11番くんのヒミツ
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それからというものの、色んな事があった。
青山の送別会では好きなチーズを使った料理が振る舞われた。
耳郎がギターを弾いてエリちゃんが歌い、途中からはノリノリダンスを御披露目。上手だし可愛かった。
送別会のたけなわに緑谷が花束とアルバムを渡す。受け取った青山は「ありがとう」と笑顔を見せるがすぐにボロボロと泣き出した。緑谷も泣いた。おれも泣いた。皆も泣いた。
翌朝。迎えに来た公安の車に乗り込んで行く青山をA組全員で
「またね」
「元気でね」
「向こうでもきらめけよ」
「たまにでいいから連絡しろよー」
と見えなくなるまで見送った。
再建活動も少しずつではあるが進んでいってる。プロのヒーローとだけじゃなく、地域や建設会社の人達とも協力していく。その中でも麗日建設にあれ?ってなって聞いてみたら麗日の会社だった。実家、建設会社なんだ。飯田と緑谷は知ってたらしい。
「麗日って由緒正しいお嬢さまだったんだな」
「いやいやお嬢さまだなんて!そんな大それた存在やないし」
色素の抜けた髪については徐々に戻りつつあるも女子から期間限定カラーだからと髪をいじられるようになった。短いとレパートリーそんな無くないか?と思ったが楽しそうだしまぁいいか。
心操の仮免試験では合格出来るように訓練を今まで以上に力をいれ、皆でアドバイス。結果、無事に仮免獲得。その後、ヒーロー名も決まった。闇夜に紛れる催眠ヒーローかっこいいぜ!常闇が以前にも増して話しかけるのを見かけるようになった。好きだもんな常闇ああいうの。
七月を迎えた。
これまで再建活動優先で据え置きにしていた授業を再開する事になった。ヒーロー科は午前は授業、午後は作業というスケジュールに。リハビリもあるしますます忙しくなるぜ。
最近のミッドナイト先生――車椅子生活を送ってるけど歩けるようリハビリに励んでいる――がなんだか可愛いと女子が言うので確かにそんな感じがするなと思った。いつも通りのセクシーなのにやけに可愛い。聞けば最近いい感じの男性がいると答えた。真面目で穏やかな人だけど辛辣な一面もあるらしい。ちなみに食事はしてるけどまだ付き合ってはないとの事。
「あの頃の気持ちを思い出すだけじゃない……なにかに目覚めそうだわ!」
「応援してます!」
何に目覚めそうなのかわからんけど幸せならいっか。
おれも楽しいし。
ほっぺチューの理由は気になりつつも――そこはまぁ一旦向こうに置いといて――障子とはいつも通りやれてる。
とはいえ、マスクを外してる所を見ると思わず身構えるというか緊張してしまうけどなワハハ!こういうのってパリピの犬って言うんだよな。
(※パブロフの犬)
「また何かあったら聞かせてねー!」
二年になっても芦戸は相変わらずと恋バナ大好きだな。
「次の休みには帰るんだろう。肩はもういいのか」
いつものシュガーマンとヤオモモのおもてなしタイムをしていると、障子が話しかけてきた。
今日のおやつは夏にピッタリ!さっぱりつるっとフルーツゼリー(オレンジ、スイカ、マスカットの三種類)とダージリンという紅茶だ。マスカット初めて食べた。
「うん、リハビリもようやく終わったしな」
右肩を動かし、元通りをアピール。ちなみに傷痕が残るかもしれないと言われていた右肩は、二の腕にかけて2~3本の歪な線がある。触るとボコボコする。
父ちゃん元気でやってるかな。
無理してまたぎっくり腰してなけりゃいいけど。
「そうか。良かったな」
「うん。おれがいないからって寂しくなるなよー?…なんてな」
「寂しい、か。確かに」
えっ。
「かッ…かわいいだろ!なんだよもうたった1日だぞ!よし、抱きしめていいか?」
思わず抱き寄せて撫でた。両腕使えるって素晴らしい。おまえがかわいいのが悪い。
「……もう抱きしめてるだろう。あと俺はかわいくはない」
「え?何言ってんだ。――障子は可愛いよ」
おいおい、向こうでなんかガシャーンとかパリーンて音したぞ。大丈夫かドジっ子め。