7.学園生活
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次の日、朝食の為に食堂へ行くと他の生徒たちと違うメニューが出され、それを持ってテラス席へと移動してから食べる。
そして、絶叫した。
「これが卵!?今まで食べた物とまったく違うわ!!」
「美味しい!!」
「皆さんも、よろしければどうぞ」
モネがファビオラの後ろで立っている近衛と侍女たちの小さなテーブルを出していれば、ファビオラもそうしてと笑顔で命令をする。
「せっかくの学園生活ですもの、今を楽しまなくてはね」
「は、はい」
「では、」
五人も一口食べて眼を見開いていた。
「これはきちんと処理をした食べ物なので半熟や生で食べても大丈夫なんですよ」
「ど、どうすればこのように食べられるのですか!?」
「消毒液に漬けて殺菌し、凍らせる事です」
「凍らせる・・・」
クミーレルが「はわっ」と夢見心地な顔でお結びを見つめ、大切そうにまた食べ始める。
「ジン!卵ってシャボンでも採りに行けそうだった!?」
「私なら蔦を伸ばしたり?あ、リリーに綿毛を出してもらえば短い間なら飛べるかな?」
「崖っつってたな?下から爆破の勢いで届く距離か?」
これはまた食べたいと、自分でも作れるようになりたいとみんなに詰め寄られ、アディと二人でノートを一枚だし地形と巣の形状について説明を始めた。
「あんまり短期間の内に取り過ぎちゃダメだよ?魔物が減るのは良い事だけど、お肉も卵も採れなくなっちゃうからね」
「うわー、こんなに美味しいのにっ」
「半年、年に二回、くらいなら、大丈夫?」
「いつ採りに行くか決めようぜ!」
「行くなら学園祭終わりとかかなぁ。それこそダンジョンとかとも違う怪我とかも起こりそうだから先生たちと、来年までは良いけど、再来年とかになったらOBで手の空いてる人に助っ人で来てもらうとか?」
「卒業しても卵が食える!!」
「採って来るだけじゃダメだ!」
「魔導具と薬液も造らなきゃ!」
「では我々も共同製作いたしましょう!!」
三年生たちと術師団が盛り上がっているのを見ながら、御代わりのお結びを出して欲しい人と満が聞くと全員が手を上げた。
「うーん、スザンヌさんたちにも頼まれましたし、味噌と醤油の作り方を教えなきゃって思ってたんだけど、錬金術師科も一緒にやる?」
「しょうゆってあの黒い水?」
「そうそう。この煮卵作るのにも使うし、結構万能調味料だよ」
「レシピも残して行った方がいいかな?」
「イチから作るってなったら時間もかかるしな」
「今年から毎年一緒に作ったらみんなも覚えられるんじゃないかしら」
「そんな簡単に教えていいのか!?」
「秘伝のタレでもなんでもないですし」
「蜻蛉切さんと利刃さんのいた国ではどの家庭でも塩と同じくらい普通にあったよね?」
「マジか!?」
「これマックス(王宮のコック長)たちに知らせた方が良いよね?」
というか城へ戻ってからもこの味付けの料理が食べたいと言うギルに、アディもファビオラ、レティも頷いたのでそれぞれの宮にいる料理長へ手紙を書くことにした。
「フェアグリンさんたちも誘ったら来てくれるかな。ロナルドさん(教会側の料理番)も訓練中ずっと厨房にきてたし」
「そうだね。醤油は天の民の皆さんも口にしてたし、イアグルス教の神官さんたちも食べてたし、作っても大丈夫だよね?」
材料も大豆だから教えにも反してないしと満が言い、御代わりが乗った皿をまた出した。
そんな朝食が終わり、素材の等分なども決まった昼食時、食堂は大騒ぎとなっていた。
厨房長のスザンヌ達と協力し、みのり屋のみんなと一緒に大量の唐揚げを揚げていく。
昨日の内に話し合いは終わっていたので、今日の昼食メニューは唐揚げをメインとしたパン、サラダ、スープとなっている。
「この”しょうゆ”は本当にすごいね!!」
「錬金術師科のみんなも知りたいみたいだったので、このレシピを再現する時はみんなで試してみましょう」
豆も大量に必要だし、人手はいくらあっても困らないと言うと、スザンヌが笑いだす。
「”錬金術は台所から生まれた”って聞いた時は信じられなかったけど、こりゃあながち嘘でもないのかね」
「嘘じゃないと思いますよ。名を残した人はほとんどが男性ですけど、発展させたのは女性っていうのは共通認識でしたし」
「あんたらのいた国は、ずい分女の働き口が豊富だねぇ」
この国も周辺の国に比べれば自由な方だけどねと、豪快に笑って唐揚げの二度揚げもマスターし、出来立てをどんどん出していく。
「御代りはないのか!?」
生徒がカウンターへ駆け込んでくる姿もあったが、一人分の量は決まっているんだと相手が貴族でも構わず追い返しているあたり、本当に強い女性だと思う。
唐揚げも揚げ切ったので自分たちの分を持ってテラスへ向かうとみんなもガツガツと唐揚げを食べていた。
「みのり屋で食堂やったりしないの?」
「ダンジョンの中でならする予定だよ」
「ダンジョンの中だけ?うわー、飛ぶのは向かなかったかど、高速では移動できるようにならなきゃ」
ギルがスクーターを絶対作り上げると唐揚げを見ながら呟いている。
「飛んでみて思いましたが、温度調整の利くローブかマントが必要だと分かりました」
「え、そうなの?」
「上空に行けば行くほど気温は低くなるからね。速度が上がれば単純に防寒も必要になるよ」
「私も必要よね。昨日はビオラがどうにかしてくれていたみたいなの」
「ススムめっちゃあったけぇから気づかなかった」
「分かる!」
ジンの言葉にみのり屋の女性陣が笑う。
「うちは豊がみんなの服とか外套の付与をしてくれてるからな。暑さも寒さも問題ないから助かる」
「その服が出来るまではみんなでくっついてたんだよねぇ」
「進は昔からほとんどが筋肉でしたから、体温が高いんですよ」
「嵒太郎と日輪は火属性だから、すごく温かいんだよねぇ。寒くなったらみんなでくっついてて可愛いし」
「ねぇ~」
至が日輪の頭を撫でると曙も撫でてくれと利刃の元へ来たので、撫でると嬉しそうにぺろぺろと顎を舐めてくるが、まだ食事中なので撫でて止めさせる。
改めて見ると、曙の巻き毛はなんとなく至っぽい。
「お前、実はものすごくイタルの事好きだろ」
食後、そっとワットたちが利刃に小声で聞くと、夫婦にまでなっておいて何を今更と小さく笑いながら言われた。
「アディ、今度の歌劇にはエラ嬢を誘いなよ」
「俺はヴィクトリアと共に見る事にする」
「っ、・・・そうする」
なんとなく苦手意識を持ってしまったようだとは言いつつ、授業が全て終わった午後に一人でエラを誘いに行っていた。