仮面の下に咲いた花
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翌朝。
忍術学園に、静かな朝の空気が満ちていた。
名前は、自室を出ると廊下の床に置かれた一通の封筒に気づいた。
──宛名は、名前。
封筒にはしっかりと学園長印が押されている。
(……何だろう?)
周囲に誰もいないことを確かめ、名前はそっと封を切った。
中には、短い一筆が書かれた巻物。
『個別任務。
詳細は口頭にて伝達。
学園長の庵へ。』
(個別任務──)
教師たちの任務は基本的に集団行動が原則。
個別で動くのは、よほどの必要があるときだけだ。
名前は胸の奥にかすかな違和感を覚えながらも、巻物を巻き直し、学園長の庵へと向かった。
──学園長の庵
扉を開けると、大川平次渦正が一服の茶をすすりながら待っていた。
「来たか。座りなさい。」
名前は深く一礼し、腰を下ろす。
学園長は茶を置き、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「個別任務を命じる。」
「……はい。」
「場所は、ドクタケ領だ。」
名前の胸が、小さく脈打つ。
(ドクタケ領──)
タソガレドキと並ぶ、学園と長らく対立してきた勢力。
(また厄介な場所だ……)
「任務内容は──」
学園長は巻物を広げる。
そこには簡潔に指令が記されていた。
『対象:ドクタケ領に潜伏する不審者の探索及び排除』
『注意事項:ドクタケ領内における情報収集及び戦闘行動に留意せよ』
『単独行動。外部援軍なし』
(……単独で、不審者の排除か)
学園長は名前の表情を確かめるように見つめ、静かに告げた。
「受けるかどうか、先生が決めなさい。」
名前は顔を上げると、揺るがぬ声で答えた。
「……お受けします。」
学園長はふっと小さく笑い、茶碗を手に立ち上がった。
「ならいい。準備を整えて、すぐに出発しなさい。」
名前は再び深々と一礼し、学園長室を後にした。
⸻
廊下を歩きながら、名前は自分の手のひらをそっと見つめる。
(ドクタケ領──)
(また、厄介な場所だ)
だが、任務に選ばれた以上、迷いはなかった。
(──でも。)
心の奥に、冷たい予感がじわりと広がっていく。
(偶然──だと、思いたい)
だが、忍びの勘はそう告げてはいなかった。
(──それでも。)
名前は拳をぎゅっと握りしめた。
それが、自ら選んだ道だから。
