿の象徴、愛の象徴なんても言われているから、合わせて永遠の愛の象徴って言われている場所もあるわ」
そして、もう一つ。
「”キスをしてください”」
「うちで結婚をする時にキスをするのも、そこからきているんですよ」
「転弧たちのいた世界では宿り木の下でキスをすると、その愛は永遠に続くっていう伝説があったの。ロマンチックよね」
その直後、サーベルタイガーと不死鳥の争いが始まった。
「和を巻き込むなクソどもが!!」
不死鳥を追い払っているサーベルタイガーにプテラノドンが足を延ばし、和をカイドウへ渡すと二人の攻撃が入らないように翼を広げて威嚇する。
国を救ってくれた魔族たちがいきなり殺し合いを始めたと怯えた者も多かったが、みのり屋はいつものように笑っていた。
「大丈夫よ、ただのじゃれ合いですもの」
「そ、そうなのですか?」
「血が騒いだ魔族同士だからな。互に本気だが、まぁ大丈夫だ」
「それは大丈夫なのか?」
困惑している者たちを風呂に入ってくるようにうながしていく。
「みんなお疲れさま、戦ってくれてありがとうね」
「お風呂の準備はできていますよ」
「今日の夜は勝利の宴ということで、料理も豪華にしますね」
「和が起きたら全員小さくさせよう。そうすれば満の負担も減るだろ」
「では人間種も全員お風呂に入れてしまいましょう」
スラム街の者たちも全員風呂に入れとテントの中を示すが、どうしたらよいのかと皆動こうとしない。
そうしていると、クリストファーが前へ出てスラム街の者たちと向かい合う。
「今日初めて知った事も多く、皆もまだ飲み込めていないだろう」
それは自分も同じであると、拳をきつく握りしめた。
「王家も、教会も、過ちを犯していた。私たちは、それを過ちとさえ知らないままずっと罪を犯していた。しかし、今日ようやく自分の過ちに気づくことが出来たっ」
気づいたからには、もう同じことを繰り返すなどできはしない。
「間違いは正さなければならない。しかしっ、私一人ではっ、出来る事があまりにも少ない!」
一人では王になれない。一人では、国はできない。
「今回生き延びることが出来たのはただの奇跡だ。その奇跡のおかげで、私たちは生き延び、国も、土地も、知っている状態を保っている」
変わるチャンスをもらえたんだと、一国の王太子が頭を下げた。それはこの800年と、今まで人間族以外にしてきた事への謝罪。
神官、聖騎士たちが抗議をしようとした時、至の歌があたりに響いた。
「壊れていたのは世界でしょうか 間違っていたのは世界でしょうか」
スタンピードの時は気づく余裕もなかった光の粒が、一面に広がり全員の体へしみ込んでいく。
「あなたには朝がやってこない だからあなたの「おはよう」はもう聞けない」
いったいどれだけの人が、人間族の手で殺されてきたのだろう。
「時が戻ればなんて思いながら私はあなたをこんな檻に閉じ込めてる 声が枯れるまで歌い続ければ きっと気が付いてくれるよね」
涙が、溢れてきた。
「また いつか 光の降る街を 手をつないで歩きましょう」
幻術で見た。この国はその昔、多種多様な種族が、みんなで共存していたのだ。
悔しくて悲しくて、涙を拭うために下を向く。
「空の青さを忘れるなんて まったく本当に あなたは馬鹿ね」
顔を上げたそこにいるのは、門の上でまぶしい程の笑顔で笑っている至。
「壊れていたのは世界ではなくて 間違っていたのはあなただけれど 嘘で固められた世界でも ごめんねあなたに 生きてて欲しいの」
胸に流れ込んで来るのは、至の感情か。それとも、誰に拒絶されても自分という存在を神には肯定してほしいという、願望か。
「またいつか 光を歌いながら二人手をつないで歩きましょう 明けない夜はないと教えてくれたこと 私の手を引いてくれたこと」
あなたを忘れないよ
なぜ今、オークの群れを皆で倒した時の、その後に見た光景が脳裏に蘇る。
緑が生い茂る大自然の中央に聳え立つ一本の、美しい巨木。
その巨木へ、みんなが笑いながら駆け寄っていく。自分も、その中の一人だった。
胸の、腹の、頭の奥で、ちらつく懐かしさと幼い声が聞こえる。
「私も あなたが好きよ」
決壊した涙腺から流れていく涙を止める方法を、誰も知らない。
