蝶と現代人
夢主 名前変更
せつめい◆夢主基本スペック(田の中での夢主ってだけ)
sex:♀
age:22才~
position:社会人
character:面倒くさがり
・逆トリップ
・読み手≠主人公
・ジャンル迷子
苦手なお方はそっとお戻りください。
ゲームは幸村伝までプレイ済み。
ご了承お願いします。
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「戦国、ねぇ」
「平成、なぁ」
全く意味が分からんと、同時に頭を抱える。
取り敢えずこうなるに至った経緯を話してもらえば、どうにかなるんじゃないかと思ったのだが。
「というかまず、住んでる世界が違うってことですよね」
「左様。ぬしの世界の歴史と、われの世界の歴史との辻褄が合わぬ」
「うーん、めんどくさいことになったなあ」
「……ひ、正直な女よ」
パラレルワールドというものが存在していたということをこの包帯男、大谷吉継さん、が証明する貴重な人物だとして、私には全く関係ないことである。
大谷さんの話を全て信じた訳ではない。名前からして怪しすぎるし。太閤、豊臣秀吉ってそこまで体大きくなかったし。話だけ聞いてゴリラを想像してしまった私は悪くない。
「考えても仕方ありません」
「何かいい策が浮かんだか?」
「今すぐ出て行ってください」
びっと玄関を指差し告げる。
空き巣でないなら、この際どうでもいい。この一件は無かったことにして私は明日に生きる。
「……やれ、話を聞いておらなんだか」
「なにがですか」
「われは最初に言ったであろ。吹き飛ばされたと」
「…………あ」
「ぬしの頭は飾りか」
さらっと馬鹿扱いされたのは置いとこう。悔しいけど。
そうなのだ。大谷さんが目を覚ました時には リビングに居て、忍の気配もしないから(そんなもん我が家にいてたまるか)、さっさと出て行こうと思って、家の中で一番大きい扉である玄関に近づいたら
吹っ飛んだと。
「お陰で移動もままならなくなってしまった。アレは結界か?」
「いやいやいや、私の家はごく普通の家ですし、結界とか確実に無縁ですし、てか吹き飛ばされたってことは……」
我が家の構造として、玄関から直線上にリビングが位置している。大谷さんは後ろ向きに飛ばされて頭を強打して気絶していたと。
「つまりドア壊したのあんたかっ!」
「不可抗力よ。われとて突然のことで判断が遅れた故な」
最もではあるが、原因は大谷さんだ。
追求しようとしたらうるさいとばかりに睨まれたので仕方なく黙る。包帯の間から覗く目はマジだ。やられる。私が家主なのに。
「もー……取り敢えず木屑危ないから掃除機かけるんでソファに座っててください」
ラグに正座していた足を解き、玄関へ向かう。未だに持っていた、武器代わりの傘を置くついでに掃除機を用意して、リビングに戻る。
そこには先程と変わらない定位置に大谷さんが座っていた。あれ、ソファにって言ったよね。
「大谷さん、あの、ソファに……」
「……」
「……あ、ソファってのは大谷さんの後ろにある長い椅子です」
「(ちら)……」
戦国時代にソファなんて無かったかと言い換えれば、後ろをちらりと見やるだけでなお動こうとしない。
なんなんだ。
「……けぬ」
「はい?」
「吹き飛ばされた時に輿も壊れた。故にわれは動けぬ」
移動がままならぬと言ったであろ。と早口にそう告げ目を閉じてしまう。
輿がないから動けない、ということだが、輿という物は通常誰かに担いでもらって移動するものではないのか。
だが大谷さんの様子から、ここに他に誰かがいる訳でも、手伝ってもらって移動していた訳でもないようだ。車椅子みたいな形の輿だったのだろうか。取り敢えず謎だ。
しかしその輿が大破し動けないなら仕方ない。
「ちょっと失礼します、よっ!と」
「っ!」
「重……やっぱり男の人ですね。筋肉の塊って感じ。見えないけど実はマッチョとか。その鎧?みたいなのも重そうですしね」
「ぬしは、」
「ソファ……その椅子の上居てくださいね。この大きな破片が輿ですかね? 取り敢えずそれらしいのはまとめとくんで、あとで確認してください」
後ろから大谷さんの両脇に手をかけぐいっとソファ上に引っ張り強制的に移動してもらった。
体に触れたとき一瞬震えたような気がしたけど、そりゃ後ろからいきなり脇に手突っ込まれたら、誰だって身構えるか。一応やましいことはしないという意味での声かけだったんだが、やはりきちんと言うべきだった。
ガーガーと掃除機をかけながら材質の違うでっかい木屑や破片は横に避けながら片付けていく。
直せる訳もないが、移動手段にしていた大事な輿なのだろう。元の世界に戻る時にでも家から出ていく時にでも一緒に持って行ってくれればいい。
それにしてもリビングのドアどうしよう。