7.学園生活
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それから十日間は戻ってきた日常を楽しんだ。
ディーノがあの塗り薬を使った結果と、母親から感謝の手紙(ディーノ代筆)を渡してきたので、受け取ってお礼を言う。
嬉しそうに笑いながら読んでいる茂を見て赤くなり、こっちが礼を言わなければならないと呟いた。
「ディーノくんのお母さんみたいな経験じゃなくても、跡が残って悲しんでる人はやっぱりいるよねぇ」
そういう人を助けられるのだから錬金術師になれてよかったと、いつの間にか茂よりも高くなった身長により見上げられ、顔の赤みがいっきに全身へと広がった。
現津の視線が冷たくなるのと、ウィリアムの顔が青くなるのは同時だった。
「茂さん、そのレポートをもとに薬の改良をお考えですか?お手伝いいたします」
「いいの?ありがとう」
立ち上がった茂の手をしっかりと握って二、三年生の教室へと入っていく。
「なんて無謀な相手に落ちたんだ」
「うっせぇ!」
「こわ〜っ」
一年生同士で盛り上がるが、ナタリーとクアンドロは両手で顔を覆っていた。
「ディーノを死なせないようにしなくてはっ」
「もう一回殺されていますよ、アキツくんに」
学園祭で一瞬丸焼けにされているとため息を吐きながら、まだ幼さの残る子供達は国の大事な錬金術師でもあるのだと言い、守らなければと呟きあっていた。
みのり屋の出店が終わってから二ヶ月の間、三年生達を中心としたホムンクルスやゴーレムが次々と生まれていった。
「っ、メイソン!やった!!メイソンが生まれたぞ!!」
三年生で一番最初に生まれたのはワットのゴーレムだった。
しかも、体はワットが作り出していた砂を気に入ったので、これから必要となるのはメイソンと相性の良い魔石だけだ。
「おめでとう!作り出した砂だけだと維持が大変そうだし、魔石は一つに絞ったりしない方がいいかな?」
「うおー!!リチャードが生まれたぞ!!」
ガークが大喜びしながら鎧の頭部だけを掲げて見せてくる。
「リチャードそれなの?!」
「身体は?!」
「好きな身体を使い分けられるようにすんだよ!」
大変な作業になるぞと盛り上がっていると、扉が開いた。
「見てください!プーが動いたんです!!」
ナタリーが一人で動いているぬいぐるみを抱きしめたままやってきたので、「可愛い!」と女子たちから絶賛されている。
「でもこの布と綿は駄目ね。プーと相性が良くないわ」
「その子に合った体を造るのって大変なのね」
「そうかもしれませんが、魂が出来てしまえば本人が教えてくれますから分かりやすいですよ」
「そうですね、相性のいい素材を見つけた時にザックが主張してきました」
「今まで練習で沢山ぬいぐるみを作りましたから、材料さえ揃えばすぐに作ってあげられますよ」
おかげで今は部屋中ぬいぐるみだらけだと苦笑する。
「来年のバザーで出してみたらどうですか?子供に人気になりそうですけど」
「なるほど、そういう事も出来るのか」
来年は三日間、学科別で出店するのでみのり屋は被らないように店のメニューを決めるつもりでいる。
この日を皮切りに、他のメンバーも続々とホムンクルスたちが生まれ始めた。
レイモンドのホムンクルスはカモメの姿をしたシンシアで、リンクのホムンクルスはヘラクレスオオカブトのガブリエラだ。
「ホムンクルス達が生まれてくる期間に違いがあるのって何でなんだろう」
「相性とは別で運みたいな所もあると思うよ?」
「そっかぁ。早く会いたいけど、ゆっくりでもいいから生まれてきてくれるのを待つしかないかぁ」
メイナが灰色のモフモフに頬をつける。
「早く一緒に遊びたいけどね」
ポーが笑い、ゴーレムを造くりながら返す。
「来年からアイテムバッグも造り始めるんでしょ?ジョージのサイズが分からないから、先に自分のを造って、いや。そもそもジョージが鞄とか使いたがらないかもしれないのか」
リックも作業の手を止めて茶色のモフモフを撫でながら話しかけた。
「なんでホムンクルスってのは生まれるまで丸っこいんだろうな?」
「んー、やっぱり卵とかそういう意味が大きいのかもね?」
「きっと中で体を造ってるのよ、今頃」
ガークの言葉に、カタリナが茶色い革の塊のようなホムンクルスの卵を膝に乗せて笑っている。