ゆめびとかのじょ
名前変更 & 説明
せつめい◆夢主基本スペック(田の脳内夢主像)
sex:♀
age:22才~
position:社会人
・トリップ
・夢主が可哀想な目にあうかも
・時折行き当たりばったり
・お相手未定
・読み手≠主人公
苦手なお方はそっとお戻りください。
田は、単行本派なので原作の流れ・キャラの把握は遅めです。
ご了承お願いします。
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ずきずき
ずきずき
経験したことのない燃えるような激痛が襲う。腕が凍るなんて、そんなこと、あり得ないのに。
カタカタ震えるもう一方の手が、ひんやりとした温度を伝える腕に触れる。
「あ、あ……!?」
ただどうしてか、頭の片隅では嫌に冷静で。
口から出るのは意味のなさない言葉だけ。酸素を吐く音が大きく響き耳障りで。
あまりの痛みに座っていることも出来ず、地面に頭をつけるような体勢で蹲り、動かない腕を庇いながら襲い来る痛みに喘ぎ泣きじゃくる私は、恐らく今、一番滑稽でみっともない姿だ。
「なぁナマエちゃんよ」
ざりり、と凍りかけている土を踏む音と、氷のように冷たい声が頭上から降ってくる。
びくりと勝手に震える体は、この痛みを与えたのは彼だというのを理解してしまったから。無意識のうちに、本能的に、私の体は自分の身を守るような反応を示してしまう。
「おれもアンタみたいなおねーちゃんに、こんなヒドいことしたくないのよ」
これが、夢だと思うかい? と再び彼は問うてくる。
夢…………そうだ、夢だ。
これは夢のはずなのだ。
こんな痛み、なんてことない。
腕だっていきなり凍りつく訳がない。
彼に対する恐怖も憤怒も困惑も、
全て夢のはなし。
泣きじゃくりすぎて、ままならない呼吸で考えつく思考は白く霞がかかり、ここが私の夢の世界だと、そうであると主張する。
しかし、ああ、もう、気が付いてしまった。
腕の痛みが、私の頭の中を嫌でもクリアにして、この世界が、目の前の彼が、決してここは夢の世界ではないのだと、警鐘を鳴らす。
なぜどうして、と何度も自分に問い掛けるけど、答えは返ってくるはずもなく、受け入れがたい現実が、この世界が今の私の現実なのだと、痛感せざるをえない。
今度は腕の痛みとは違う涙が止まらなかった。
私は、知らない世界に迷い込んでしまった。
原因は?
帰り方は?
元の世界での私という存在は?
そして、これから、私を知る者など居ないこの世界で、一人で生きていかなければいけない。
次々溢れ出す不安と見えない恐怖、辛すぎる現実が、一気に襲ってくるような感覚に、混乱状態の私は涙の止め方を忘れてしまった。
「わ、わたしはっ……!」
それでも、何か言わなければ。
この世界の住人の、私が作り出した幻などではない、彼に。
正真正銘、生きている彼に、青雉さんに私の真実を伝えなければ。
そうしなければきっと私は、この不思議な力で殺されてしまうと、そんな一種の脅迫観念にかられながら、必死に使いものにならない口を開く。
痛みに叫びすぎた喉はひりついて、声を出すのも億劫だ。
先ほどから青雉さんが言っている、能力というのが、いきなり私の腕が凍った事とも関わっていたのなら、恐らくこれは、青雉さんの「能力」なのだろう。
右手が白く凍り、吐き出す息が白いのは青雉さんも私と同じ状況。
しかし、本人は驚くこともなく至って冷静で、痛みを耐えているようでもない。青雉さんの右手からは徐々に凍った部分が後退していっているのが、変に冷静な頭で観察出来た。
「っ……私はこの、世界の住人じゃ、ない、です……!」
ずっと同じ体勢だった体を起こし、腕を庇いながらではあるが、未だに私を見下ろす青雉さんと視線を交わす。といっても涙が止まらない私の視界は常にぼやけていて、青雉さんが今どのような表情をしているのか、分からない。
逆に、それが私を安心させた。見えないことによって、私はまるで、何かの幻に話しかけているかのような錯覚にとらわれる。
違う、青雉さんは生きている、と頭の中では分かっているのだ。自分のその頑固な情けない考えに、内心思わず自嘲がこぼれた。
「ここが、夢じゃないことも、わかりました。あ、青雉さんも、広場の人たちも、みんな生きているんだって、夢の、住人じゃないんだって……わかりました」
震える手のひらが、ぐちゃりと土を握り込んだことを伝える。徐々に呼吸も落ち着いてきたが、それでも考えがまとまる訳でもない。
「でも、私は……! この世界の、人間じゃ、ないんです。いきなりうでが凍ったり、私が海にういてたり、分かりません分からないです。だって……だって、わたしは家、にかえってきて、そのまま……ベッドに寝ころんで……」
寝ていただけなのに。
その言葉を最後に、私は思考を深い闇へ飛ばした。
最後に感じたのは、ぐらりと体が傾く感覚と、何かに体が当たる感覚。でもそれがなんだったのか確かめようにも、もう体は動かない。
ああ、これで夢から覚めることができる、と密かに諦めきれない意地汚い思いを抱きながら、私の意識はぷつりと途絶えた。
(彼女の口元には小さな小さな微笑み)