7.学園生活
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始まりの九人が全員生まれ、次に繋がったのは魔法が日常的に使われている世界だった。
全員揃ってから十日が経ち、この世界での情報を集めて戻ってきた梅智賀たちから報告を受ける。火の民も含めた全員が集まっている広間では、至が眼を輝かせていた。
「ファンタジー小説そのものだね!」
「マジでそんな感じだったよ~。魔力とか魔法とか普通に言ってたし、魔物って呼ばれてる化け物もいっぱいいたわ」
圧紘が小さな水晶を一つ出し、テーブルにある専用の台座にセットすると、特殊な金属が形を変えて街並みを立体的に見せてくる。
小さな子供から大人まで、誰もが火や水を出している光景に、「ほう」と皆が驚いたような表情で立体映像を見ていた。
「あ、錬金術もあるんだ!」
「ずい分と、レベルが低いようですね?」
「これは、もしかしてポーションを飲んでいるのでしょうか」
「なんか、えずいてますか?」
「これが現物だ」
梅智賀が出した小瓶を手に取り、茂が鑑定をかけて見てみればとても緊急時に飲んでいい代物ではなかった。
「怪我がほんのちょっと治るけど、生命霊気が減ってる」
「減るの!?」
「自己回復を早めるだけ、ですか?」
「ううん、そういうんじゃなくて、ただの失敗作って感じ」
「それは、・・・売っちゃダメだね?」
満にまでそう言わしめたポーションを開封して匂いを嗅ぎ、口をつけようとする茂を止めて先に現津が一口飲んでみた。
すると、背中側が爆発してうごめきながら元に戻っていく。
「茂さんは、お飲みにならないで下さい。もはや劇物です」
「やっばぁ、飲んでみなくてよかったぁ」
「兄さんがそこまでの反応するレベルか」
こいつらよく飲んでんなと梅智賀がえずきながら飲んでいる男たちを見た。
「”良薬は口に苦し”が、間違って伝わっているのでしょうか」
望も現津の反応を見てちょっと怯えながら立体映像を見る。
「錬金術は詐欺などと言われている時代もありましたしね。まだ確立して間もないのでしょうか」
発展前の医療を担っていた時代を知っているガーフィールが顎をさすりながら腕を組む。その言葉に、他のメンバーも「ああ」と声を漏らして納得していた。
「どうする?ダンジョンなんかもあったぞ?こっちを中心に活動するか?」
「そういやギルドもあったな」
漫画みたいだったと梅智賀が置いていた小さな水晶に触れると映像が変わる。
「商人ギルド、冒険者ギルド、薬師ギルド、錬金術ギルドもありはするみてぇだが、錬金術ギルドはまともに動いてるか怪しいもんだったぞ」
地図も出していくつかの国に印を付けていく。
「この大陸だとこの国が、一番落ち着いてるっちゃ落ち着いてんな。この辺の小国にたかられてんのかどうかまでは分からねぇが、とりあえず今は戦争なんかもやってねぇみてぇだ」
「この国、海に面してる所もあるし、勝ち組っぽいよね」
「!待って!今の所もう一回見せて!」
「ん?どこ?どの辺?」
「これ!もしかして学校!?」
「本当だ!子供がいっぱいいるね」
「わー!このローブが制服だったりするのかな?」
至と豊がそれぞれ別の視点で見ている中、蜻蛉切が感心したように映像を見ていた。
「この国でも子供を教育しようとしているのか。しっかりした国だな」
「子は宝。それを良く分かっている」
利刃もそれに続いて頷いていた。
「他の国にも”学校”はあったけど、全部お貴族様のものだったよ」
この大国は、一応平民も通ってはいるが九割九分が貴族だと圧紘が現地にいる分身に指示を出せば映像が変わった。
「ふーん、んふふ。入学条件ってどうなってるんだろ?」
楽しそうに笑って画面越しに眼を輝かせ、学園長室に侵入して条件のかかれた書類を見つける。
「一人銀貨15枚。入学金を払って、少し魔法で攻撃ができれば大体入学できちゃうみたい」
「錬金術師科はずい分人数が少ないですね?」
「騎士科と魔法士科は分かるけど、商人とかになる為の経済学とかは無いんだね」
「芸術とかも欲しかった・・・」
「そういうのは学問じゃねぇんだろ。まだ」
「この大陸では、言語が統一されてるようだな」
みんなもそれぞれの感想を言っている中で、茂が口を開く。
「ねぇねぇ!今回はみんなで学校に通ってみない?」
その発案に、ほとんどの者が驚きの声を上げた。
「わー!蜻蛉切さんが私より小さい!!」
「利刃さん可愛い!」
「智賀くんのその姿久しぶりに見たよ」
「ガーフィールさんは、大人っぽいですね」
全員で12歳の姿になり、それぞれの姿にはしゃいでから改めて今後について会議を進めていく。
「じゃぁ、これから正体不明の商会としてみのり屋の名前を一人歩きさせて行こうか」
そして本当に12歳になった所で学園へ入学する。そこでは実力を隠す必要はないが、どこかの権力者に囲われない為の準備をする12年だ。
「榊さんはどうする?12歳まではみんなと一緒に行動する?大陸中巡るみたいだし」
「そうしようかなぁ~、私に学校生活とか出来る気がしないし」
「面白そうだからたまに遊びに行くね。ダンジョンとか行ってみたいから」
「私たちも12歳の時に分かれて世界を見て回りましょうか」
榊、和、優は学園に通う気はないという事で、他のメンバーだけで入学する事になった。
「とはいっても、この世界で採れる薬草とかでちゃんとしたポーションが造れるように研究しないといけないから、私は2、3年引っ込ませてもらうけど」
「それは私もですね。薬や器具についても茂と話し合わなければならない事が多くあります」
「私も、12歳の体格にあった服を作らなきゃ」
茂だけでなく、望と豊も籠るというので、他のメンバーでその間何をするかと話し合っていく。
「あ、どの学科に入るかも決めておいてね」
「俺は、騎士科だろうな。軍刀だが」
「俺もそうだろうな。武士だが」
「わしら以外は魔法士科か?」
「私、・・・落ちこぼれになっちゃいそう」
「私たちは一つの事に特化してるもん、仕方がないよ」
落ちこぼれるのは自分もだと豊が満を励ます。
「私授業中歌って怒られてそう!」
「わしは寝てそうだ」
「いや~、こういう囲われてる空間だと落ちこぼれ扱いされるのうけるね」
笑っている圧紘だった。