残り火
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夕方になり、キリのいいところで作業を終えたおれたちはバスで雄英へ戻った。
夜。19時すぎ。寮。
夕飯を済ませ、おれらは共有スペースでのんびりと過ごす。
寮制は緩和され、生徒は自宅へ帰る事も選べるようになったけどおれはこのまま寮暮らしを選んだ。
「ヤオモモ、今日も洗うの手伝ってもらえないか?」
「ええ」
飯だけじゃなく、着替えとか風呂とか片手じゃどうしようもない時は女子の誰かに手伝ってもらってる。
服はヤオモモが脇にボタンが付いてるタイプのと、カップ付きタンクトップと前開きブラジャーを用意してくれた。本当にいつも助かるぜ。
「ヤオモモが怪我した時はおれがサポートするからな!」
「その時はお願いしますわ」
共有スペースでそんな会話を交わしていたら梅雨ちゃんが不安そうにスマホを握りしめて来た。
「梅雨ちゃん?どうした?」
「お茶子ちゃん…」
その麗日は一旦帰省をしていて今、ここにはいない。
「既読がつかないの…!」
麗日の様子がおかしい事に違和感を抱いていたのはおれと梅雨ちゃんだけじゃない。皆も、なんとなくだけどいつもと違うと思っていたみたいだ。
「……もしかして」
緑谷が思い付いたように口を開いたかと思えば玄関を飛び出して行った。
「え!!あ!おい緑谷ァどこ行くんだ!!」
「仮設寮の……トロイアがあった場所!!」
そこに麗日がいるのか分からないけどとにかく行くしかねえ。おれたちも緑谷に続いた。
雄英からトロイア跡地まで30キロ。一時間もしないうちに着いた。どこだ?夜目が効く黒影と梟折り紙に探してもらう。
「あ!!マジでいたァ!!」
「麗日ぁ!!俺らも来たぞ!」
「お茶子ちゃんのバカ!」
梅雨ちゃんが間髪入れずに抱きつく。
「言ってくれるの待ってたのよ!何でも思ったら言っていいのよ……!」
「梅雨ちゃんな、おれ等もだけどすっげー心配してたんだぞ。入院中も言ったけど、一人で抱え込むんじゃねえよ」
「梅雨ちゃん……紙間くん……ごめんね……ありがとう……皆も……」
麗日はわあわあと泣き出した。
抱えていた気持ち――トガヒミコの事――を訥々と話してくれた。おれ達はそれを黙って聞いた。
皆で麗日を囲んで慰める。
「――ブッ飛ばしてたけど、残り火大丈夫か?」
「うん」
ふいに聞こえてきた爆豪と緑谷の会話。さらっと落とした爆弾発言に全員の視線が二人に向けた。
えっ、今……なんて……残り火……ってまさか……。
「待て待て!」
「なんで言ってくんねーんだよ!」
「いつかは言おうと思ってたんだ」
緑谷の話を聞いておれらは絶句した。
『紡がれてきた力が解れる』
オールマイトが言ってたのはこの事だったのか。
「そんな……なんで……そんな大事な残り火をうちなんか探すためだけのために使わせてごめん……ごめんねデクくん…!うち……ヒミコちゃんの命だけじゃなくてデクくんの夢まで奪っちゃった」「そんな事ないよ!」
再び涙ながらに責める麗日に緑谷ははっきりと否定する。
「奪ったなんて、誰もそんな事思ってない」
「デクくん」
「なんか、なんて言わないで。これは僕がそうしたくてしたんだ。まだあるうちに見つけられて良かった」
皆、緑谷の力が消え行く事実に涙が止まらない。
「皆……ありがとう。泣かないで。僕はもう充分だよ。僕はいずれ〝無個性〟になる。卒業後はヒーローじゃなくて別の道に進むかもしれない。まだ……ヒーロー以外の将来 は浮かんでないけど、誰かに手を差しのべられるようなそんな存在になれたらいいなって思ってる」
