蝶と現代人
夢主 名前変更
せつめい◆夢主基本スペック(田の中での夢主ってだけ)
sex:♀
age:22才~
position:社会人
character:面倒くさがり
・逆トリップ
・読み手≠主人公
・ジャンル迷子
苦手なお方はそっとお戻りください。
ゲームは幸村伝までプレイ済み。
ご了承お願いします。
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すっかり外も暗くなり、近所からは夕飯の匂いがしてくる。
我が家も夕飯の準備に取りかかろうというところで、あまり動いていない大谷さんから、自分の分は軽めの物でいいとの要望があった。適当につまめる物でも作って、自由に食べてもらうことにでもしよう。
先ほどまで殺されかけた相手と一緒に、ご飯を食べるなんて状況、考えたことなかった。未遂ですんだから良かったものの。自分の図太さに改めて気づかされた。
夕飯後、食器を洗ってる際に、ふと思いついたことを大谷さんに問い掛ける。
「寝る時ってその甲冑外すんですか?」
テレビを見つつ緑茶を啜る大谷さんは、未だに重いはずの甲冑を付けたままくつろいでいる。 余程のことが無い限りずっと身に付けているものなのだろうか。
昔の武将のことなど知らないから、普段着といった物がどういう形なのかも分からない。 しかし流石に甲冑は外すだろうなあ、と考えていたのだが埒が明かないので本人に聞いてみることにした。
「勿論よ。此の様なもの付けたままでは寝にくくてかなわぬわ」
「ですよね。そしたら寝る時って楽な格好ですよね。良ければ服貸しますよ」
「ふむ……」
そのまま考え込み喋らなくなった大谷さんに、取り敢えず甲冑やらなんやら、余計な装飾品を外しといてもらうように告げて、手を拭き、二階で長袖のTシャツとスウェットを何着か見繕う。
持って降りる頃には大谷さんがのそのそと甲冑を外していた最中だった。一人で着られるものではないと聞いたことがある甲冑だけど、大谷さんの手つきを見る限り、そのような感じはしない。私の世界の甲冑と仕組みが違うのだろうと勝手に納得。
「はい、万歳してください」
「っ、やれ、も少し優しく出来ぬのか」
まるで大谷さんが着せ替え人形みたいだ、とは言えず、ちゃっちゃと服を着せていく。笑いを堪えながらやっていたので、思いのほか力が入ってしまったようで、雑と怒られた。すいません。
洋服の着方を教えつつ、サイズの確認もする。
「どうですか」
「何やら軽すぎて落ち着かぬな……それにちと首が苦しい」
「やっぱり上はサイズ合わないか。下はどうです? 腰周りとか調整すれば……」
「いや、問題無い」
結論、シャツだけ買いに行こう。
服を着せながら、不可抗力ではあれど触れた体は、いい感じに筋肉が付いていて男の人なら憧れるような肉付きをしていた。なのに腰は引き締まっていて、多分私より細いと思う。羨ましい体ですこと!
「ちょっとこれから買い物行ってきます。上はさっき着せたのと逆の動きで脱いでもらって、代わりにこれでも羽織っといてください。脱いだやつは置いといてくれていいんで」
渡したのはカーディガン。肩からかけてれば甲冑がない包帯丸出しよりかはマシかな的判断である。
「なまえ、われが着た物は穢れてる故捨てよ」
「は? 何言ってるんですか、嫌ですよ勿体無い。それに洗えば問題ないです。てかちょっとしか着てないんだから今日私の寝間着にしますし」
おぼつかない手付きでTシャツを脱ぎつつこれは捨てろという大谷さん。
そんなことをわざわざ言うということは恐らく、何か大谷さん自身に心当たり的なものがあるからなんだろう。
なんとなく、あの包帯が関係してるのだろうとは考えた。しかし大谷さんが自分から言ってこない以上、私から踏み込む気はない。触れてほしくないことかもしれないし、そこまで気の置けない仲でもないしで、なんだかんだでめんどくさい。
「まあ大谷さんが嫌なら着なくてもいいですけど」
「……」
と言いつつカーディガンをかける。
微妙に睨まれてはいるが素知らぬ顔でごまかす。
風邪をひくような時期ではないが、異世界人の大谷さんにはこちらの世界の気候がどんな影響を及ぼすかは分からない。下手に風邪を拗らせられたら看病する私が困る。保険効かないんだから。
「言いたいことはあると思うんですけど、後で聞くので、取り敢えず買い物行ってきます」
「……気をつけよ」
「うーい。あ、暇でしたらそこの本棚漁って読んでいいんで。じゃ、行ってきます」
テレビ横の小さな本棚を指せば、早速手を伸ばす大谷さんを後目にリビングを後にする。納得のいかなそうな態度でありながらも、こちらを気にかける様な言葉が出るあたり、大人だなと思う。意外といい人だな。
しかし、本を勧めたはいいが、果たして現代の字は読めるのだろうか。