ゆめびとかのじょ
名前変更 & 説明
せつめい◆夢主基本スペック(田の脳内夢主像)
sex:♀
age:22才~
position:社会人
・トリップ
・夢主が可哀想な目にあうかも
・時折行き当たりばったり
・お相手未定
・読み手≠主人公
苦手なお方はそっとお戻りください。
田は、単行本派なので原作の流れ・キャラの把握は遅めです。
ご了承お願いします。
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ぐすぐす
ぐすぐす
私の鼻を啜る音が辺りに響く。
あの後、取り敢えず何も怖いことは起こらないのだと理解した瞬間、安堵やら情けなさと恥ずかしさで、しばらく涙が止まらなかった。
その間もアフロの男性は、マイペースにも自己紹介してきたり(青雉かクザンと呼んでくれと言われた)、ここにはたまに昼寝に来ることなどを話してくれた。
私を覗き込んでいたのも、先客がいるのは珍しいということで、観察するに至ったとのことだが……。知らない人にまじまじと寝顔に近いものを見られるのは勘弁願いたい。
「で、泣き止んだか?」
「ずずっ、はい……なんだか申し訳ありません……」
顔を上げる事が出来ず涙と鼻水を拭うフリをして下を向いたまま答える。ちなみに青雉さんは、木を背にした私の目の前にあぐらで座り込んでいる。私が顔を上げないことにはお互いの視線は交わらない。
「おれが怖がらせたようなモンだしな。おじょーちゃんが謝ることじゃねぇさ」
そう言われると、私としてはなんとも言えなくなる。だって本当にその通りですし。
「それで、名前を教えちゃくれねぇか」
「あ、申し遅れました。ナマエ、と申します」
「ふむ、ナマエ…………ナマエねぇ……」
名を告げれば、私の名前を反駁しながら青雉さんは顎に手を当てながら何か考え始める。
あまり連呼されると、なんだかむず痒い気持ちになる。
青雉さんが何か考えてる間、少し落ち着きを取り戻すことに努める。相変わらず、見知らぬ相手とマンツーマンで会話している状況に慣れない。例えそれが夢の住人であろうと、私のチキンハートはなかなか静かにしてくれない。小心者と笑ってくれて良い。
聞こえるのは波の音と街の喧騒。感じるのは風と木々のざわめき。うん、大丈夫。落ち着ける。
袖口で涙を拭い、火照った顔をパタパタ扇ぎながら青雉さんに目線を向ける。
「能力者って感じもしねぇしなぁ……」
ぼそりと、小さな声で呟かれた言葉に私は首を傾げた。青雉さんは私を見据えてガリガリと頭を掻く。
能力者。
恐らく、私に向けて放たれた単語だが、意味が分からない。能力なんて、そんな突出したような素晴らしいものは残念ながら持ち合わせていない。自分で言うのもなんだが、平々凡々の人間だ。
敢えて言うのであれば、夢の中だから何だって出来る、はず、なのだが、立て続けに起こる制御不能な事実に、自信の柱が折れかけている。
「まあいいや、ナマエちゃん」
「は、はい?」
頭を掻く手を止めて、ずびしっと私を指差す青雉さんは真面目な顔で話を続ける。
「めんどくせぇから簡単に聞くけど、アンタさっき海に浮いてたろ」
「え、はい。浮いてましたけど……」
「…………」
「……?」
素直に答えれば沈黙で返される。
しかしそれも一瞬で、更に青雉さんは問いを重ねてくる。
「あれは何の能力だ? アンタみたいな一般人が、海の上を自由に浮きながら歩き回るなんて普通あり得ねぇだろ。悪魔の実を口にした奴らは例外なく海に嫌われてんだからな、リスクが高すぎる。それとも、それとは別の何か仕掛けでもあるのか?」
矢継ぎ早に問われ、その鋭い語気に、ぴりっと空気が変わった気がした。
それだけじゃなくて、青雉さんの、オーラ……雰囲気が先ほどまでの慰めてくれていたものとはまるで違うように感じる。なんだか取り調べのようだ。
(と、いうか……何を言ってるんだ夢の住人)
はっきり言ってちんぷんかんぷんである。
能力? 海に嫌われた? あくまのみ?
日常生活で馴染みのない単語をつらつらと並べ、私に何を聞きたいんだ。いや、大丈夫だろうか、私の頭。
理解不能な事ばかり続く状況に、流石に自分の夢でも、自分の夢だからこそ嫌気がうっすらさしてきた私は青雉さんを見据えて、衝動に任せて口を開く。
「青雉さんの仰っている事が、私には理解できません。仕掛けも何も海の上を浮いていたのは、これが私の夢だからです。この世界は全て私の夢ですよね。別に生まれもっての能力でもないですし、その、海に嫌われたとか、あくまのみ、とやらもよく分かりません。初耳です」
お役に立てず申し訳ありません、と頭を下げる。
半ばヤケクソ気味だ。夢の住人に、これは夢だと、あなたは私の深層心理が作り出した像だと告げる。どんな反応が返ってくるのだろう。ゲームのバグのように話が通じなくなるだろうか、それとも笑い飛ばされるだろうか、はたまた、夢から覚めるだろうか。
しかし、待てども待てども変化が訪れない。私が一番望んだ、夢から覚めるといった現象も起きそうにない。
耐えきれず、ちらりと青雉さんを伺う。
そこには、少しの怒りを含んだような、苦い表情の青雉さんが。
なぜ、彼がそんな顔をするのだろう。
あなたは、私の夢の、一部でしょう。
「あ、の……」
「ナマエちゃん」
耐えきれず声をかければ、それを遮るようにして青雉さんが私を呼ぶ。
しかし、彼が私を呼んだ声があまりにも冷たく聞こえて、思わず反応が遅れた。
「これでも、まだ夢だと思うの?」
え、と呟いた私の吐き出した息が、まるで冬の朝のように白かったこと。
そして、いつの間にか彼に掴まれていた片腕が、白く凍りついていたこと。
それらが頭の中で結びついた瞬間、言い表せない激痛が容赦なく私を襲った。
(何も知ろうとしない哀れな彼女への罰)