7.学園生活
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ダンジョンの中ではリリーとテオが大活躍となった。
「出来る限りの用意はしてきたとはいえ、やっぱり中級ダンジョンはすげぇよな」
「俺ら、良く生きてるよな・・・」
「ほら、アキツとノゾムが回復できるから」
錬金術師科はそんな話をしながらテオの出してくれた道具を使ってポーションを造っていく。
「はー、やっぱりホムンクルスとかゴーレムがいると出来る事って大きく変わるわよね」
「本当に、荷物が多くなる錬金術師がそこをクリアすると強いよねぇ」
テオを見ながら言うので、茂が収納バッグから調理器具を出して笑う。
「ホムンクルス、ゴーレム、タルパは趣味の範囲内だよ」
「趣味、まぁ趣味か。しかし、それを言ってしまうと魔導具も全て趣味みたいなものだがな」
「そうなんだよねぇ。だから凝り性の人とか頑固になったりする人が増えるんだよ」
機能性を重視するか、サブ機能を豊富にするか。全ては作り手次第だ。
「ロマンを詰め込み放題だから、似てても同じ物なんてできる訳ないしねぇ」
「確かにそうねぇ」
「僕たちは武器に回す分の時間が空いたし、魔導具とか別の事に時間を使おうか」
ギルは早く自分の魔導スクーターを造りたいと言い、レティも大きく頷く。
「トゥクトゥクがあればより多くの物資を運ぶことが出来ます」
アイテムバッグがあれば、馬一頭でも一部隊に匹敵するだけの価値が出ると言うので、発想が騎士だねとギルが笑った。
「女性が強い国は良い国です」
「これからも栄える良い傾向ですな」
「みんなの国じゃ女性が当主になったりするのって普通なの?」
「男性の方が多いのは事実ですな」
「あまり聞かないが、なかった訳ではないぞ」
「そもそも国主が女性から始まっている国でもあるからな」
「あら、そうだったの?」
「女性の遺伝子と男性の遺伝子だと、男性の遺伝子の方がどうしても弱くなりやすいですから。医療や食事などがしっかりとしていなかった頃は男性が無事に成人するのは大変だったんだと思いますよ」
「そういうのも関係してるかもねぇ」
「え、そうなんだ?」
「そう言った化学的な話もありますが、単純に女性からしか生まれない種族なのですから、女性を大切にするのは当然だと思いますよ」
逆に虐げた先には破滅しかないじゃないかと現津の純粋な言葉に、「確かに」とギルが納得してしまう。
「お前、そういう所あるよな」
アディは何かを思い出したのか渋い顔をしながら呟いた。
「皆様のお国では、男女で差別、のようなものも、無いのでしょうね・・・」
「ありますよ」
「あるの!?」
「そりゃあるだろ。女に学は必要ないだの男の前に出るなだのいう奴もいたし、逆にいつまでそんな事言ってんだって男を嫌う女もいたぞ」
「まぁ、・・・うん。それはなんか、分かる」
この国にもそういう人はいる。というかそっちの方が多い気がすると、話を聞いていた他の皆も頷いている。
「うちの国だと男は一国一城の主と言われていて、家を支える大黒柱とも言われていたな」
「実際に家庭を持ったら分かると思うけど、家の中って一つの国って言えるくらい複雑で維持とか大変だからねぇ。それくらいの責任をもって頑張れって事なんだけど。そこでどっちの方が大変だとか稼いでるとかで揉めて不仲になっちゃう人たちも結構いるよ」
「いましたね。女性に愛想よく大人しくただ尽くせと言う男性」
それで尽くせばつまらないと言って外で浮気をしていたクズと言う現津に、何か恨みでもあるのかと聞きたくなってくる。
「そういう男に限って碌に稼ぎも働きもしないというのがテンプレートです」
「なにか嫌な事されたの?」
