レモンセントの約束
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あれから3ヶ月。
菜月はようやく仕事が決まった。
勤め先は中小企業の建具メーカーの事務員。
更にその数ヶ月後には職場の社長の一人息子に見初められ付き合い始めた。そして可愛い後輩にも恵まれた。
世界はこんなにも優しさで満ち溢れていたのか。毎日がとても輝いて見えていた。
――と思っていた。
しかし、そんな幸せはあっけなく終わりを迎えた。
恋人が浮気をしていたのだ。
否、最初から菜月の事を利用していたのだ。
菜月の恋人――
何かいい方法はないのか。
そんな時、菜月が面接にやってきた。
会社は最初、菜月を不採用するつもりだった。雇うメリットが無い上に〝無個性〟だからだ。
そこで霞也人は閃く。
親に捨てられ、〝個性〟を持たず、挙げ句に仕事も決まらない。
天涯孤独で可哀想な人間に手を差しのべた心優しい会社はきっといいイメージアップになる。
そして、霞也人の思惑通りに世間からは
「なんて素晴らしい会社なんだ」
「今度、家を建てるんだ。是非、ドアを作ってくれ」
と依頼が舞い込むようになった。
交際を申し込んだのは菜月が転職しないように繋ぎ止めるためだ。利用できるうちはとことん利用させてもらう。
更に霞也人は菜月を慕っていた後輩のくるみとも恋人であった。つまり二股である。
『菜月のおかげでうちの会社は中小から大手へとなった。〝無個性〟さまさまだよ。礼を言うよ。ありがとう。
俺は彼女と結婚するから。これは口止め料と手切れ金。一年以上も付き合ってやったんだ。君の望む恋人らしい事だってたくさんしてあげた。寧ろ感謝してほしいよ。周りには価値観の相違が理由で円満破局って事にしてある。だから余計な事は言うなよ?』
『橘センパイごめんなさい。でも心配しないで。センパイの分まで幸せになりますから』
▽▼▽
事の仔細を聞いた俊典は憤慨した。
『許せない!あいつらの浮気を周りにバラしてやる!まずは証拠を集めて…』
『どうどう落ち着いて。そんな事したって結局揉み消されるだけだって。あっちは次期社長。私はヒラの事務員』
『……いいのかい?』
『正直、捻り潰してやろうかと思ったよ』
『ヒュッ』
思わず股間をガードする。
『でも俊ちゃんが怒ってるのを見てたらさ、どうでもよくなった』
菜月は両の頬に気合いを入れる。
『よっしゃ!!次はあんなクズったれよりもうんと優しくて一途な人をゲットするぞー!あっそうだ俊ちゃん、私と付き合わない?俊ちゃんなら浮気しなさそう』
Σ『!!??ぼ、僕でy』『あっはっはっは!!安心して。冗談だよ。さすがに中学生に手を出すほど飢えてないから』
『11歳差ァ…!』
『?』
春を迎えたら俊典は中学3年になる。
本格的に将来を考える時期だ。行きたい高校はとっくに決まっている。
『あっ、もうお昼だ。食べていく?』
『手伝うよ』
参考書、教科書、ノート、筆記具を端に寄せる。
冷蔵庫の中身を見ようと立ち上がった途端、目眩を起こす。咄嗟に俊典が支えたおかげで事なきを得た。
『だ、大丈夫?(近い)』
『うん。ありがとう。それにしても……大きくなったね』
菜月は俊典に勉強だけじゃなく、ヒーローになりたいなら筋肉をつけたらどうかとアドバイス。好きなプロレスを参考にし、俊典の身体にあったトレーニングプランを考案。
“皆が安心して笑って暮らせるような国にしたい。そのための柱になりたい”という俊典の夢を昔と変わらずに応援していた。
言われた通りにランニングをはじめ、筋トレなどを続けていくうちに俊典の身体は逞しくなり、人救けで出来る事が増えていった。更には成長期も相まってグンと背が伸びた。夏休み明けには166センチの菜月をついに抜かす。俊典は密かにガッツした。
『そうかな?』
『初めて会った時はこーんなだったのに』
『それじゃあ豆粒だよ。さすがにそこまで小さくはなかった』
『こんなに小さかった
『ハハハ、まさか。てか、なんか漢字表記おかしくない?』
『まぁ、心配しなくても大きくなっても俊ちゃんはずっと地上に舞い降りた天使だよ』
『聞き間違いじゃなかった』
後に彼は最終的に2メートル20センチになることは誰も知らない。