7.学園生活
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから5年はこの世界の常識という物を学ぶ時間となり、森などの人里離れた場所で魔物を倒して過ごす。薬に使えそうな植物を集めたりしながら、圧紘の分身を使いゆっくりとみのり屋の噂を流して行く。
そして、そこから12歳になるまで7年間はその噂がただの噂ではないと認知させていくことに使った。
全員が顔と年齢、性別を隠し、みのり屋紋の入った制服を着て狩った魔物をギルドで買い取ってもらい、露店でポーションを売る。
「どうぞご覧ください」
ただ一人、茂だけは女である事と、一本足である事だけを隠さなかった。
これくらいのヒントは出しておかなければ、後々みのり屋であると名乗り出ても偽物扱いされてしまうためだ。
各国を周りギルドにポーションを卸してみたり、スラム街や娼館街で新薬の実験として治療行為をしてみたり。そうやって7年を過ごせば、予定通りあらゆる国でみのり屋の噂が広まってくれた。
「また聖国にも来たんですって!」
「隣の国じゃないか!」
「確か前に来たのは五年前だったかな?」
「もしかして王国にも来るんじゃないか!?」
広場の屋台で昼食を摂っていれば、そんな話し声が聞こえてきた。
「色々やって来たけど、ついに明日かぁ。入試試験」
「ドキドキしてきた」
「私はわくわく!」
「試験なんていつ振りですかね。もう前が昔過ぎて」
みんなで話しながら屋台で買った串焼きを食べる。
笑っている茂たちだが、現津と梅智賀はいつでも回復魔法をかけられるように準備をしていた。
この世界での衛生管理は、信頼感ゼロである。
それなのに味を知るためにと、好奇心で皆口をつけるので毎回気が気でない。
「はぁ、食った。じゃぁちょっと街を見てから宿に戻って休むか」
「そうだね」
「あ、先に行ってて」
そう言って天心を肩に乗せた進がまた屋台で買い物をして戻って来る。
「カリブー、これしまっといて」
「姐御は本当によく食うなぁ~?」
「お前もなんか食いたいもんあったら買って入れとけよ。これから学園に通う様になったら食事とかも決まった時間にしか食べられなくなるぞ」
「お、冒険者だ。この街にダンジョンはないってのに、結構いるね~」
「依頼内容にも差はあるでしょうが、仕事が無くなる事はないでしょうしね」
「これだけ大きな街だ、人も多くなれば何かと雑用も増えるだろう」
12歳の姿でそんな話をするガーフィールと蜻蛉切。学園に入ったら実力を隠さなくても良い事になっているが、年齢に合った言動をする気があっても実際にそうできるかは別なようだ。
「利刃さん可愛い!いいねぇ!こういうのも!」
「分かったから、落ち着け」
抱き着いてくる至を受け止めながら、サーベルに当らないよう気をつけているのはいつも通りだ。
みんなで騒ぎながら街を見て回り、王都一番の高級宿へと入って行く。
夕飯は正装をしてレストランで食べ、それぞれのパートナーと部屋に入った。
メイドたちも全員出て行ったのを見て、現津が魔法を発動させて部屋中に仕掛けがないかを確認する。
「異常ありませんね」
「そんなに警戒しなくても、まだ私たちだってばれてないでしょ?」
「そうですが、どこぞの豪商の愛娘だと思われてはいる様ですから」
身代金目当てに絡んでくる輩がいても可笑しくないという。それは確かにありそうだと頷き、羽織を脱げばつむぎが受け取ってくれた。
「ありがとう、私たちももう休むからみんなもゆっくりしてね」
ニコリと笑って一礼すると羽織をかけていなくなる。
「お風呂に入っちゃおうか。この国はこれから夏だけど、春の夜はまだ冷えるね」
その言葉を聞いて自身の体温を上げながら肩を抱き、風呂へ促した。
