仮面の下に咲いた花
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朝の光が、忍術学園の屋根瓦を優しく照らしはじめる。
名前と土井が歩く庭にも、少しずつ活気が近づいてきていた。
遠くの宿舎から、子どもたちの笑い声がぽつぽつと響きはじめる。
「──起きてきましたね」
土井が、目を細めてつぶやいた。
名前も、その声に穏やかに頷く。
「今日も、にぎやかになりそうですね」
土井はふっと肩をすくめた。
「……忍術理論の授業ですから。今日も寝るか、騒ぐか、内職か……一年は組らしく」
その言い方に、名前はふっと小さく笑った。
(忍術学園の日常――)
かつて戦場にいた自分には、到底想像もできなかった世界。
だが今は、この賑やかさが、ほんの少しだけ心の鎧を緩めてくれる。
「名前先生は?」
「くノ一教室。今日は基礎体術の確認です」
「くノ一たちは、名前先生には頭が上がらないでしょうね」
「そんなこと、ありませんよ」
そう言って、彼女はわずかに笑った。
「“怖い”って、噂されてるだけですから」
土井は、苦笑混じりに小さく頷いた。
「でも、信頼されてますよ。それは見ていて分かります」
歩みをそろえていたふたりの足が、自然に止まる。
校舎への分かれ道。
朝の光のなかで、土井が少し目を細める。
「また後で」
「ええ。お互い、無事に乗り切りましょう」
軽口のようでいて、どこかに本気がにじむ言葉。
名前は、その言葉の裏にある静かな真剣さを、ちゃんと感じ取っていた。
ふたりは、自然に別れる。
子どもたちの声。
走る音。
笑い声。
名前は、その中に溶け込むように歩き出す。
(──この日常を守るために)
静かに、胸の奥で、そう思いながら。
