付き合うまで
おなまえは?
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「 ねぇ、〇〇ちゃん、これ、もらってくれるかしら」
常連客のお客さんからもらったのは、2枚のチケット。誕生日ケーキを焼いてほしいと先日頼まれ、お孫さんの大好きなアップルパイを焼いてお渡ししたんだけど。正規の代金とは別に渡されたのは、ペンギンの絵がプリントされた水族館のチケットだった。一度はお断りしたが、この間のお菓子を渡していた男の子と一緒に行ってきたらどうかしら。と笑顔で言われて、保科さんの顔が浮かんだ。お客さんは私の顔を見て、あらあら、と声を出す。ぜひ、楽しんできてね。そう言ってお客さんは帰ってしまった。どうしたものか。保科さんの連絡先はしらないし、次にいつくるかもわからない。お店を気に入ってくれているみたいだから、来ないということはないだろうけど…。そもそも私が誘って、一緒に出かけてくれるだろうか。そんなことを考えているうちに数日が経った。
そして今日。久しぶりに保科さんが来店した。ちらり、と横目で見ると、カウンターの席で本を読みながらコーヒーを飲んでいる。
レジスター近くに隠してあるチケットを撫でては、どうしようか…と悩んでいると
「そんなにチラチラみて、どないしたんですか」
「あ…すみません」
見ていたのが保科さんにばれていた。気恥ずかしくなって顔が熱くなる。保科さんを見れば、本を読む手を止めてこちらを見ていた。せっかく話しかけてもらったのだから、いま、言ってしまった方がいいかもしれない。そう思い、手に触れていたチケットをそっと掴んで保科さんに近づいた。
「実は、その、お客様からチケットをいただきまして」
「チケット?」
「はい。水族館のチケットなんですが、2枚あって。せっかくなので、保科さんがよければお誘い、したいなって、思ったんですが」
直球すぎただろうか。一緒には、ちょっと…。とか言われて断られたら、しょげてしまう。手に持っていたチケットを保科さんに見せるように、テーブルに置くと、保科さんはそのチケットを手に取って、裏表、と眺めている。
「〇〇さん、仕事休みって、月曜のみですよね」
「はい。定休日が月曜日です」
「ほな、来月なら、まだシフト組んでる最中なんで予定合わせられそうやから、来月でええですか」
「そうですよね、仕事の都合が……ん?」
「来月の、そうやな。第一週の月曜。緊急の討伐が入らんかったら、その日にしましょか」
「え、いや、えっと、いいんですか?」
保科さんは何事もないように予定を決めてしまったが、私と2人なんていいんだろうか。何が?という顔をしている保科さんがさらに口を開く。
「〇〇さんから誘ってもらえて、光栄です。僕に声かけてもらって、ほんまよかった」
にこ、と笑う保科さんに、さっきとは違う頬の熱さを感じて、隠すように頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございます…と」
「ど、どうしました?」
「万が一、予定合わせられなかったら日程変更できるよう、連絡先聞いていいですか?」
保科さんはポケットからスマホを取り出して、メッセージアプリを開くと、私に見えるようにアカウントを見せてきた。私も自分のスマホを取り出し、早速交換する。
「ほな、なんかあったら連絡します」
スマホ握りしめて、保科さんは嬉しそうに笑った。
初デート
(連絡先もゲットできたし、初デートやんか。しかも誘ってもらえるなんて、予想外やん)
(ど、どうしよう、何着て行こう)
常連客のお客さんからもらったのは、2枚のチケット。誕生日ケーキを焼いてほしいと先日頼まれ、お孫さんの大好きなアップルパイを焼いてお渡ししたんだけど。正規の代金とは別に渡されたのは、ペンギンの絵がプリントされた水族館のチケットだった。一度はお断りしたが、この間のお菓子を渡していた男の子と一緒に行ってきたらどうかしら。と笑顔で言われて、保科さんの顔が浮かんだ。お客さんは私の顔を見て、あらあら、と声を出す。ぜひ、楽しんできてね。そう言ってお客さんは帰ってしまった。どうしたものか。保科さんの連絡先はしらないし、次にいつくるかもわからない。お店を気に入ってくれているみたいだから、来ないということはないだろうけど…。そもそも私が誘って、一緒に出かけてくれるだろうか。そんなことを考えているうちに数日が経った。
そして今日。久しぶりに保科さんが来店した。ちらり、と横目で見ると、カウンターの席で本を読みながらコーヒーを飲んでいる。
レジスター近くに隠してあるチケットを撫でては、どうしようか…と悩んでいると
「そんなにチラチラみて、どないしたんですか」
「あ…すみません」
見ていたのが保科さんにばれていた。気恥ずかしくなって顔が熱くなる。保科さんを見れば、本を読む手を止めてこちらを見ていた。せっかく話しかけてもらったのだから、いま、言ってしまった方がいいかもしれない。そう思い、手に触れていたチケットをそっと掴んで保科さんに近づいた。
「実は、その、お客様からチケットをいただきまして」
「チケット?」
「はい。水族館のチケットなんですが、2枚あって。せっかくなので、保科さんがよければお誘い、したいなって、思ったんですが」
直球すぎただろうか。一緒には、ちょっと…。とか言われて断られたら、しょげてしまう。手に持っていたチケットを保科さんに見せるように、テーブルに置くと、保科さんはそのチケットを手に取って、裏表、と眺めている。
「〇〇さん、仕事休みって、月曜のみですよね」
「はい。定休日が月曜日です」
「ほな、来月なら、まだシフト組んでる最中なんで予定合わせられそうやから、来月でええですか」
「そうですよね、仕事の都合が……ん?」
「来月の、そうやな。第一週の月曜。緊急の討伐が入らんかったら、その日にしましょか」
「え、いや、えっと、いいんですか?」
保科さんは何事もないように予定を決めてしまったが、私と2人なんていいんだろうか。何が?という顔をしている保科さんがさらに口を開く。
「〇〇さんから誘ってもらえて、光栄です。僕に声かけてもらって、ほんまよかった」
にこ、と笑う保科さんに、さっきとは違う頬の熱さを感じて、隠すように頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございます…と」
「ど、どうしました?」
「万が一、予定合わせられなかったら日程変更できるよう、連絡先聞いていいですか?」
保科さんはポケットからスマホを取り出して、メッセージアプリを開くと、私に見えるようにアカウントを見せてきた。私も自分のスマホを取り出し、早速交換する。
「ほな、なんかあったら連絡します」
スマホ握りしめて、保科さんは嬉しそうに笑った。
初デート
(連絡先もゲットできたし、初デートやんか。しかも誘ってもらえるなんて、予想外やん)
(ど、どうしよう、何着て行こう)