「大きなお風呂だね!現津さんも一緒に入る?」
「はい」
嬉しそうに返事をして浴室の扉を閉めた。
次の日、ソファーで本を読んでいるとメイドたちが朝食を運んできてくれた。
テーブルへセットされた料理を見て、「ご苦労様」とチップを渡し頭を撫でる。
「美味しそうだね」
「そうですね」
「今日は試験だし、しっかり食べないと力が出ないよね」
「何度か実力者と呼ばれる方々を見ましたが、あれがプロとして成り立つレベルなのでしたら、何も問題は無いかと」
「まぁ、私もそこは心配してないんだけどね」
みんなよりも自分の心配をしなくてはならないかと眉を垂らせば、それこそあり得ないと笑って現津も食べ始めた。
高級宿なだけあり、どの料理も朝だというのに豪華だ。
「良い素材ばかり使ってるね。スープが美味しいよ」
「そうでしょうか」
「そんなに好きな味じゃなかった?」
「味というか、茂さんの作ったコンソメスープにはとても敵いません」
「ふふ、ありがとう」
今度また作るねと話しながら朝食を済ませ、カウンターでもう一日泊まると告げて全員で宿を出る。
「じゃぁ、俺たち観光してくるから。試験頑張ってね~」
「どんな内容だったか教えてねぇ~」
「私たちも観光に行きましょうか」
「教会へ行ってみても良いですか?」
「どんな神を崇めているのか俺も興味があります」
学園へ入学しない組は初めて来た王都を観光して回るようだ。手を振って別々に歩き出せば、学園までの道中何人もの子供たちを見かけたし、学園の入り口では何台もの馬車が並んでいた。
「仲良くなれる子がいると良いね」
「その方々は人生において最高の時間を過ごす事になるでしょうね」
「間違いねぇな」
梅智賀の返しに笑い、案内所でどの学科を希望するか伝えて入試を受けるための教室を教えられる。
「一人でも大丈夫だよ?」
「私もついていますし」
「私が心配で耐えられません」
教師が見ている前でそんなやり取りをし、魔法士科を受ける現津が茂と望について錬金術師科のある塔までやって来た。ガーフィールは、望が他の皆の側にいてあげてくれと言ったため、一緒には来なかった。
そして、甲斐甲斐しく茂の身の回りを整えてから魔法士科の試験がある塔へと戻っていく。
「まったく、仲が良いのは良い事ですけどね」
「ふふ、助かっちゃうのも本当なんだけどねぇ」
二人でそんな会話をしていたが、魔法士科では梅智賀が満を抱き締めて同じ科で本当に良かったと呟いていたりいなかったり。
入試は座学と実技に分かれており、茂は机の上にペンを出してテストの用意をする。この世界ではインクと付けペンが当たり前なのでインクを吸水して使うタイプのペンを作って愛用していた。
教室には茂と望以外にも錬金術師科に入学希望の子供達が集められている。
その数は二人を合わせても9名しかいない。他学科は数百人近くいると考えれば、驚く程の少なさだ。
それも、子供達の格好を見るに平民かスラム街のどちらかと言った所だろう。
しかし、そのおかげで身分がどうのこうのと言う者はいなさそうだ。
過ごしやすいクラスになるだろうと考えていたら、近くに座っていた子がこちらを気にしたようにチラチラと見てきた。
「どうしたの?もしかしてインクが足りなくなった?」
予備もあるし貸す事ができると言うと、「いや!」と慌てて首を横に振る。
「その、どこかの、身分が高い人、なのかと思って・・・」
「まさか、ただの平民だよ」
「え、でも、さっき」
「ああ、現津さん?私この身体でしょ?だから夫の現津さんが助けてくれてるんだよ」
この会話を聞いて、教室の空気が少し軽くなった。
こういう反応を見ると、身分格差のある社会ならではだなと思う。望も自分も平民だと笑いかけ、さらに皆の表情が柔らかくなる。
