4.海賊と一緒
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こうして、カイドウが持てる宝玉が贈られた。
その宝玉に触れてみのり屋、和に危害を加えない誓いを立てるという条件で宝玉に登録できるようになった。登録をした者のみ、宝玉に触れるといつでも和の使っているテントの入口へ転移できるようになった。
みのり屋へ転移するのは危険が大きいという事で止められた為、そちらと繋がる機能は付けていない。
和がいる森はとても凶暴な生き物が生息していて天候や気候もでたらめなので何かあっても向こうで対処できるという考えからこうなった。
しかし、だからといっていつも和の下へ行くのは禁止。食料調達の名目で決まったメンバーと人数で行くことを義務づけられる。
それも、向こうでは和の力により体も2mになると説明を聞き、大変驚かせた。
「向こうだったらカイドウに肩車してもらえるよ」
「やる事がしょべぇ!!」
「ウォロロロ~!」
「ニューゲートさんが持つ宝玉は何色が良いですか?”白ひげ”ですし、白にします?」
「それとも髪色に合わせて金色とかにします?」と見上げると、カイドウが「金〇マ」と言って笑いだしたので顔面に拳が飛んだ。
「その発想はなかったね」
「じゃぁ白にしようか」
「誰か突っ込めよ」
カイドウとニューゲートが殴り合っている事にはまったく触れずに作業を開始する茂。
「あ、ただの宝玉にしたんじゃ二番煎じでつまんないね、ネックレスにしてこう、門を開く感じにしようかな。名前のニューゲートとかけて!」
「なにもつまんなくねぇよ!奇跡を起こすなって何度言やぁ理解すんだ!」
「奇跡じゃなくないですか?」
「和が能力使ってるだけでもヤベェってのに似た事を誰にでも出来るようにしてんだからアウトだよ!!」
フーズ・フーに止められていると、さっきまで殴り合っていた二人もケンカを止めて近づいてきた。
「こいつ(カイドウ)と色違いだろうが同じもんを持つのは嫌だったからな、ネックレスで良い。だがフーズ・フーの言ってるのも正論だ。俺が使うにしろその”門”をくぐるにしろ、条件を付けてくれ」
みのり屋、世界樹に危害を加えないのはもちろんの事、行った先で迷惑をかけない。その条件を満たせないのであれば、強制的にこちらへ戻ってくるようにしてくれと言われる。
それならば確かに問題は少なくなるとフーズ・フーも頷いていた。
「それでも門を通ったらどうやっても目立つだろ」
「じゃぁ、私たちを起点に人気のない場所に出る様にしましょうか。これから行く世界によっては拠点を置いたりする事もあるでしょうし、その場合は裏口と繋がるとか。拠点がない場合は私たち個人の誰かってことで」
「ランダムにするなよ。誰の近くに出るかも決めろ」
「じゃぁ、代表で私にしておきますね」
「和、やっぱ個人的にお前さんの紋をつけてくれよい」
「ごめんね、フーが嫌がることはしたくないんだ」
「諦めの悪ぃ鳥だな」
睨み合う二人を見上げていると、フジミヤ達がやって来たので宴の準備をしようと止めに入った。
宴では余興としてブラックマリア達が三味線や琴で音楽を奏でていたのだが、それに気がついた至が嬉しそうに寄っていき、一緒に演奏を始めた。
「ウーター!!」
「ウタちゃんも一緒に演奏する?」
「ウタ!」
「演奏とかできるの?」
「ウタちゃんって作曲もできるんですよ!」
以前和が仲間にした生きているぬいぐるみを手に抱え、作曲ができるくらい楽器も弾けたのかと琴や三味線を貸し出して宴を盛り上げた。
宴が終わった後は、皆がそこら辺で酔いつぶれて寝てしまったのだが、みのり屋のメンバーはテントを出して自室で休んでいた。
そして、次の日。
収穫祭で使う様になった岩場の入り江で、軽くて薄い、白い服を着て水遊びをしている九人。
「キャーッ」
「冷たーい!」
「結構綺麗だねぇ!」
九人の女性が、キャッキャッと水をかけあいながらはしゃいでいる。
「しょっぱい!」
「うちの湖とはやっぱり違うねぇ~」
キラキラと太陽に照らされて輝く水しぶき。高い笑い声が響く入り江。
「え、何?天国?」
「ここ天国なの?」
四皇と恐れられる海賊の拠点だよなここと、白ひげのクルーたちが辺りを見回す。振り返れば禍々しい建物と二本の巨木が見えたので鬼ヶ島で間違いないと思い、また入り江へ顔を戻せばそこでは天女たちが楽しそうに遊んでいる。
酔いつぶれて寝ていたら楽しそうな声がして、その声を辿った先にはそれぞれ特徴的な美しい女性が水浴びをしているのだからそう思っても無理はない。
「ここで踊ったら全部に行き渡ったりするかな?」
「海は繋がっているんだし、大丈夫じゃないかしら」
笑った至が、沖へと歩き出す。
しかし、沈んで姿が見えなくなることはなかった。まるで地面を歩くように水面を進んでいくからだ。
「神様 どうか どうか 声を聞かせて ほんのちょっとでいいから もう二度と離れないように あなたと二人 あの星座のように 結んで欲しくて」
水面を滑るように舞いながら、歌う。キラキラと太陽の反射で輝いていた水面が更に輝きを増していき、至を中心に光が広がっていく。
「解れた袖の糸を引っぱって ふっと星座を作ってみたんだ お互いの指を星として それは酷くでたらめで 僕ら笑いあえたんだ そこにあなたがいてくれたなら それでいいんだ」
今なら どんな どんな 困難でさえも 愛して見せられるのに
「神様 どうか どうか 声を聞かせて ほんのちょっとでいいから」
それだけで、終わりが来るかも分からないこの人生を楽しめる。
目の前で広がるのは、この世のものとは思えない美しい光景。光が溢れて体を包み、海を包み、世界を包みこんでいく。眼を閉じる事も出来ず、ただ全身でその祝福を浴びていた。
以前の宴で、電話越しに至が歌った時にいなかった新入りの魔族たちが、黒い炎を上げて覚醒していく。
「あーあ、まぁ、しかたねぇわな」
「こんなもん見せられたらねい」
”神様”が全てお膳立てしてくれたこの宴に、用意された席に座ったと自覚を持ってしまったのだからと笑う。
『神様 どうか どうか 声を聞かせて ほんのちょっとでいいから』
願って願って、いったいどれだけの時が経ったのか。
やはり、あなたと一緒に生きるのはこんなにも幸せで仕方がない。