レモンセントの約束
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入試まで残り二ヶ月切ったある日。
俊典はいつものように志村と〝個性〟トレーニングに励む。
普段から鍛えていたおかげか、パワーとそれに耐え得る身体は特に問題無しだった。だがいかんせん制御が下手だった。これからパンチする度にその凄まじい風圧であちこち更地にしまくっていたらたまったもんではない。
俊典は天才肌の感覚派なので何回か練習したらコツを掴んだ。
『今日はここまでにするか。俊典。この後予定は?』
『いえ。帰るだけです』
『なら少し時間をくれないか?大事な話があるんだ。
――ワン・フォー・オールについて』
志村は俊典にワン・フォー・オールの成り立ちと自身の過去――それとなく話した事はあったが群らかに言うのは今回が初めてである――について話した。
『何人もの人がその力を次へと託してきたんだよ。皆の為になりますようにと…一つの希望になりますようにと』
『そうだったんですか……』
『次はおまえの番だ』
俊典はずっと不思議に思っていた。〝個性〟を譲渡するなんてそんな事あり得るのか?と。
だが〝個性〟については未だに解明出来てない事が多く、そういうものもあるのかと半ば納得した。
『そしてこの力を狙っている奴がいる。敵の名はオール・フォー・ワン。奴はその力を手にいれる為にはどんな手段も選ばない。……私は夫を殺されてせめて息子だけはと、案じて手放した。
俊典。彼女は一般人で〝無個性〟だ。加えて子供が産まれたばかり』
志村は今でも夢に見る。
お別れの日、息子が泣きながら自分を呼んでいるのを。
この選択が正しかったのか分からないままである。
『お前は力を持っている。前とは違うんだ。これから彼女を側で守るか、離れて守るか。どっちにしろ決めた事なら応援する。……だがな、正直な話、私はお前にも幸せになってほしいと願ってるから。頑張ろうな俊典』
『お師匠……』
『それと、付き合うのは個人の自由だけど一線越えるのは高校卒業してからにしなさい。じゃないと犯罪者になるからな。成人である彼女が。せめてキスまでにしなさい』
『何言ってるんですか!!まだ告白すらしてませんし!!』
▽▼▽
2月下旬。ついに雄英高校受験当日を迎えた。
『大丈夫!俊ちゃんならやれば出来る。ずっと頑張ったんだから信じるんだ』
『忘れ物は無いか?受験票は持ったか?』
『はっはい……!』
『緊張してるね。よーちゃん、抱っこする?』
『はいっ』
ガッチガチの俊典を落ち着かせようと菜月は娘を渡す。
生まれたばかりの頃はおっかなびっくりだったのが、今やもうすっかり慣れた手つきで遥子を抱っこする俊典。赤ちゃん特有のもちもちふわふわに触れた事で少しばかしと落ち着きを取り戻した。
『……よーちゃん、連れて来ちゃダメですか』
『ダメに決まってんだろ』
志村がピシャリと宣う。
そのやり取りに菜月は軽く吹き出す。
『よーちゃんは無理だけどおまじないあげる。……はい』
レモンミルク飴の包み紙に【Plus Ultra】とメッセージを書いて渡す。
『風の噂で聞いたんだ。雄英の校訓だって』
貰ったおまじないを口に入れて俊典は挑んだ。
そして、見事に桜が咲いた。
▼▽▼
八木俊典、15歳。中学卒業。
『引っ越しだなんて寂しくなるなー』
俊典はこの4月から一人暮らしするために施設を出て東京から静岡にあるアパートへ引っ越しする事になった。
部屋を借りる際、契約云々に関しての保証人は志村がなってくれた。
『まぁ、たまには遊びにおいで。夏休みとかさ』
『ありがとう。でも、暫くはいいかな。……今は言えないけど、僕は平和の象徴になって、この力でやるべき事があるんだ。全部、終わるまでは帰らないって決めたんだ』
選んだのは離れる事だった。
だが、菜月を諦めた訳ではない。
いつか平和の象徴となり、AFO を討ち取るまではこの気持ちをしまって置こうと。
そして平和になったこの世界で、菜月と遥子と望むらくは第二子と手を繋いで歩く未来を。