「もしも受かったら皆さんと同じクラスになるんです。仲良くして下さいね」
「私達行商人でもあるから、貴族とかに見えるのかな?」
「身分の高い方達の前では、きちんと振舞えなければ困る事が多いんですよ」
そういう事かと頷いたり、女の子たちは小さく手を振ってくれたりしたので第一印象は悪くなかったと思う。
座学は、まだ字が読めない子もいるという事で教師が一問ずつ読み上げていくスタイルとなっていた。文字が書ける者は答案用紙へ、書けない者は教師と別室へ行き口頭で答えるという優しいものだ。
良い学園だとニコニコしながら書き終わった答えを見直し、実技の時間となった。
初級ポーションをレシピ通りに造るという課題で、ここでも教師はゆっくりと何度もレシピを読み上げていた。
用意された材料を確認し、造り始める。
一番最初に提出したのは茂だった。
教師も造っている最中から驚き、レシピを読み上げるのも忘れてしまっていた。ポーションを手渡されて我に返り、教卓にラベルを付けてから置き、またレシピを読み始める。
望もまだ造っている途中だったので、時間も材料も残っているしと新しく見つけた方法で初級ポーションを造っていく。
手際よく、レシピが書かれた羊皮紙を裏返して澄んだ色のポーションを造る。そして、裏返していた試験用紙に新しいポーションのレシピを書き上げていく。
そうしていると、試験の終わりを知らせる鐘が鳴った。
新しいレシピで造ったポーションは、初級ポーションの材料で中級ポーションと同じだけの効果を発揮する物だ。というか、茂からすると売られている初級ポーションはこの新レシピポーションの失敗作と言える代物だった。
オリジナルで造ったポーションは机に置いたまま、荷物を片付けていると現津が教室に入ってきた。
「お疲れ様でした」
「現津さんもお疲れ様」
「そちらはどうでした?」
「少々面倒な輩に絡まれましたが、特に問題はありません」
「まぁ、現津さんたちの力を見たら話しかけたくなっちゃうよね」
後は無事に合格している事を祈るばかりだと笑いながら、現津は茂の荷物を持つと手を繋ぎ、ゆっくりと歩き出す。
門の近くには全員揃っていたので、このままどこかで昼食にしようかと学園を出た。
それから5日後、入試結果が張り出されたのでそれを見る為学園へ向うと、こちらに気付いた子供達が道を開けていく。
何故かと首を傾げたが、掲示板ですぐに自分の名前を見つけたのでそんな疑問など忘れてしまった。
「あ!あった!」
「マスターのお名前もありましたよ」
「マジか。受かっちゃったよ」
「受かるために受けたんだろぉ〜?」
「良かったね!これでみんな一緒に通えるよ!」
「後は、同室になれるよう手続きをするだけだな」
「そうですね。このまま職員室?に行こうか」
そう言っていわゆる学生科がある校舎へ向かうが、後ろで黄色い悲鳴が聞こえてきたので振り返る。そこにはとてもきらびやかな男の子を先頭に、これまた見目麗しい子供が数名。更にチラリと見えた門の側には豪華な馬車。
「王子様も合格発表って自分で見に来るんだ」
「あれが、この国の第二王子様ですか」
望が首を傾げて人だかりの中心にいる子供を見た。
「今は積極的に関わりたくない立場の子だね」
「かしこまりました。情報を集めつつ距離を取るようにいたします」
「仲良くなりたかったらそれはそれで良いんだよ?私も”今は”って感じだし」
「関わらねぇのは無理だな」
「ん?」
「試験の日に話しかけられましたが、近づきたいとは思えない人格でした」
「人格、何か言われた?」
見上げて聞けば、ガーフィールが苦笑しながら教えてくれた。
「自身の従者にしようと声をかけて下さったのですよ。平民であるのなら大出世だろうと」
