11番くんのヒミツ
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「おう!おれも好きだ!!」
………………ビックリした~~~!!一瞬脈が止まりかけたぜ。LOVEと勘違いする所だった危ねえ。
しかし、なんでわざわざ二人きりになってまでンな事を?友愛でも嬉しいけどさ。
「紙間は俺が言ってる好きを友人としてだと思ってるけど、そうじゃない。恋愛の方だ」
「…………………………Σヴァッ!!??」
障子は心でも読めるのか!?
……って、え???レンアイ?れんあい?RE☆N☆A☆I?
「れれれレンアイってえるおーぶいいーと書いてLOVEと読むあの恋愛?」
「ああ。俺は紙間をそういう意味で好きだ」
……ちょっと待て。今、思い返してみたら入院中されたキスはそういう事だったのか?友人同士ふざけてやる人はいるかもしれないけど、確かに言われてみりゃ障子はそういうタイプじゃないもんな。
更に思い返してみたら、誕生日やホワイトデーのプレゼントも個人的にやり取りしてたな。あれも恋愛的な意味が含まれていたのか?
「……おれって実は鈍かったりする?」
「恋愛面だけに関してはそうだな」
「ンヴッ!!!」
麗日の気持ちに一向気付かない緑谷にやれやれなんて言ってる場合じゃねえな。おれも緑谷と同等だったのか…。
「皆のいる前でする話じゃないし、電話やメッセージも考えたが俺が紙間の顔を見て直接言いたかったんだ。今更だけど入院中にあんな事した挙げ句、何の説明もないまま今日まですまなかった」
「……あ、いや全然……気にし……んん……まぁ、ビックリはしたけど……ええ……そうか……そうなんだ……」
この三ヶ月でキスの事に触れなかったのは単純に忙しかったのと、タイミングがなかなか掴めなかったからだと言う。
おれもおれで障子が何も言ってこないからあまりに気にしないようにしてたしな。
障子は徐に一枚の小さな紙を取り出し、それをおれに渡す。なんでも券だ。
「これで忘れてほしい」
「わすれてほしいとは」
意図が掴めず思わずおうむ返しになった。
「入院中の出来事だ。分かってる。簡単に割りきれない事は。あの時は気付いたら触れたくなっていた。頬だけじゃない。色んな所に触れたいし、抱きたいと思ってる。友人としてじゃなく恋人として」
とんでも発言におれはびっくりしてぽかんと口が開き、沸騰しそうになる。
「抱っ……触っ……!」
障子は構わずに続ける。
「だが、あんな事したにも拘わらず紙間は何も変わらずに俺と話してくれてた」
「あー……それはだな……」
避けるとあからさまだし、できるだけ意識しないようにしてたんだよ。
でもそうか。お互いに気を使って何事もなかったかのようにしてたのが、すれ違い勘違いを生み出してたのか。
とは、いえどう伝えればいいのか。こういうのって初めてだから正解が分からん。
障子は無口で言葉足らずな所あるけど、おれは喋りすぎて肝心な所が上手く伝わらない。
正反対だけど意外な所が似てたりするのか?
「だからもう一度やり直させてほしい。これからは俺を見てくれ。友達としてじゃなく、一人の男として」
そうこうしてるうちに駅に着いてしまった。
障子からバッグを受けとる。もう片手にはなんでも券が。それを受け取ったらおれはきっと忘れなければならないだろう。
「すまん。それは受け取れない。なんでもって言っておきながらそれは叶えられないんだ」
「そうか。そうだよな。俺の方こそ無茶を言った」
「許す代わりと言っちゃなんだけど目を瞑ってほしい。複製腕で見るのもダメだ。3秒。何があっても開けないでくれ」
わかったと障子が目を閉じた次の瞬間――
襟をぐいと引き寄せて、おもいっきり背伸びをし、それをマスク越しのほっぺたに押し当てた。
「え」
――障子が目を開けた時には伊織はいなく、いつの間にか改札機の向こう側にいた。
「え……い、今……何を」
「さあ?なんだろうな」
改札越しに伊織はイタズラな笑みを浮かべてこう答えた。
「ヒ・ミ・ツ!」
11番くんのヒミツ【完】