仮面の下に咲いた花
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山道を抜け、
ふたりは無言で歩いていた。
盗賊たちの影は遠のき、山道には、
春の柔らかな日差しが木漏れ日となって降り注いでいる。
名前は、
黙ったまま前を見ていた。
隣を歩く土井も、
しばらく何も言わなかったが──
ふと、口を開いた。
「……さっきの話ですけど。」
名前は、
歩きながら首だけを傾けた。
「もし転職する気になったら、
紹介状でも書きましょうか。」
名前は、
一瞬だけ目を見開き──
ふっと、
微笑を浮かべた。
「……それは心強いですね。」
軽く受け流す。
けれど、その声は柔らかかった。
土井は、
肩をすくめる。
「何なら、私も一緒に行きますよ。
セットで。」
名前は、
小さく笑った。
「……じゃあ、
書いてもらうときは、
土井先生の名前も一緒にお願いします。」
土井は、
わずかに眉を上げてから、
ふっと笑った。
「ええ、
どこまでもお供します。」
それきり、
ふたりは黙って歩き続けた。
けれど、
さっきまでの緊張は、
どこかへ消えていた。
名前は、
ふと空を仰ぐ。
春の匂いが、
風に混じって漂っていた。
土井は、
そんな名前の横顔をちらりと見て、
静かに目を細めた。
「……何があっても、守りますから。」
それは、
ふだん冗談を交わす彼には珍しい、
静かな本音だった。
名前は、
驚いたように彼を見たが──
すぐに微笑み、
小さく頷いた。
「頼りにしてます。」
ふたりは、
そのまま並んで歩き続けた。
木々の間から、
青く澄んだ空がのぞいている。
静かに。
だが確かに、
ふたりの距離は少しだけ縮まっていた。
