ヒーローズ:ライジング
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つい先ほどまではおれがシークレットを組み敷いていたのに、逆の立場になっていた。
「油断大敵」
ナイフの切っ先がおれの鼻先ギリギリに。
どうやらシークレットの着けていたバングルがナイフになっていて、それで紙縄を解いたようだ。
「俺の〝個性〟が非戦闘で、ケンカも弱いから?捕えたからって安心しちゃダメだよ。俺みたいにさ、暗器持ってるかもしれないしさ。弱いやつは弱いなりに色々考えているのさ。力で無理なら頭脳でね。俺はこの〝個性〟で君達の弱味を握って精神的攻撃!人間ってね、フィジカルよりもメンタルにダメージ与えた方が一番なんだよ」
それで島内放送で小学時代のおれの恥ずかしい過去を流したのか。
寧ろ怒りしか沸いてこなかったが???
「大抵の人はそれで戦意喪失して撤退してくれるんだけどな、たまに伊織ちゃんみたいな心身ともになかなかタフなやつもいてさ、骨が折れるよ。まぁ、そういう場合は他の仲間に任せてる。ねぇ、伊織ちゃん、悪いことは言わない。俺達の幸せな新世界の始まりの一歩を邪魔しないで欲しいんだ。ヒーローなら、皆の幸せを願ってるんだよね?その皆に俺達は含まれてないの?俺は不幸になっちまえって?」
「…………そんなッ」
敵は不幸になれ?
おれはただ、罪を犯して欲しくないだけだ。それをやってしまったら反省しろ。もう二度とするな。
それだけだ。
「敵にはさ、無論楽しんでやってるやつもいれば世間一般が当て嵌めたフツーの生き方が出来なくて敵 の世界がしっくりきて生きるやつもいる」
入学してまもない頃、13号先生に言われたな。
どんな〝個性〟でも使い方によっては人を殺せると。
他人の記憶を読む〝個性〟。戦闘向きではないが、精神的ダメージを負わせることが出来る。それ故に気味悪がられてしまう。
……こいつは苦しんでいたんだな。ずっと行き辛くて。
シークレットだけじゃないかもしれない。他の仲間だって。
「………それは……そんな事ない……っつても、お前には綺麗事に聞こえるかもしれねえ。誰かの幸せは誰かの不幸の上に成り立つって言葉があるくらいだし。世の中そんな甘くねえこと分かってるさ」
これはシャーロンフロイデという現象だ。授業で習った。
「でもな!おれはヒーロー オリガミ!お前らにどんなお涙頂戴な事情があっても人を傷つけていい訳あるか!幸せになりてえなら、他に方法があるだろう!!」
おれは力いっぱい込めてネックスプリングする。
その勢いでびっくりしたのか、シークレットはよろけた。
「……そう。じゃあ、こっちも出るとこ出るよ。AFOの義理の孫さん?」
「…………ッ!!!」
「ははは。びっくりしたよ。まさか、君にそんな秘密があったとは。雄英のお友達に知られたらどうなるかな?」
「違う!おれの家族は父ちゃんだけだ!」
「性別もバレたらどうなるかな?あ、既に一人知ってるみたいだね。彼ともお喋りしてみたいなぁ」
「おまっ、卑怯だぞ!〝個性〟使わねえとか言いながら」
「ごめんごめんつい無意識で。気をつけてるんだけどね。中学の時、綺麗なお姉さんに見とれて自転車ごと田んぼに落ちた事、誰にも言わないからさ。お父さんには猫轢きそうになって避けたと誤魔化したんだっけ?」
――再び追いかけっこが始まった。
だが今はおれが逃げて、シークレットが追いかけている。
「どこ行くの?もしかして仲間ところ?待ってよー俺も行く。速いよ伊織ちゃん」
途中で踵を巡らし、シークレットに向けてクラフトスネークを伸ばしていくが躱される。
「また同じ手使うの?はははッもしかして自棄になってる?」
うるせェ。
でも、これでいいんだ。
「どこ見てるの。ちゃんと――あれ?」
突然、シークレットの手足が何か に絡まったように動かなくなる。
「フッフッフ……ハーッハッッハ!!お前こそ、どこ見てんだよ?」
シークレットの手足を絡めていたのはセルロースナノファイバー紙。透明な紙だ。
「クラフトスネーク八岐大蛇 !!」
掌から発していた紙は所謂囮。
背中からセルロース紙を伸ばし、周囲の木を利用してロープ滑車の要領であちこちに引っ掛ける。気づかれないようにシークレットを捕える事に成功。普通紙とセルロースナノファイバー、異なる素材の紙を同時に造り出すのは難しかったけど上手くいった。
また切られないようにネズミ折り紙に持ち物をこっそり没収した。
まるでマリオネットよろしくな格好になったシークレット。
掌をぐっと握り、背中に力を入れる。全ての紙を自らの方へと引き寄せるように勢いよく引っ張った。
「終わるまで眠っててもらうぜ!シークレット!!」
引き上げられたシークレットは木の枝に後頭部を思いっきりぶつけて、気絶した。
「油断大敵」
ナイフの切っ先がおれの鼻先ギリギリに。
どうやらシークレットの着けていたバングルがナイフになっていて、それで紙縄を解いたようだ。
「俺の〝個性〟が非戦闘で、ケンカも弱いから?捕えたからって安心しちゃダメだよ。俺みたいにさ、暗器持ってるかもしれないしさ。弱いやつは弱いなりに色々考えているのさ。力で無理なら頭脳でね。俺はこの〝個性〟で君達の弱味を握って精神的攻撃!人間ってね、フィジカルよりもメンタルにダメージ与えた方が一番なんだよ」
それで島内放送で小学時代のおれの恥ずかしい過去を流したのか。
寧ろ怒りしか沸いてこなかったが???