『――菜月さん』
俊典はいつものように志村と〝個性〟トレーニングに励む。
普段から鍛えていたおかげか、パワーとそれに耐え得る身体は特に問題無しだった。だがいかんせん制御が下手だった。これからパンチする度にその凄まじい風圧であちこち更地にしまくっていたらたまったもんではない。
俊典は天才肌の感覚派なので何回か練習したらコツを掴んだ。
『今日はここまでにするか。俊典。この後予定は?』
『いえ。帰るだけです』
『なら少し時間をくれないか?大事な話があるんだ。
――ワン・フォー・オールについて』
志村は俊典にワン・フォー・オールの成り立ちと自身の過去――それとなく話した事はあったが群らかに言うのは今回が初めてである――について話した。
『何人もの人がその力を次へと託してきたんだよ。皆の為になりますようにと…一つの希望になりますようにと』
『そうだったんですか……』
『次はおまえの番だ』
俊典はずっと不思議に思っていた。〝個性〟を譲渡するなんてそんな事あり得るのか?と。
だが〝個性〟については未だに解明出来てない事が多く、そういうものもあるのかと半ば納得した。
『そしてこの力を狙っている奴がいる。敵の名はオール・フォー・ワン。奴はその力を手にいれる為にはどんな手段も選ばない。……私は夫を殺されてせめて息子だけはと、案じて手放した。
俊典。彼女は一般人で〝無個性〟だ。加えて子供が産まれたばかり』
志村は今でも夢に見る。
お別れの日、息子が泣きながら自分を呼んでいるのを。
この選択が正しかったのか分からないままである。
『お前は力を持っている。前とは違うんだ。これから彼女を側で守るか、離れて守るか。どっちにしろ決めた事なら応援する。……だがな、正直な話、私はお前にも幸せになってほしいと願ってるから。頑張ろうな俊典』
『お師匠……』
『それと、付き合うのは個人の自由だけど一線越えるのは高校卒業してからにしなさい。じゃないと犯罪者になるからな。成人である彼女が。せめてキスまでにしなさい』
『何言ってるんですか!!まだ告白すらしてませんし!!』
▽▼▽
2月下旬。ついに雄英高校受験当日を迎えた。
『大丈夫!俊ちゃんならやれば出来る。ずっと頑張ったんだから信じるんだ』
『忘れ物は無いか?受験票は持ったか?』
『はっはい……!』
『緊張してるね。よーちゃん、抱っこする?』
『はいっ』
ガッチガチの俊典を落ち着かせようと菜月は娘を渡す。
生まれたばかりの頃はおっかなびっくりだったのが、今やもうすっかり慣れた手つきで遥子を抱っこする俊典。赤ちゃん特有のもちもちふわふわに触れた事で少しばかしと落ち着きを取り戻した。
『……よーちゃん、連れて来ちゃダメですか』
『ダメに決まってんだろ』
志村がピシャリと宣う。
そのやり取りに菜月は軽く吹き出す。
『よーちゃんは無理だけどおまじないあげる。……はい』
レモンミルク飴の包み紙に【Plus Ultra】とメッセージを書いて渡す。
『風の噂で聞いたんだ。雄英の校訓だって』
貰ったおまじないを口に入れて俊典は挑んだ。
そして、見事に桜が咲いた。
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八木俊典、15歳。中学卒業。
『引っ越しだなんて寂しくなるなー』
俊典はこの4月から一人暮らしするために施設を出て東京から静岡にあるアパートへ引っ越しする事になった。
部屋を借りる際、契約云々に関しての保証人は志村がなってくれた。
『まぁ、たまには遊びにおいで。夏休みとかさ』
『ありがとう。でも、暫くはいいかな。……今は言えないけど、僕は平和の象徴になって、この力でやるべき事があるんだ。全部、終わるまでは帰らないって決めたんだ』
選んだのは離れる事だった。
だが、菜月を諦めた訳ではない。
いつか平和の象徴となり、AFO を討ち取るまではこの気持ちをしまって置こうと。
そして平和になったこの世界で、菜月と遥子と望むらくは第二子と手を繋いで歩く未来を。
『――菜月さん』