蝶と現代人
夢主 名前変更
せつめい◆夢主基本スペック(田の中での夢主ってだけ)
sex:♀
age:22才~
position:社会人
character:面倒くさがり
・逆トリップ
・読み手≠主人公
・ジャンル迷子
苦手なお方はそっとお戻りください。
ゲームは幸村伝までプレイ済み。
ご了承お願いします。
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生活必需品や食料やらを買い込んで、帰宅。普段ならレジがどれだけ混もうが気にはしないが、今回は比較的空いてるレジを選んだ。速めに帰るに越したことはない。
「ただいま戻りましたー」
エコバッグを二つ上がり口に置いて、玄関の鍵を閉める。振り替えれば宙に浮く二つの珠。
「え、なん……大谷さん?」
居間にいる大谷さんに声をかけるが返答はなし。不審に思いながらも靴を脱ぎ、エコバッグを持とうとすれば掠めとる様に動いた珠にエコバッグを奪われた。あ、と思う暇も無く、そのままふよふよとエコバッグは運ばれ居間へと消えた。
(運んでくれた、のだろうか……)
居間を覗けば、出掛ける前と同じように本を読んでいる大谷さんの横顔が。エコバッグはキッチンの上に置かれ、珠は相変わらず大谷さんの周りを回っている。
「ありがとうございます」
「何、此れぐらい容易い」
「見ていないのに、よく分かりましたね。しかも器用だし」
球体がエコバッグを持つことなど到底無理だろうに、難なく運ばれていくのを見て感動を覚えた。未来の猫型ロボットのように磁力でも備わっているのだろうか。不思議だ。
「此れ等は我の手足も同然よ。常に共にある故な」
八つの珠はくるくる回りながら円形を保ちつつ、輪の中心に近付いたり離れたりを繰り返す。その間、大谷さんは一度も数珠を見ていないことから、手足同然というのも頷けた。
「大事な物なんですね」
「……大事」
「?」
エコバッグの中身を冷蔵庫や戸棚に仕分けつつ思ったことを言う。大谷さんが不思議そうな声色でそう呟くので、思わず手を止めた。
「まあ、大事、なのであろうな。彼方では、珠が無ければ我はカヨワキ賢将に過ぎぬ」
「なんか、謙遜してるのかよく分からないですね」
言い返してこない大谷さんは、珠を一つ手に持ち何やら思案顔。「大事、大事なあ」と呟き、珠を手元でくるくる回す。
そんな姿をじっと見ていれば、視線が合わさる。反らすでもなく、首をかしげれば、目を細め笑う大谷さん。
「今度、ぬしにも見せてやろ」
穏やかな声に優しい笑みを浮かべた大谷さんに、声を失った。大谷さんの笑顔を見たのは初めてではないが、こういった種類のものは記憶にない。
「楽しみに、してます」
何を見せてくれるのかは聞きそびれたけれど、それだけ言うのに精一杯だった。