「大抵の人はそれで戦意喪失して撤退してくれるんだけどな、たまに伊織ちゃんみたいな心身ともになかなかタフなやつもいてさ、骨が折れるよ。まぁ、そういう場合は他の仲間に任せてる。ねぇ、伊織ちゃん、悪いことは言わない。俺達の幸せな新世界の始まりの一歩を邪魔しないで欲しいんだ。ヒーローなら、皆の幸せを願ってるんだよね?その皆に俺達は含まれてないの?俺は不幸になっちまえって?」
「…………そんなッ」
敵は不幸になれ?
おれはただ、罪を犯して欲しくないだけだ。それをやってしまったら反省しろ。もう二度とするな。
それだけだ。
「敵にはさ、無論楽しんでやってるやつもいれば世間一般が当て嵌めたフツーの生き方が出来なくて
入学してまもない頃、13号先生に言われたな。
どんな〝個性〟でも使い方によっては人を殺せると。
他人の記憶を読む〝個性〟。戦闘向きではないが、精神的ダメージを負わせることが出来る。それ故に気味悪がられてしまう。
……こいつは苦しんでいたんだな。ずっと行き辛くて。
シークレットだけじゃないかもしれない。他の仲間だって。
「………それは……そんな事ない……っつても、お前には綺麗事に聞こえるかもしれねえ。誰かの幸せは誰かの不幸の上に成り立つって言葉があるくらいだし。世の中そんな甘くねえこと分かってるさ」
これはシャーロンフロイデという現象だ。授業で習った。
「でもな!おれはヒーロー オリガミ!お前らにどんなお涙頂戴な事情があっても人を傷つけていい訳あるか!幸せになりてえなら、他に方法があるだろう!!」
おれは力いっぱい込めてネックスプリングする。
その勢いでびっくりしたのか、シークレットはよろけた。
「……そう。じゃあ、こっちも出るとこ出るよ。AFOの義理の孫さん?」
「…………ッ!!!」
「ははは。びっくりしたよ。まさか、君にそんな秘密があったとは。雄英のお友達に知られたらどうなるかな?」
「違う!おれの家族は父ちゃんだけだ!」
「性別もバレたらどうなるかな?あ、既に一人知ってるみたいだね。彼ともお喋りしてみたいなぁ」
「おまっ、卑怯だぞ!〝個性〟使わねえとか言いながら」
「ごめんごめんつい無意識で。気をつけてるんだけどね。中学の時、綺麗なお姉さんに見とれて自転車ごと田んぼに落ちた事、誰にも言わないからさ。お父さんには猫轢きそうになって避けたと誤魔化したんだっけ?」
――再び追いかけっこが始まった。
だが今はおれが逃げて、シークレットが追いかけている。
「どこ行くの?もしかして仲間ところ?待ってよー俺も行く。速いよ伊織ちゃん」
途中で踵を巡らし、シークレットに向けてクラフトスネークを伸ばしていくが躱される。
「また同じ手使うの?はははッもしかして自棄になってる?」
うるせェ。
でも、これでいいんだ。
「どこ見てるの。ちゃんと――あれ?」
突然、シークレットの手足が
「フッフッフ……ハーッハッッハ!!お前こそ、どこ見てんだよ?」
シークレットの手足を絡めていたのはセルロースナノファイバー紙。透明な紙だ。
「クラフトスネーク
掌から発していた紙は所謂囮。
背中からセルロース紙を伸ばし、周囲の木を利用してロープ滑車の要領であちこちに引っ掛ける。気づかれないようにシークレットを捕える事に成功。普通紙とセルロースナノファイバー、異なる素材の紙を同時に造り出すのは難しかったけど上手くいった。
また切られないようにネズミ折り紙に持ち物をこっそり没収した。
まるでマリオネットよろしくな格好になったシークレット。
掌をぐっと握り、背中に力を入れる。全ての紙を自らの方へと引き寄せるように勢いよく引っ張った。
「終わるまで眠っててもらうぜ!シークレット!!」
引き上げられたシークレットは木の枝に後頭部を思いっきりぶつけて、気絶した。