「泣いて喜び一生尽くすと誓えとも言ってたな」
「マジか、ボンボンはみんなそういう思考回路になるのか?」
「・・・学園に通う中で変化が起きるといいな」
「めっちゃ言葉選ぶじゃん」
蜻蛉切に笑っていれば、渋い表情の現津に気づく。
「
「はい、自分には既に生涯を誓った最愛の妻という主人がいるので他を当っていただきたいと伝えました」
「その後発狂してたぞ、あの王子様」
梅智賀の言葉にガーフィールが笑いだす。
「キャラの濃い子が同級生かぁ、賑やかになりそうだね」
「そうですね。せめて静かに過ごすことが好きな者もいるという事だけでも学習できたのなら、今後の人生も大きく変化するでしょう」
ニコリと微笑む現津に、そうとう面倒くさかったんだなと思いながら頭を撫でておいた。
職員室に入れば、これから王子たちを接待するために学園長たちも忙しそうに立ちまわっていた。
なので受付の事務員に声をかけ、事情を説明して寮の一覧を見せてもらう。もちろん身分の高い者たちは個室を与えられ、その部屋がどこかは下位の者には見せられないと言われたが。
こちらとしても知ってしまうとさらに面倒ごとに巻き込まれそうなのでハッキリいらないと言う。自分たちの部屋さえ分かればそれで十分なのだ。
見事に全員バラバラだった。
「私たちは個室ですね」
「人数少なかったもんね」
「では全員錬金術師科の寮に部屋をいただけばよいのでは?」
「なるほど」
「わし男子寮に振り分けられてんだな」
「お前を初見で女だと見破れる奴なんて獣人族かゾオン系くれぇだろ」
騎士科に入った進は、バレるまで男として過ごすことになった。
「ん~?俺はなんて呼べばいいんだぁ~?」
「マスターでいいのでは?」
「名前で良いだろ」
「およしよぉ~、あいつらが変に勘ぐって殺しにくんだろぉ~?」
受付に、交渉材料として持ってきていた寄付金をお礼として渡しておく。
「あの科の寮に入りたいなんて、変わってるわね」
「掃除も出来てないから、自分たちでしないといけないのよ?」と言われたが、そこは問題がないと笑って部屋を後にする。
「今日からもう寮の部屋を使っていいんなら、宿の人たちに挨拶してから戻ってこようか」
「はい、そうしましょう」
現津と梅智賀の誘導で少し変な道を使いながら学園を出る。
多分、というか確実に、王子たちを避けた結果だろう。
街中でも直線とは言い難い道順で宿へ戻り、また寮までエスコートしてくれたので誰にも会う事無く部屋へと辿り着いた。
他にはまだ誰もいない事を確認してからひなた達を呼ぶ。
「掃除とかお願いしていい?荷物は自分で出すから」
ニコリと笑って一礼し、一斉に部屋を開けて掃除を始めた。
「学園での食事は食堂を使うんだよね。どんなご飯が出るか楽しみだよ」
「茂さんの気に入る物が出るといいのですが」
そんな話をしながら荷ほどきをしていると、夕飯の時間になったのでさっそく食堂へ向かう。数名ではあるが、既に何名かの生徒がいた。
中には試験の日に教室で見た小さな男の子もいたので、手を振ると驚きながらも手を挙げてくれる。
「同じクラスの子だよ。あの子も受かったんだね。よかった」
多分スラム街出身で、あの試験で一人口頭で問題を解いていた子だ。
「従者の食事は皆さんが終わった後に配られるそうです」
「なんだ、一緒に食べられないのか。つまらんな」
食ってる奴をただ見てるなんて意味あるのかと聞きながら、太ももに付けていた鞄から小さなテーブルと椅子を出して自分の後ろに置く。
「従者で通すなら、主人のいう事が尊重されるんだろ?同じテーブルを囲むのはまだ様子を見てからにするが、一緒に食べるくらいは良いだろ」
そう言ってパンと蜂蜜漬けのナッツをモネに手渡した。
