仮面の下に咲いた花
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草がざわめき、影が迫っていた。
名前は風の流れの裏に潜む気配を読み取る。
(右四、左三、前方四──)
包囲されている。
土井が静かに腰を落とし、目配せしてくる。
名前もごく小さく頷き返した。
雑渡は動かない。
包帯の奥で視線だけをめぐらせ、音もなく敵の数を測っている。
無駄のない静けさ。
それは歴戦の忍だけが持ち得るもの。
その瞬間──
茂みの奥から飛び出した数人の黒装束。
だが、その身のこなしは忍びではない。
粗雑で重たい動き。
血走った目。
刃を振り回す手元には理がない。
──盗賊。
最初に動いたのは名前だった。
風のように前へ出る。
細い体をしならせるように敵の懐へ滑り込み、抜きざまに一閃。
刃が落ちる。
悲鳴より早く、肘が咽喉を突いた。
敵は沈黙したまま崩れ落ちる。
すぐ横を土井が抜ける。
苦無で手首を狙い、刃を弾き、声ひとつあげさせず倒す。
雑渡もまた、無言で敵の背後に回っていた。
刃を使わず、急所を的確に叩き、音もなく意識を断ち切る。
(──速い)
視線の端で昆奈門の動きを捉えつつ、名前は次の敵に身を向ける。
三人の動きは干渉せず、だが隙もない。
無言のまま間を詰め、包囲を反転させていく。
背後では、尊奈門たちが控えに回り、後方を警戒していた。
名前は茂みの向こうに、さらに気配を感じる。
(まだ、いる)
思考が動いたその刹那──
「右」
土井の声が鋭く飛ぶ。
即座に苦無を右手に構え、投げた。
飛び出してきた敵の肩に突き刺さり、動きを止める。
間髪入れずに踏み込み、蹴りで沈めた。
息を合わせたわけでもない。
だが、自然に噛み合っている。
ふと、包帯の奥から昆奈門の視線を感じた。
(──見られている)
冷静で、鋭い目。
評価か、試しなのか、それとも……何か別の意図か。
名前は視線を返さなかった。
戦場では目の前の敵に集中する。
それだけが生き残る道だ。
雑渡も視線を戻し、別の敵へと歩を進める。