「個人的には何もされていませんが、見ていて腹立たしくなるので目の前から消えて欲しくなります」
「現津殿は愛妻家ですからな」
「ガーフィールは別の国出身だったな。お前も十分愛妻家だと思うが、お国柄か?」
「どうなのでしょう。周辺国には”愛の国”と呼ばれるほど恋愛に対して寛容という特徴はありましたが」
「それが理由なのかは分かりませんが、結婚と言う形をとる方は少なかったようですよ」
事実婚が多かったと言われ、それはどうなんだと驚きながら考え出す皆。
「それが当たり前だったのに、よく結婚したね?」
「ふふ、望さんは美しく、凛としていて医療従事者としてとても強い方でしょう?」
そこだけを見れば一人で十分生きて行けるだろうと思ってしまう程隙が無く、もしかしたら可愛げがないとさえ思われる。
「そういう強い女性が自分の前でだけ少女になってくださるのは男冥利に尽きますよ」
恥ずかしそうに赤面している望と、笑っているガーフィール。
お前は何歳なんだと大人たちが眼を覆っていた。
「この国でいう”女性らしい”が好みなのは、ウメチカ達くらいか」
「あれがそんな女性を好きになる訳ないじゃないですか」
「そう考えると、智賀くんって現津さんと好み似てるかもね」
「何処が!?シゲルめっちゃ強いじゃん!」
「ミツルって非戦闘員だろ!?」
「攻撃はしませんが、戦闘をするならまず負ける事はない程強いですよ」
「どういう事!?」
「ほら、満ちゃんって結界がすごいから」
「もしも私があの結界を破ろうとするなら、十月十日四六時中同じ場所に全力攻撃を当て続けてようやく薄っすら焦げ目をつけられるかどうかです」
「うっ、そ〜・・・」
「それだけ時間があれば戦闘が出来る者が駆けつけるでしょうし、嵒太郎でも十分どうにかできます。進が寝ていただけなら数時間で起きますし、どちらにしろ先に力尽きるのはこちらでしょうね」
「満ちゃんのおかげで何処でもぐっすり寝られるよね」
「ええ、本当に頭が上がりません」
茂と望が頷きを返し、その話が本当なのだと思い知る。
「・・・アキツとウメチカって、強い人が好きなの?」
「いいえ、単に茂さんが強かっただけです。もしも戦う力をお持ちで無ければ私が守れば良い話ですし」
「智賀くんは強さっていうか、強さではあると思うけど、優しさ?みたいな所が好きなんだと思うよ?」
小さい時から満がよく世話を焼いていたのも理由かもしれないと首を傾げた。
「そう言えば、ミツルを軽んじる者には誰彼構わず物理的に苦言をていしていたらしいな」
まだ錬金術師科に編入する前、現津の弟だと聞き噂を集めていたとアディが思い出すように呟く。
「梅智賀は攻撃が最大の防御だと思っているので仕方がありませんね」
「注意してもすぐ虚無顔するんだから。そういう時は現津さんとそっくりで、変なとこばっかり似てるよね」
「私は無表情にならない様に気をつけています」
「でもいざ攻撃されたら容赦しないよね?」
「二度と反抗しようなどと思わない様に精神を砕き潰すまで手を緩めません」
「アキツ怖っ」
梅智賀の事はいつも満が止めてくれているので助かっていると言う茂に、今までよく被害者が出ていないなと魔法士科だったアディとローランドが肝を冷やす。
そんな話で盛り上がった後、またポーション造りに戻った錬金術師科に、他学科の生徒達が話しかけて交流を持ち始めた。
以前もダンジョンへ一緒に潜った魔法士科の4年生、カミーラがノアが大切に持っているビーカーを見て首を傾げた。
「もしかして、ホムンクルス?」
「そう、治療の手伝いとか、して欲しくて」
短く答えながら、水の中で浮いている半透明な丸い物を見せてくる。
「早く会いたい」
そう笑うノアに、カミーラも笑い返していた。