守る場所
指名変更
この小説の夢小説設定1章はくノ一「緋華」で統一しています。
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翌日。
廊下を歩く足が、妙に落ち着かない。
(……なんで、こんなに緊張してるの)
ただの教員室への移動。
それだけのはずなのに、胸の奥が少しだけ速く脈打っているのが、自分でもわかる。
昨日、くノ一たちにからかわれたあの言葉が、まだ頭に残っていた。
「先生、それって恋じゃないでしゅか?」
笑い話のように流したはずだったのに、思い返すたび、心のどこかがざわめく。
(先生に会っても、普通にすればいいだけ……)
そう思いながら角を曲がった先で――
ちょうど、土井先生の姿を見つけた。
「……」
歩いてくるのは、いつもと変わらない穏やかな背中。
なのに今は、それがまるで違う何かに見えてしまう。
(顔を……上げられない)
視線の置き場がわからず、ふと足が止まりそうになる。
でも、もうすぐ目の前ですれ違う。
意識しすぎだと自分に言い聞かせて、一歩を踏み出した――その瞬間。
「……おはようございます」
土井先生の、静かで落ち着いた声がすぐ近くから届いた。
「っ……おはようございますっ」
返した声が、ほんの少し上ずってしまった。
(落ち着いて、私)
何でもないふうを装って、軽く会釈をして通り過ぎる。
けれど背中越しに、彼の足音がわずかに止まったような気がして、思わず肩がこわばった。
「……」
(振り返らないで)
願うように歩き続ける。
すれ違っただけのはずなのに、背中が熱くなっていくのを感じた。
教員室の前まで来て、咲はふっとため息をこぼした。
(……なんで、こんなに意識してるんだろう)
数日前までは、普通に言葉を交わしていたのに。
距離も、声の温度も、変わってなんかいないはずなのに。
だけど――
今の私は、確かに彼の前で、自然に振る舞うことができなくなっていた。
ほんの少し交わされた視線が、こんなにも胸に残るなんて。
(……私、どうしちゃったんだろう)
教員室の戸に手をかけながら、まだ胸の奥に残る熱を、そっと押さえた。