雄たけびのような声を上げて人間種全員が泣き崩れ、まるで赤ん坊のようにその場で
「沢山頑張ったのね。今はゆっくり休みなさい」
温かい声が聞こえる。ずっと、生まれてからずっと、聞いていた声。
「ははうえ」
「ええ、ここにいるわ」
「考えるのは、十分に休んでからにしようね」
賑やかな声で目が覚めた。寝かされていたのは、みのり屋のテントで借りた事のある部屋のベッドだった。
起き上がり、用意されていた服を着て部屋を出る。珍しく誰もいなかった。いつもならひなたかつむぎのどちらかがすぐに見つかるのに、ロビーへ出ても誰もいない。けれど、外からあの賑やかな声が聞こえてきていた。
「お、起きてきたか」
「勝手に始めてるぜ!」
肌の色が違う。角が生えている。手には水かき、肩には鰓のある者までいる。大きな口からは牙が生えている者たちが、酒を片手に料理を食べてさわいでいた。
「お兄様!」
「ティアナ」
「お加減はいかがですか?」
「ああ、なんだかとても、体が軽いよ。頭も、スッキリしている」
「それはよかったです。私も先ほど起きて、なんだかとても、懐かしい夢を見たような気分になりました」
「クリストファー!」
二人で話していると、和が手を振りながらやって来た。
「和殿、今回は、国を救っていただき、ありがとうございました」
「いいよ。私の友達の国が飢饉になりそうになった時も茂たちが助けてくれたし」
スタンピードが落ち着いてよかったねと、顔半分が見えないというのに屈託なく笑っているのが良く分かる。
「あのね、優たちがダンジョンは中に入って魔物を倒したりしないとスタンピードが起こる確率が高くなるって言ってたんだけど」
「はい、そう聞いています。特級ダンジョンともなると、潜る冒険者も限られているので、私もこれから対策を、」
「なら潜る人が決まるまででいいから、私が入ってもいい?」
「え、」
「今回カイドウがドラゴンを倒せなかったから、もう一回戦いたいんだって。私も中がどうなってるのか気になるから入ってみたいし」
ああいうのって国の持ち物だから王太子のクリストファーに聞きに来たと見上げてくる。
「王様は望が診てくれたから健康にはなったんだけど、それでも元気になるには時間がかかるんだって。あと教皇様?も引退するって言っててさ、だからクリストファーに聞きに来た」
「引退、教皇が?」
「はい、先ほどご本人からお言葉をいただきました」
「・・・そうか」
あの人にも心境の変化があったのかと、頷きを一つ返す。
「その申し出は、とてもありがたいものです。私たちにはまだ特級ダンジョンに入るだけの力も、冒険者を呼ぶだけの伝手も、ありませんので」
「そっか、じゃぁ少しの間だけよろしくね」
「はい」
まだ成人していない自分よりも小さな和を見て、静かに口を開いた。
「和殿は、自分よりも大きい者が、恐ろしくはありませんか」
「ん?」
自分と違う種族と一緒にいて恐怖は無いのかと聞かれ、また無邪気に笑う。
「怖くないよ。みんな強くて色んなこと知ってて、能力もあったりしてすごいなって思うことばっかりだよ」
「そうなんですね」
「うん、クリストファーもすごいよ」
「私が、いいえ。私には、なにも」
魔物を倒すだけの力も魔法も人並みでしかないと言って自傷気味に笑うと、「そうなんだ?」と首を傾げられた。
「自分が間違ってたって気づいたらちゃんと謝って、謝りたくないって人たちのことも見捨てないで一緒に生きようとするのはすごい事だと思うけど」
「ただ、・・・見捨てた後、その罪悪感に、耐えられないだけです・・・」
そうやって、獣人やエルフ、ドワーフの奴隷をいじめる事も開放することもできず、ずるずると中途半端な事をしてきた。
「罪悪感を持つって大切な事だと思うけどね?」
顔を上げると、和と目が合った。布面で目は見えない。ただ、そう思っただけだ。
「自分の心を手放さないってすごく大変で大事なことだと思うよ」
「、」
「和」
「ん?」
やって来たマルコに振り返ると、両手で手を握られた。
「和、一生をお前に誓う。いくらでもキスして証明してやる。だから結婚しよう」
「死ねー!!」
フーズ・フーがマルコに蹴りを入れるが、それをかわして和を抱き寄せようとするも、いつからいたのかキングがその手を握り潰して和を背中に隠す。
