正体
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約30キロほど離れた山頂に建つ仮設要塞トロイアへ越した。越すといっても、この戦いの間だけの仮住まいだ。仮住まいにしては立派だ。流石は天下の雄英。仕事が早えーな。
「終の棲家にならねーといいけど」
「やめィ」
そーいうところだぞ瀬呂。
「させねーよ。孫が気軽に遊びに来なくなったらどうすんだ。今度一緒にお祭り行こうって存在しない約束してたのに」
「まず俺らの年齢で孫がいるの無理あるだろ」
「存在しないって言ってるし」
▽▼▽
荷物は着替えとお風呂歯磨きセットなどの生活必需品のみ。
ミニ神輿と一枚板テーブルなどの趣味のグッズはハイツアライアンスで留守番。無事帰ったら隅々まで磨いてやるからな。
それにしても、寮とそっくり同じ間取りだな。唯一違うのは窓から見える景色だ。ベランダに出てみれば、どこもかしこもビルヂングや住宅だった残骸が視界いっぱいと広がっていた。
その光景をただジッと見ていた。
「紙間」
Σ「おわ!?」
「悪い。驚かせるつもりはなかったんだが……ノックや呼んでも応答が無いし、ドアが少し開いてたから勝手に入らせてもらった」
「おお、そうか。気付かなくておれこそ悪い。そっちは終わっ……まぁ、そりゃそうか」
障子、ミニマリストだもんな。
(監視カメラがついてない……どうやら青山の件で容疑から外されたみたいだな)
「疑いが晴れて良かったな」
「? 何の話だ」
「なんでもない。それより紙間はさっき何してたんだ?」
「外をな、街を見てたんだ」
障子もベランダに出て、街を見やる。
「地元徳島から静岡 に来て皆と会ってまだ一年しか経ってないんだよな」
「一年にしては色々あったな」
「濃かったなー。こんなに波乱万丈な一年過ごしたの初めてだ。……当たり前ってさ、当たり前なんかじゃないんよな」
太陽の光をたっぷり浴びたふかふかの布団で眠る、温かいご飯を食べる、学校に行く、会社で働く、友達と遊ぶ、恋愛をする、家族と過ごす、犬や猫などの動物たちと触れ合う。
見たり、触れたり、食べたり、寝たり、笑ったり怒ったり。
そんな当たり前な日常を過ごせるのはすごく幸せでありがたい事だと皮肉にも気付かされた。
「……そうだな」
「おれさ、自分が生まれた時の……実母の行動が気になって」
戸井 遥子はどうしてAFOを父と呼んでいたのか。色んな推測をしてみても、やっぱり考えなんて分かるハズもなく。
「出来れば……AFO本人に色々と聞きたいとは思ってるけど、そんな甘くはねえって分かってるんだよなぁ~……」
居場所も生きてるのかさえ、未だにはぐらかされてるっぽいし。
「いやっ、な!?勿論、青山を救けたいしいつも通りを取り戻したい気持ちはあるぞ!?……だけど、いいのかなって。私的理由でAFOを探そうだなんて」
「心配だな」
「だよな……ダメだよな」
「俺が心配なのは、紙間は省みずに突っ走るからという意味だ。AFOを前にしたら我を忘れてしまいそうだ」
「ヴッ!……善処する」
仮免でも公安や先生にもそれを指摘されたし。冷静な猪突猛進になるぞおれは。
「………ん?向こうに誰かいるぞ」
「緑谷と麗日だな」
「何の話してんだろ。……あっ話といやぁ、障子おれに何か用があって来たんじゃないのか?」
「…………………………忘れた」
思わずズッ転けた。
「おまえ、しっかりしてそうに見えて意外とうっかりしてんな。まぁ、思い出したら言えよ」
「(そもそも最初から用なんて無いが)」
もう一度、今の街を見やる。しっかりと目に焼き付けて。
「おれ、この光景を何年経ってもずっと忘れないでいたい」
勝って救けて、復興して、この戦いを知る人がいない時代になっても。
「……ああ、忘れないでおこう」
一陣の風が部屋の中まで吹き抜ける。
「うおっ強いな。部屋戻ろっか」
立ち位置的に障子が窓の近くにいたので、先にあがらせる。
すると、また風が吹いた。体が押されて少しよろけて障子の背中にぶつかった。
「おっと!すまん」
「大丈夫だ。それにしても風、強いな」
あ。
「紙間?入らないのか」
そうか。そういう事か。
友達で仲間でライバルで。確かにそう思っている。だけど他に何か最もな表現があるんじゃねえかと漠然と感じていた。
