蝶と現代人
夢主 名前変更
せつめい◆夢主基本スペック(田の中での夢主ってだけ)
sex:♀
age:22才~
position:社会人
character:面倒くさがり
・逆トリップ
・読み手≠主人公
・ジャンル迷子
苦手なお方はそっとお戻りください。
ゲームは幸村伝までプレイ済み。
ご了承お願いします。
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食器を片付けて、お風呂のお湯を沸かす。その間にも思考は懲りもなく大谷さんのこと。
大谷さんの主張は尊重したい。ただ、万が一なにかが起こったとき直ぐに駆けつけられる距離に自分がいないのが不安なのだ。子ども扱いするなと思われそうだけど、この世界での大谷さんは右も左も分からない子どもと同じだと思う。怖いから絶対言わない。
どうにかならないものかと考えていれば、ポケット内の携帯が振動した。画面に表示されたのは職場の番号。タイミングが良いのか悪いのか、内心ビビりながら通話ボタンをスライドさせる。
「はい、みょうじです」
「あ、お休み中に申し訳ないね」
「いえ、お疲れ様です。どうされました?」
電話の相手は上司。休日に個人携帯にかけてくるなんて滅多にないのに一体どうしたというのか。
「実はね、」
ビー ビー ビー
上司の声に被って聞こえてきた耳障りな機械音に眉をしかめる。なんだか電話越しで、後ろの方が騒がしい気がする。大声というか怒号に近いものが断片的に聞こえてくる。
「みょうじさんさ、天気予報みた?」
対照的にのほほんとした声色の上司。なぜ今その話になったのか。相手の意図が掴めず戸惑いながらも返答する。
「いや……そういえばまだ見てないですけど」
「そうなの? いやあ、こっちはすごい大雨でさ。雷もすごくてね」
職場と自宅は車で約30分前後かかる。職場で帰り際、雨に降られても、自宅に着くころには晴れ間が覗いていることもある。
今日もこっちは多少雲はあるものの天気は良かった。今もぼんやりと、欠けた月が空に浮かんでいる。
「あの、なんとなく予想がついてしまったんですけど、」
「うーん流石みょうじさん。察しがいいね」
こうして話している間も後ろで鳴り続けている機械音は、いわゆる機械の発するエラー音。
そして飛び交う怒号はシステム管理部の人たちの声。
「雷直撃して、機械止まっちゃった」
「かくかくしかじか、そういうわけで二週間ほど突発的な休暇ができました」
落雷被害は思ったよりも深刻で、本部のお偉いさん方が契約先や支部に片っ端から連絡して精鋭チームを集めて機械をいじくりまわすらしい。それの復旧には長い時間もかかるし、私や所謂下っ端連中ができることといえば、応援とか買い出しとか雑用しかないそうなのでこの際役職持ち以外は自由出勤ということに会議で決定した、と上司からの報告であった。
出勤した人にはそれなりのお手当がつくそうだが、まあ、いいか。いかなくて。上司も「みょうじさんは来なくていいよ~」と言ってた。これは決して仲間外れではない。面倒くさがりという私の性格を何よりも理解している上司からの有難い命令である。そう思うことにしとく。
「なのでこれで安心して大谷さんの傍に居られますね」
「我としてはどちらでも良い」
「投げやりになっていますね」
せめて本から目を離して会話をしてほしい。
しかし、結果としてこうして大谷さんと過ごせることになったのはやはり良かったと思う。しかも二週間。それだけあれば生活も慣れるだろうし、もしかしたらもしかしなくても、大谷さんが元の世界に戻れる何かが起こるかもしれない。
突然来たのだ、突然帰ることもあるかもしれない。怪奇現象に詳しくないので憶測だけども。
それまでは不自由がないように、できることはしようと、再度心に誓った。
「なまえ、湯呑みが軽い」
「ええ……すごい小姑感溢れる催促の仕方……」
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