「丸焼きにされてぇのか」
「その言葉そっくりそのまま返してやるよい」
「和、危ねぇからカイドウさんのとこに行ってろ」
「え、なんか今日本気じゃない?」
「和が寝てる間に優が宿り木の意味を教えてくれたんだ」
「キスしなくても一生なんざとっくに誓ってるだろ、あいつ」
「”血が騒いでる”んだものね」
ドレークが三人から和を遠ざけ、うるティに抱きしめられながらいつものメンバーに囲まれる。
「はぁー、いつもよりちょっと小さい。最高~」
「もっと小さくできますよ」
「マジで!?」
「八歳で!八歳の姿にして欲しいでありんす!!」
「なんでわざわざ小さくすんだ!20歳でいいだろ!」
「小さい頃も可愛かっただろうが!」
フーズ・フーと言い争いを始めたので、現津が幻術を和にかける。
「間を取って四歳の姿にしておきます」
「どこの間を取ってんだ!!」
「きゃー!!ちっちゃーい!!」
「主様ー!!」
「毛利が釣れてしまった」
「んなガキの姿にしたらヤる事もできねぇだろうが!もどせ!!」
「死ねー!!」
ページワンとドレークがフーズ・フーに飛び掛かり、それに便乗するマルコ。
「こんなに小さくて可愛い和にナニする気だてめぇー!!」
「小さかろうが和だろ!」
「四歳だぞ!!」
「お前四歳の時そんなに小さかったのか」
うるティに抱きしめられている和を見てササキが笑いながら指で頬に触れてみると、プニッと肉が指に乗ったのを見て固まる。
「柔っ、は?」
もう一度ぷにぷにと頬を突くと、他の者も自分もやりたいと囲み始める。
「四歳、四歳?」
そして、気づく。この一年後、人間に捕まると。
「こんな骨があるかも分からんガキを・・・」
「人間、人間殺す?」
「いきなり物騒」
この国の人たちは関係ないよと言って見上げてくる和を泣きながら抱きしめた。
百獣海賊団が人間への殺意を思い出しているそこへ、大きな男が登場する。
「姐さん!話は聞いたぜ!俺にも声かけてくれりゃよかったじゃねぇか!!」
「アラマキ」
「お前、全部終わってから来てんじゃねぇよ」
「進から離れろ!!」
「お前にも仕事とかあるだろ」
「俺と姐さんの仲じゃねぇか!いくらでも抜け出してきてやるさ!!」
「聞けおらー!!」
エースが殴り掛かるも、後ろから進に抱き着いたままかわして足元に蔦を生やしてもつれさせる。
「そう言ってくれるのは嬉しいけどな。あ、なら時間のある時に一つ頼まれてくれないか。わしの部屋にある
「姐さんの造った酒が飲めんのか!んなもんなくてもいくらでも手は貸すが、そいつぁ張り切っちまうな!!」
笑っているアラマキに、いい加減離れろと押してきたエースともみ合う。
「”姐さん”?」
「アラマキさんって私たちの事全員”姐さん”って呼んでくれるんだよね」
「え、進のことまで?」
茂が笑っている後ろでは、進がアラマキを見上げて説明をしていた。
「明るくなったら見えると思うが、ここを中心に結構広範囲で戦場にしちゃってな。だいぶ荒廃してると思うんだが、そこに森を作って欲しいんだ」
「おお!そんくれぇお安い御用だ!!」
「森作るのが!?」
「アラマキは森のロギアだからな。桃之丞たちに頼むにしても広すぎて大変だろうと思ってたから助かる」
「アラマキ、久しぶり」
「ん~?もしかして和の姐さんか?ずい分縮んだな?」
「うん、私もどうしてこうなったか分からないんだけどね」
しゃがんで和と視線を合わせ、両脇に手を入れて抱き上げてみる。本当にただの子供のようだった。
「マジか!んな事までできんのかよ!」
爆笑しながら高い高いをして腕に座らせる。
「和の姐さんは宿り木だったな?姐さんのリンゴは生やすとして、宿り木も植えとくか!」
「んー、宿り木って気が付いたらあるって感じだし、それだったらどんぐりとクルミがいいかな」
「クルミか!姐さんの好物だな!」
ならリンゴとクルミ、ドングリの木でいいかと小さい和をかまっていると、フーズ・フーとマルコが全力で和を取り返しに来て三人でケンカを始めた。
「ケンカする必要なくない?」
「もうほっときなさい」
ブラックマリアにそう言われ、四歳の姿から戻してもらえなかったのでそのままみんなのおもちゃにされていた。
