8.鬼灯の冷徹
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翌日、朝食を食べながら一度一緒に黄泉の国へ行き、烏頭と蓬を連れて戻って来ると話した。
「そうだ、このペンダントをつけてて?」
「これはなんですか?」
「お守りだよ。何かあったら守ってくれるからね」
「このままうちの子になってもいいなら、一人でも帰ってこられるようにしますが、どうしますか?」
「・・・よろしいのですか?」
「もちろんいいよ」
優が手で鬼灯の頭を後ろから触り、紋を出して脳の中にある松果体に触れる。
「、今のはなんですか?神気?」
「神気とは少し違うわね。これは誰もが持っているその人の力ですもの」
神様でなくても使える力だと微笑んで頭を撫でる。
「これでいつでもうちに帰ってこられるわ。辞書も引けるようになったと思うけど、見えるかしら」
「何か出てきました!!」
「それが辞書よ。知識の図書館なんても呼ばれるわね。他にも自分の健康状態も分かるわよ」
目を輝かせながら宙を見ている鬼灯に笑い、また頭を撫でた。
「鬼は成長がゆっくりみたいだし、今はうちになれる事を優先しましょうか。勉強はそれからね」
「勉強?」
「鬼灯はもうある程度できているようですから、安心していいですよ。計算ができていたでしょう」
以前お結びの個数を計算出来た事を言われ、あれかと納得して頷く。
「桃之丞もまた一緒に行ってあげなさい。畑の物はいつも通り好きに食べていいぞ」
「ぶぶぶ」
抱っこをされながら鼻を鳴らす桃之丞の黒い鼻を指で触れば、湿っていて驚く。
「一昨日寝ている時は渇いていました!」
「寝ている時は渇いているものなんですよ」
「起きてる時は濡れてるのが健康の証なんだよ」
風邪を引いたりすれば鼻水が垂れたりして体調不良を教えてくれるんだと言われ、そういう物なのかと鼻を触っていれば止めろと手で払われた。
「ふふ、気をつけて遊ぶんだよ」
「はい」
黄泉の国へ行き、子供三人でみのり屋の家へ戻って子供同士で遊び始める。
大人たちが屋台でお結びを売っていると、鬼灯たちと同じ年頃の鬼の女の子がおばあちゃんと手をつないでやって来た。
「うわ~!可愛い!ふわふわの髪いいねぇ!角も二本で鬼灯くんとはまたタイプが違うねぇ!」
おばあちゃんも、こんな孫がいたらメロメロになっちゃいますよねぇと言いながら香と名乗った女の子の頭を撫でる。
「丁くんたちはここにきているんですか?」
「今日はうちで遊んでるよ。丁くん、鬼灯って名前に変えたんだけど、うちの子になってくれてよかったよぉ」
子供が増えるのは嬉しい事だからねと至が言うと、驚いていたがどこか嬉しそうにそうなんですかと笑顔を見せた。
「女の子の可愛さと男の子の可愛さは別だよねぇ」
「烏頭くんと蓬くんも来てくれるから男の子の可愛さを補充できて嬉しいよ。また来てね」
お結びを渡しながら手を振って、お香もその祖母も笑顔で帰っていく。
夕方になり、店じまいをして家へ戻ると、残っていた子供たちと大人達が倉庫としている部屋の前に集まっていた。
「ただいま。どうしたの?何かあった?」
「え、もう日暮れ!?」
「そうだよ。ここは日没とか無いから時間感覚がちょっと狂ったりしちゃうかもしれないから気をつけてね?」
「畑で収穫をしたので倉庫に収めに来たんです!」
「こんなに食いもんがあるの初めて見た!」
「それで驚いていました」
火の民が来てくれて収穫の手が増えたから助かっていると笑い、畑や森は見られたかと鬼灯に微笑みかける。
「はい。畑も森も行きました」
「そうですか。では、食べ物と水が沢山あるのは見られましたね」
あれは無くなる事がないから安心して沢山食べなさいと現津が頭を撫で、桃之丞を抱き上げると烏頭と蓬を連れて家へと繋がる扉へ歩き出す。
「夕飯を食べて行きなさい。その後に家まで送って行きましょう」
「お風呂にも入ってさっぱりしようか」
キリルに連れられ、家へ入って行く時にホーキンスが連れている山羊の背中に梟が一羽停まった。
「飼っているのですか?」
「いいや、ひなた達と同じホムンクルスだ。森児の相棒だからな。食事の時だけ戻って来るんだ」
「?」
「お前の兄にあたる男だ」
今は眠っているが、後数百年もすれば会えるだろうと笑って一緒に中へと入った。
初めて風呂に入った烏頭たちが大はしゃぎで走り回り、転んだら危ないから落ち着きなさいと捕まえてピカピカに磨き上げて風呂から出てくる。
「今日お香ちゃんっていう、鬼灯くんたちと同じくらいの年の子が来てくれたんだよ」
夕食が始まり、こんなに美味しい物を食べた事がないと御代わりをしている二人を見ながら至が言うと、知っている子だと頷く。
「明日は黄泉の国で何か食べ物を探してきます」
「茂様!僕たちも黄泉の国に行ってみたいです!」
「こら、またそんな我儘を」
「ふふ、新しい場所だから気になるよねぇ」
前の世界とは違う危なさがあるので、子供だけで遊ぶにしてもきちんと警戒をして置く必要があると言い聞かせて許可を出した。
「最初のうちは大人と一緒にね?どんな所か分からないとお互いに安心して過ごせないだろうし、お守りは外さないようにね?」
「はい!」
「やったー!」
「明日はわしが一緒に行くかな。鬼灯たちがどんな所で狩りしてるか気になるし、新しい生き物がいるかもしらんし」
「進様がご一緒ならば安心です」
「とはいえ人数が多い、成人している者も数名共に行く事にしよう。何かあれば直ぐにここへ戻り、報告をするように」
「はい」
コンシンネとの話も纏まり、鬼灯たちにも危なくなったら一度ここへ戻って来て大人に助けを求めるようにと言い聞かせ、烏頭と蓬の二人の家にお土産としてお結びを包んだものを持って送りに行く。
「また明日ね!」
「おう!今度は俺たちが案内するな!」
鬼灯と火の民の子供達と手を振って別れた後、子供同士で明日は何をしようかと話し合っているのを笑いながら大人たちは明日のお結びの具と警護の手順について話し合った。