〝個性〟が無くなっても、緑谷出久はずっと最高のヒーローだ。
夜。19時すぎ。寮。
夕飯を済ませ、おれらは共有スペースでのんびりと過ごす。
寮制は緩和され、生徒は自宅へ帰る事も選べるようになったけどおれはこのまま寮暮らしを選んだ。
「ヤオモモ、今日も洗うの手伝ってもらえないか?」
「ええ」
飯だけじゃなく、着替えとか風呂とか片手じゃどうしようもない時は女子の誰かに手伝ってもらってる。
服はヤオモモが脇にボタンが付いてるタイプのと、カップ付きタンクトップと前開きブラジャーを用意してくれた。本当にいつも助かるぜ。
「ヤオモモが怪我した時はおれがサポートするからな!」
「その時はお願いしますわ」
共有スペースでそんな会話を交わしていたら梅雨ちゃんが不安そうにスマホを握りしめて来た。
「梅雨ちゃん?どうした?」
「お茶子ちゃん…」
その麗日は一旦帰省をしていて今、ここにはいない。
「既読がつかないの…!」
麗日の様子がおかしい事に違和感を抱いていたのはおれと梅雨ちゃんだけじゃない。皆も、なんとなくだけどいつもと違うと思っていたみたいだ。
「……もしかして」
緑谷が思い付いたように口を開いたかと思えば玄関を飛び出して行った。
「え!!あ!おい緑谷ァどこ行くんだ!!」
「仮設寮の……トロイアがあった場所!!」
そこに麗日がいるのか分からないけどとにかく行くしかねえ。おれたちも緑谷に続いた。
雄英からトロイア跡地まで30キロ。一時間もしないうちに着いた。どこだ?夜目が効く黒影と梟折り紙に探してもらう。
「あ!!マジでいたァ!!」
「麗日ぁ!!俺らも来たぞ!」
「お茶子ちゃんのバカ!」
梅雨ちゃんが間髪入れずに抱きつく。
「言ってくれるの待ってたのよ!何でも思ったら言っていいのよ……!」
「梅雨ちゃんな、おれ等もだけどすっげー心配してたんだぞ。入院中も言ったけど、一人で抱え込むんじゃねえよ」
「梅雨ちゃん……紙間くん……ごめんね……ありがとう……皆も……」
麗日はわあわあと泣き出した。
抱えていた気持ち――トガヒミコの事――を訥々と話してくれた。おれ達はそれを黙って聞いた。
皆で麗日を囲んで慰める。
「――ブッ飛ばしてたけど、残り火大丈夫か?」
「うん」
ふいに聞こえてきた爆豪と緑谷の会話。さらっと落とした爆弾発言に全員の視線が二人に向けた。
えっ、今……なんて……残り火……ってまさか……。
「待て待て!」
「なんで言ってくんねーんだよ!」
「いつかは言おうと思ってたんだ」
緑谷の話を聞いておれらは絶句した。
『紡がれてきた力が解れる』
オールマイトが言ってたのはこの事だったのか。
「そんな……なんで……そんな大事な残り火をうちなんか探すためだけのために使わせてごめん……ごめんねデクくん…!うち……ヒミコちゃんの命だけじゃなくてデクくんの夢まで奪っちゃった」「そんな事ないよ!」
再び涙ながらに責める麗日に緑谷ははっきりと否定する。
「奪ったなんて、誰もそんな事思ってない」
「デクくん」
「なんか、なんて言わないで。これは僕がそうしたくてしたんだ。まだあるうちに見つけられて良かった」
皆、緑谷の力が消え行く事実に涙が止まらない。
「皆……ありがとう。泣かないで。僕はもう充分だよ。僕はいずれ〝無個性〟になる。卒業後はヒーローじゃなくて別の道に進むかもしれない。まだ……ヒーロー以外の
〝個性〟が無くなっても、緑谷出久はずっと最高のヒーローだ。
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