そういう事かと今、それの正体がようやく判明した。
キッカケとかいつからとか、さっぱり分からない。
おれは障子の呼び掛けに一拍遅れで 「おう」 と返し、部屋に戻り窓を閉めた。
「終の棲家にならねーといいけど」
「やめィ」
そーいうところだぞ瀬呂。
「させねーよ。孫が気軽に遊びに来なくなったらどうすんだ。今度一緒にお祭り行こうって存在しない約束してたのに」
「まず俺らの年齢で孫がいるの無理あるだろ」
「存在しないって言ってるし」
▽▼▽
荷物は着替えとお風呂歯磨きセットなどの生活必需品のみ。
ミニ神輿と一枚板テーブルなどの趣味のグッズはハイツアライアンスで留守番。無事帰ったら隅々まで磨いてやるからな。
それにしても、寮とそっくり同じ間取りだな。唯一違うのは窓から見える景色だ。ベランダに出てみれば、どこもかしこもビルヂングや住宅だった残骸が視界いっぱいと広がっていた。
その光景をただジッと見ていた。
「紙間」
Σ「おわ!?」
「悪い。驚かせるつもりはなかったんだが……ノックや呼んでも応答が無いし、ドアが少し開いてたから勝手に入らせてもらった」
「おお、そうか。気付かなくておれこそ悪い。そっちは終わっ……まぁ、そりゃそうか」
障子、ミニマリストだもんな。
(監視カメラがついてない……どうやら青山の件で容疑から外されたみたいだな)
「疑いが晴れて良かったな」
「? 何の話だ」
「なんでもない。それより紙間はさっき何してたんだ?」
「外をな、街を見てたんだ」
障子もベランダに出て、街を見やる。
「地元徳島から
「一年にしては色々あったな」
「濃かったなー。こんなに波乱万丈な一年過ごしたの初めてだ。……当たり前ってさ、当たり前なんかじゃないんよな」
太陽の光をたっぷり浴びたふかふかの布団で眠る、温かいご飯を食べる、学校に行く、会社で働く、友達と遊ぶ、恋愛をする、家族と過ごす、犬や猫などの動物たちと触れ合う。
見たり、触れたり、食べたり、寝たり、笑ったり怒ったり。
そんな当たり前な日常を過ごせるのはすごく幸せでありがたい事だと皮肉にも気付かされた。
「……そうだな」
「おれさ、自分が生まれた時の……実母の行動が気になって」
戸井 遥子はどうしてAFOを父と呼んでいたのか。色んな推測をしてみても、やっぱり考えなんて分かるハズもなく。
「出来れば……AFO本人に色々と聞きたいとは思ってるけど、そんな甘くはねえって分かってるんだよなぁ~……」
居場所も生きてるのかさえ、未だにはぐらかされてるっぽいし。
「いやっ、な!?勿論、青山を救けたいしいつも通りを取り戻したい気持ちはあるぞ!?……だけど、いいのかなって。私的理由でAFOを探そうだなんて」
「心配だな」
「だよな……ダメだよな」
「俺が心配なのは、紙間は省みずに突っ走るからという意味だ。AFOを前にしたら我を忘れてしまいそうだ」
「ヴッ!……善処する」
仮免でも公安や先生にもそれを指摘されたし。冷静な猪突猛進になるぞおれは。
「………ん?向こうに誰かいるぞ」
「緑谷と麗日だな」
「何の話してんだろ。……あっ話といやぁ、障子おれに何か用があって来たんじゃないのか?」
「…………………………忘れた」
思わずズッ転けた。
「おまえ、しっかりしてそうに見えて意外とうっかりしてんな。まぁ、思い出したら言えよ」
「(そもそも最初から用なんて無いが)」
もう一度、今の街を見やる。しっかりと目に焼き付けて。
「おれ、この光景を何年経ってもずっと忘れないでいたい」
勝って救けて、復興して、この戦いを知る人がいない時代になっても。
「……ああ、忘れないでおこう」
一陣の風が部屋の中まで吹き抜ける。
「うおっ強いな。部屋戻ろっか」
立ち位置的に障子が窓の近くにいたので、先にあがらせる。
すると、また風が吹いた。体が押されて少しよろけて障子の背中にぶつかった。
「おっと!すまん」
「大丈夫だ。それにしても風、強いな」
あ。
「紙間?入らないのか」
そうか。そういう事か。
友達で仲間でライバルで。確かにそう思っている。だけど他に何か最もな表現があるんじゃねえかと漠然と感じていた。
そういう事かと今、それの正体がようやく判明した。
キッカケとかいつからとか、さっぱり分からない。
おれは障子の呼び掛けに一拍遅れで 「おう」 と返し、部屋に戻り窓を閉めた。