「マスター~、そういう所だぞぉ~?あいつらがのめり込むのぁ~」
カリブーが笑って椅子に座り、モネも微笑んで一礼してから渡されたパンとナッツを皿に盛った。蜂蜜の匂いを嗅ぎ、甘い物が好きな桃之丞達が寄ってきたのでもう一本のビンを出して小皿に分けてやる。
そうしていると、「見つけたぞ!」と叫びながら大股で近づいてきたのは、あの煌びやかな王子様たち。
茂は手を止めて立ち上がり、この国で最高の礼を取る。もちろん現津たちも全員が同じように礼を取っていた。
「っ、お前が、こいつの妻かっ」
「お声がけ光栄でございます。私が現津の妻、茂でございます」
他国の辺境から来たというには完璧すぎるこの国の礼に、王子の側近たちが驚きながら顔を見合わせる。
「お前!本当にこんな女に一生尽くすと誓ったのか!!こんなっ、一人ではまともに生活もできないような女に!!」
それで出世を手放し、人生を棒に振るつもりかと怒鳴れば、さすがに口が過ぎると側近の緑髪が止めた。
後ろで現津の殺気が増している。
この騒ぎを一から十まで見ていた生徒、寮長たちもドン引きしている。
王子はもう少し、自分の立場という物に興味を持つべきだなとため息を吐き、礼をしながら発言の許可を取った。
「第二王子殿下、身体の欠損がある者を見るのは初めてでございますか?」
「当たり前だ。そのような不細工が王城へ入れるものか」
「僭越ながら、それは少々極端なご意見であると思われます」
また怒鳴ろうとしたので、その前に口を開いた。
「殿下は、国の為に戦い体の一部を失った兵士や民の事も、不細工だとおっしゃる方なのですか?」
「なっ、誰もそのような事は言っておるまい!」
「それは安心いたしました。ですが、あまりにも言葉を短くしますといらぬ誤解を受けてしまう事もございます。どうぞ、平民の戯言ではありますが、お心に留めておいていただけると幸いです」
「っ」
「君のは、その、そのような戦いで失った物なのかい?」
「いいえ、私のは生まれ持っての特徴でございます」
ケロッと言うので、質問をした青髪の側近も王子も、緑髪も驚いていた。
「四肢が揃っているのが当たり前の方と、無いのが当たり前の私とでは少々感覚が違うのでしょう。無いからこそ与えられている物も多いのですよ」
そう言って淑女のように口元を手で隠して微笑んだ。
「この身体であるからこそ、人を見る目には少々自信がございます」
「ンフッ」とカリブーが吹き出し、すぐに真顔に戻ったが、現津は物凄く満足そうな表情をしている。
王子も遅れてどういう意味なのか気づき、真っ赤になった。
「私の夫は横恋慕に燃え上がるタイプではありませんので、そこはお気を付けください」
また最上級の礼を示せば、何を言っているのか聞き取れない言葉を怒鳴りながら食堂を出て行った。
「本当にキャラの濃い王子様だね」
でも人に恵まれていると、まともそうだった側近たちを思い出して席に着こうとすれば現津が手を差し出してきた。
ただ椅子に座るだけだというのに、優しくエスコートをして食堂中の視線を気にする事なく好き好きアピールをしてくる。
しばらくすると、食堂にもまた音が戻って来たので賑やかになった。
食事を済ませてトレーを下げる時、厨房から拍手と指笛をいただいたので笑いながら手を振っておく。
部屋に戻ってもずっとくっついている現津を見上げた。
「明日のクラス分けでもしも王子様たちと同じだったらごめんね」
「そんな事はどうでも良いです。ですが、いずれ必ず、茂さんへの侮辱は謝罪させます」
「人間の体はそんなに強くないから、手加減してあげてね」
相手は12歳になったばかりの子供だと言えば、子供には躾が必要だとニッコリ笑う。
苦笑しながらキスをすれば、背中がうごめいていた。