7.学園生活
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それから何度かイーラとナルが一緒に授業を受けるようになり、ロレーヌ伯爵夫人をエミリーと下の名前で呼ぶようになったある日、月に一度の歌劇の日がやって来た。
「よかったら伯爵様とご一緒にいらしてくださいね」
前から渡していた招待状を手に、夫婦でやって来てくれたので挨拶をしているとフェアグリンがやって来てにこやかに声をかけてきた。
「今夜をとても楽しみにしていました」
「気に入っていただけると良いのですが」
他にも大勢いる神官たちにも声をかけ、みのり屋は舞台の上へと登っていく。
現津の幻術で暗くなり、始まる歌劇へと没頭していった。
迫害を受けていた者たちが集まり、サーカス団を築き、自分たちの居場所を勝ち取っていくというお話し。
一度目のショーが成功しても、迫害は無くならない。
それでも、理解者は増えていく。
何より一人で戦っている訳ではないと言う安心感。
中でも”This is Me”という曲を歌う、男のような髭を蓄えた異様な女性。
それがまるで自分のようであり、みのり屋のようであり、ここにいる全員のようであった。
「私は愛される価値がある事を知っている。私にふさわしくないものなんて何もないのよ」
涙が流れていく。
なんと言葉にすれば良いのか分からないが、ただただ感情が湧いて来て眼から溢れて出ていく。
歌劇の中でもそうであったように立ち上がり、ただ感情の高ぶりをそのまま歓声として出し、ありったけの力で拍手をし続けた。
周囲もまったく同じ反応をしていて、何とも言えない一体感に包まれる。
劇が終わり、舞台の上でみのり屋が礼をする姿にまた涙が流れてきた。
ひなた達に案内されて出口へと向かえばみのり屋が並んでいて、来てくれた客たちへ礼を言いながら見送っている姿があった。
「今日も来て良かったです。貴女方と出会ってから、神への感謝がより強くなりました」
そう祈りを捧げながら礼を言うと、茂が一つだけの眼を細めて笑う。
「他にも沢山のお話がありますし、共に食卓を囲みたいとも思っております。気が向いた時はいつでもいらしてください」
あるべき場所に眼も足もないというのに、これほど美しい人を見たのは初めてだと心の底から思えた。