さらば雄英
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「障子?誰に話しかけてんの?」
上鳴が不思議そうにそっちを見てきた。
「違う……おれは……謎の人だ」
フードを深く被る。
「紙間」
まるで確信してるかのようにはっきりと呼ぶ。なんでだよ。おれ、変装してるし雨天で暗くて判りづらいのになんで気付いたんだろうなぁ。
「緑谷がいなくなったのと同時に、紙間とも連絡が完全に途絶えてしまって何かあったのではないかと心配した」
手…冷たいな。こうなるまでおれ達を捜してくれたのか。そうか、今春だっけ。季節なんて感じる余裕なんてない。
今頃だったら二年生になって、かわいい後輩が出来て先輩なんて呼ばれたりしてたハズだ。
「悪ィ…」
「芦戸が言ってた事は届かなかったのか」
『紙間は敵なんかじゃない。大丈夫だかんね』
「届いたよ。でも、おれ皆が好きなんだ。大好きで…大切で……緑谷が言ってたように雄英にはたくさんの人がいるんだろう?AFOの孫であるおれがいたら……」「違う」
遮られた。
「AFOの孫なんかじゃない。おまえは、父親思いでお祭り好きで猪突猛進な程に真っ直ぐで優しくて――雄英高校で俺達と同じヒーローを志す紙間 伊織だ。
……それに、紙間が出ていったらこれが使えなくて困る」
取り出したのは二枚の紙きれ。
これはおれが障子の誕プレにあげたなんでも券だ。
「この券は紙間がいなければただの紙きれになる。せっかくのプレゼント、最後まで使わせてくれないのか?」
一枚のなんでも券をおれに差し出す。
「戻って来い、紙間」
この券を受け取ったらおれは。
色んな考えが逡巡する。
だけどもう止めた。
というより、考えるよりも体が動いて券が乗った障子の手を掴むよりも胸に飛び込んだ。
「皆といたいよォ~~~!!」
「そうだな。紙間も緑谷も揃って1-Aだもんな」
「ずーっとおまえらに会いたくて寂しくて堪らなかったんだよおれは!」
「ああ」
「ずるいぞ!!なんでも券使われたらなんでも言う事聞いちゃうだろうがよ!」
「その為の券だろう」
雨と涙と鼻水でおれの顔はぐじゃぐじゃになっていた。
「風呂入りたい…」
「かなり冷えてるな」
「皆とご飯食べたい」
「何が食べたい」
「布団で寝たい」
「しっかり休んで回復しよう。……他には?」
帰ったらやりたい事を言いまくる。
「……皆と帰りたい」
「ああ、一緒に帰ろう。おかえり」
「ただいま」
▽▼▽
皆と戦う事を、戻る事を選んだおれと緑谷な訳だがそれを大勢の避難民が受け止めてくれるかどうかってのは話は別だ。
避難してきた人々がおれと緑谷を雄英に入れないようにバリアーを張る。
おれはともかく、ついに緑谷が狙われてる事がバレてしまった。
「少年だけじゃない!それに雄英がトラブルに見舞われるようになったのはオリガミが入学してじゃないか!」
「そうだ!オリガミはスパイだ!」
「この戦犯めが!」
「おまけに性別を偽って入学してたとはとんでもない奴だ!」
「他にも裏の顔があるだろう!」
「嘘付きは出ていけ!」
「出ていけー!!」
避難民のたくさんの不満と罵声が押し寄せてきて。折れてしまいそうな心を救ったのは麗日だった。
屋上でたくさんの避難民を前に、緑谷やおれのために戦ってくれた。たった一人で。
「ここを! 彼らの! ヒーローアカデミアでいさせてください!!」
優しくて温かい言葉に耐えきれずにとうとう泣き崩れた緑谷と再び視界が滲み始めたおれに、洸汰くんとキツネのような大きな女性が駆け寄って来た。
父ちゃんもいて 「寒かったろう」 とジャンパーを掛けてくれた。
「俺の
「そりゃきっかけは父ちゃんに言われたからだけど……それでも男として過ごすって決めたのはおれだから」
その行動に思いに感化されたのか、否定派の避難民は汚れてボロボロな風貌のおれ達を見たからか、しばらくの暇を認めてくれた。