4.海賊と一緒
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鬼ヶ島でみのり屋が滞在して数日が経ったある日。
この日はニューゲート達がフジミヤとワノ国へ出かけていた。
物資の調達やこれからについての話し合いもあるらしく、白ひげも世界政府に怪しまれない程度には長期滞在をするつもりらしい。
「満ー、あの辺に結界張ってー」
「いいけど、何するの?」
「進と遊ぼうと思って」
「それなら二重張りの方がいいかな」
「なんだ?二人だけでやんのか?」
「ううん、今日はフーも参加してくれるって」
「珍しい事もあるもんだな?」
「どういう風の吹き回しだ?」
「たまには本気で身体動かしてぇんだよ」
「カイドウもやる?満がいるから島も壊れたりしないよ」
「そんなにすげぇのか、あの結界」
「てか、三対一かよ」
おまけにこっちはカイドウさんまでいんのにと言うが、本人たちは問題はないと首を横に振る。
「わしも天心とやるぞ」
「進とやる時はあんまり数とか考えてなかった」
「ルール無しに近いからな」
「ね」
「おい、他の奴は"中"に入れんなよ」
「じゃぁ、カイドウは外で戦ってもらおうかな」
そう言って紋を出して触れると、フーズ・フーの姿が消えた。
「このまま始めてもいい?」
カイドウが頷くと、進と二人で満の作った球体の結界へと入って行く。
そして、すぐに無数の紋が結界内に浮かび上がった。
「ははは!やっぱり”これ”は緊張するな!」
「進にはこれくらいしないと追いつけないからね!」
淡く輝く球体の中で宿り木の紋がまるで幾何学模様の様に重なり、たった一人へと牙を向く。
「百鬼夜行!」
和の紋を自由に行き来しながら進を狙うのは、手に武器を持った男達。その攻撃を交わし、時には受けて全てを防いで行く進を、和が追い詰めていく。
「カイドウ!」
胸の紋が光り、美しくも恐ろしい球体の中へと呼ばれた。
何故だろうか、いつも以上に和の声がよく聞こえる。
森で狩りをしていた時のように、それ以上に、開放感と多幸感、高みへと昇る高揚感。
莫大な"力"への挑戦。
「うぉぉおおおお!!」
まるで本物の獣の様に咆哮を上げて、"頂き"へと向かっていく。
「ナイッ、スー!!」
カイドウの攻撃で浮いた進へ、和が刀を振りかぶる。
笑っていた。いつもの様に。楽しそうで子供のようで、けれど、だからこそゾクリと背筋が粟立つ。
殺意も憎悪も何も無い。獰猛などという言葉は全く当てはまらない。
知っているような気がする。
いや、分からない。
思考が追いつかない。
呼んで。
ただ頭の奥で、胸の、腹の、肉体と繋がった精神の更にどこか深い場所で叫びだす。
その声で呼んで。
「良くそんな作戦思いつくな!」
「考えてる時間なんかないよ!」
「全部即興!」と笑いながら、次々と別の名前を呼んでは楽しそうに暴れまわる。
「和ー!!」
呼べ。お前が呼んでくれたなら、何処へでも行ってやる。
それが地獄でも、神の気まぐれで死んでしまう死地でもいい。
何処へでも一緒に行ってやる。
「ササキ!」
和が笑ってこちらに掌を向けられた。足元に見慣れた紋が現れ、気がつくと光の中にいた。
「おおおおおお!!!」
魂が歓声を上げている。黒い炎が、幸福感と共に吹き上がる。
「もらったー!!」
「うおっ!」
「和ー!」
「みんなにも参加してもらおうか!」
「本当にっ、"百鬼夜行"は規格外だな!」
これは骨が折れると、進も楽しそうに笑いながら声を張り上げた。
「天心!」
「ガアアアア!!」
「やっぱただの熊じゃ無かったか!!」
百獣海賊団全員が参加した進との"遊び"は、引き分けという結果で終わった。
「はぁ!!」
全員で作った隙きをつき、和が刀を進の首に突きつけるのと、その手刀が喉に当てられたのは同時。
「っはぁー、まぁた勝てなかったぁ」
「今回も危なかったなぁ」
互いに手をおろし、和はその場で座り込む。
「もう体力残ってないや。今までで最高記録だよこんなにこれ(百鬼夜行)やってたの」
「ははは、お前が止めるの待ってたら負けてたな」
「やっぱりみんながいると踏ん張れるね」
本当はとっくに気力なんか切れていたと、進に手を借りながら立ち上がって歩き出す。
「今回も反省点が多いなぁ」
「あれでかよ」
どこからか現れたフーズ・フーが進から和を受け取ると苦笑したように言った。
「だって、みんなもっと違う作戦の方が動けたと思うんだよね」
紋の配置が悪かったと、一人で反省会をしている和を皆が囲みだす。
「ぐはぁー!!サイッコウ!!」
「ヤベー!興奮が収まんねぇ!!」
「なら和に近づくな」
「そういうのじゃねぇって分かんだろ!!」
もみくちゃにされている和は、最早抗う体力も無いらしい。
「はぁー、楽しかったけど汗かいたな。風呂入ってくるわ」
「私も行きたい」
「お前はそのまま一回寝ろ、風呂で溺れんぞ」
「今日は宴だー!」
「ご飯の準備は出来てますよ」
「はや!!」
「満は段取りが良いんだよ」
「皆さんもお風呂に入ってから宴にしませんか?」
「お風呂の準備も出来てますよ」
豊達に促され、大騒ぎしながら汗を流していつもよりも少し騒がしい宴会が始まった。
ワノ国から戻ってきた白ひげ海賊団がその話を聞き、自分たちもやりたいと言い出すのは当然の流れだった。