ヒーローズ:ライジング
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そして数日後。
次世代ヒーロー育成プロジェクトの期日満了を迎えたおれ達は公安が用意した特別輸送船に乗り込んだ。
「何も黙って帰ることなくね?」
上鳴が名残惜しそうに船のデッキから那歩島を眺める。それに芦戸が同意。
「まぁ、お別れの挨拶ぐらいしたいっつー気持ちは分かるけど…」
「復興の邪魔する訳にはいかないだろう」
おれの言葉に飯田が続ける。
大規模な修繕はおおよそ終わったが、日常生活に戻るにはまだもう少し時間がかかる。島民たちは今日も今日とて復興作業に精を出す。おれらの見送りで時間を食わせる訳にはいかねえ。
「ま、黙って立ち去るのも……」
「ヒーローっぽいか」
船は汽笛を鳴らし、ゆっくりと動きだす。
すると向こうから一台の車が。
その車が止まるや否や小さな影がふたつ降りてきて
あ、あれって。
「デク兄ちゃーん!」
「バクゴー!」
「「みんなー!!」」
真幌ちゃんと活真くんが駆けながら手を振ってくる。
「「「「「!!」」」」」
二人に気づいた皆も笑顔で手を振り返す。
「「島の人たちを守ってくれてありがとう!!」」
島乃姉弟の言葉におれ達は温かい気持ちになり、更に笑顔が深まった。
また来たいな那歩島。今度は観光で。父ちゃんも連れて。
▼▽▼
那歩島から沖縄本島まで船で。沖縄から静岡まで飛行機で。
静岡の地に降り立つと北風が骨身に染みる。
「うおっ、寒っ」
那歩島と静岡。同じ日本に同じ季節とは思えねえ。
次はバスに乗って学校まで一直線。だが、ここまで船に飛行機、更にはバス。乗り物に弱い青山はグロッキー状態。酔い止めは飲んだみたいだけど。
「青山は後部座席でよくね?広いし寝かせとけば」
「いえ、上鳴さん」
上鳴が気を使って宣うが、ヤオモモがそれを止めた。
「後部座席は最も酔いやすい席です。出入口から遠く、カーブなどの振動が伝わりやすい位置……ですから青山さんは前から4~5列目の席がよろしいかと」
と、いう訳で青山の席が決まり他は皆それぞれ好きな席へと。もしもの時にと青山の近くには保健委員の尾白が座ることにした。
「青山。吐きそうだったら言ってね」
「メルシィ…大丈夫だよ尾白くん。目映い僕は醜いものなんて吐かないさ。キラキラしたものしか出ない質なんだよね☆」
いいからさっさと横になれよ。本当にブレねえな青山。
適当な席に座るや否やあくびが出た。
ふと視線を感じると障子がこっちを見ていた。
「お、悪ィ」
手で押さえるの間に合わなかった。
「随分とでかいあくびだな」
「へへっ、そうか?なんかちょびっと恥ずかしいや」
あくびしてる時の顔ってなんか色々開いちまうから変な顔っぽくなるんだよな。
「眠いなら寝ろ。着いたら起こす」
「そいつはありがたい。障子は寝ないのか?さっき障子もしてただろ」
「俺は平気だ。さっきのは紙間のが移っただけだから」
「あ、すまん」
あくびって移るしな。
席隣だし、そりゃあ移るか。
「だが、少しだけ仮眠するとするか」
他の皆も疲れてぐっすりだ。
おれもおやすみ3秒した。
▽▼▽
「――…紙間、起きろ。着いたぞ」
「……んァ」
座り寝してたせいか身体がバッキバキだ。ぐぐっと伸びをすると、後頭部にブツッと何かが弾けた。
ヘアゴムが切れて髪がほどけた。うわぁマジかよ。予備のやつ、今ので最後なんだよな。
「障子、持ってねえか?」
「なんで俺が持ってると思うんだ」
「なぁ、砂藤か轟。ヘアゴム持ってねえ?切れちまった」
「悪い。持ってない」
「いや、俺も………って俺ら3人とも髪結ぶほど長くないだろ。何で聞いた?」
「仕方ねえな。このままでいいか」
この後、寮に戻るだけ特に何もないしな。明後日の月曜日までゆっくりと……そういや、レポートあったな。苦手なんだよなぁレポート。ヒーロー科、忙しねぇぜ。
「………ん?どうした障子。寝癖でもついてたか?」
「…………………いや」